以前にひきこもりについていくつかの記事を書いたことがございました。


あたりがそうですね。
以前にも書きましたが、2019年3月29日に公表された内閣府の調査によると40歳から64歳のひきこもり状態にある人は61.3万人であることが分かりました。更に15歳から64歳までのひきこもり者の総数では115.4万人の可能性があるとのこと。結構な人数がいるということですね…。

また2023年3月31日に内閣府が公表した「こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)」によると、2022年4月1日時点で10歳~39歳の男女20,000人+40歳~69歳の男女10,000人の計30,000人を対象に、2022年11月10~25日にかけて郵送又はオンラインで全国調査をしてみたそうです。
有効回収数は13,769人だったそうで、そこで分かったことは、

  • 現在ひきこもり状態の15~39歳:2.05%
  • 現在ひきこもり状態の40~64歳:2.02%

だったそうです。
つまり、2022年11月10~25日時点で、15~64歳のひきこもりが推計で約146万人いるということになります。
上記で挙げた2019年3月29日の内閣府調査では15〜64歳のひきこもりが115.4万人とのことだったので約3年半で30万人増えたことに…。

それと、上記で挙げたようなひきこもりに関係する研修に行くと必ずといっていい程、聞く話が、

  • 「ひきこもり=障がい者」ではない
  • 「ひきこもり=犯罪者予備軍」でもない

という内容。このあたりもメディアや偏見のせいかこの問題の闇をいっそう深くしている感じですね…。
では、ひきこもりってどういう方たちなのか…?、また、ひきこもりになってしまう方に共通点はあるのか…?って話なんですが、今回はその辺の研究についてご紹介します。



そもそも「ひきこもり」ってどのような人達のことを言うの…?

まずは、そもそも「ひきこもり」ってどのような人達のことを言うの…?って話から。
参考になるのが、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究(H19-こころ-一般-010)」により作成された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」に記載された「ひきこもりの定義」。これによると、「ひきこもり」とは、

  • 様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6 ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。

としています。つまり、ひきこもりとは理由(病気など)もないのに6ヶ月以上、他人と関わる外出はせず、家に居続ける人のことを言うわけですね。
また、ひきこもりについて、

  • なお、ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。

としています。つまり、上記で挙げたように「精神障がい者=ひきこもり」ではないけど、ひきこもりの方の中には精神障がい者が含まれている事も少なくないよーって話ですね。
この辺は就労支援をしているときの実体験でも痛感することが多いですね~。ひきこもりなだけです…!って言って親が駆け込んできたけど、実際、本人を支援してみて障がいがあるのか…?って言われると、「う、う~ん…。」ってパターンがあったりするんですよね~。
イコールではないけど密接に関わっている感じとでもいいますか…。

更に難しいのが因果関係の問題。どういうことかというと、

  • 何らかの障がいによって、結果、ひきこもりになった
  • ひきこもりになったことによって、結果、精神障がいを発症した

という、まさに鶏が先か、卵が先かって話なんですよね~。う~ん。難しい…。


以上、「ひきこもり」の定義でした。
異論はあるかと思いますが、これが政府が決めたひきこもりの定義であります。



ひきこもりになってしまう方に共通点はあるのか…?

2019年の秋田大学の研究によると、2010年2月に日本全国200の都市・市町村からランダムに5,000人の男女(年齢は15〜39歳)をまずは選んだとのこと。その後、それぞれに協力をお願いし、結果、3,262人(男性が1,555人、女性が1,707人)が調査に参加してくれたんだそうな。
調査内容は、

  • 普段どれぐらい自宅から外に出るか…?
  • メンタルはどれぐらい健康か…?

などの質問に回答してもらったんだそう。
そして調査の結果、分かったことは、

  • 全体の1.8%(58人/3,262人)がひきこもりだった
  • 1.8%(58人)のうちの41%が3年以上、ひきこもり状態だった

とのこと。つまり、100人に1,2人はひきこもりになる可能性があり、更に一度ひきこもりになると、4割が長期化してしまうってことですね~。こりゃ大変だ…。
また、他にもひきこもりについて分かったことがあったそうで、

  • 都市・市町村に関わらずひきこもりはいる
  • 男性の方が女性よりひきこもりの人数が多い
  • 精神病の治療歴を持つ人が多い
  • 詳しく見ると自傷行為をする傾向が多い
  • いっぽうで、他害行為(他人への暴力)をする傾向が少ない

という結果だったそう。
更に共通のポイントとして、コミュニケーションに不安があるってのがあったそう。
まぁ、想像できるかと思いますが、ひきこもりになってしまう方は、

  • 外出時、知り合いに会ったらどうしよう…。
  • 他人に自分がどう思われているんだろう…。
  • 友だちのグループに入れない…。入りたいって言ったらなんて言われるだろう…。

みたいなことに共感する人が非常に多かったんだそうな。つまり、自己注目の状態になる人が多いってことですね。これがこじれるとCASになるんで十分注意していきたいところ…。

このことから研究者も、対人関係とひきこもりは密接に関わっている。ひきこもりの方たちが人間やコミュニティを恐れている事実を示しているっておっしゃっているんで、やはりコミュニケーション対策や不安対策は非常にウエイトが大きいみたいです。



個人的考察

ひきこもりの方の中にはごみ屋敷になる場合も多いですが、上記から納得できるかと思います。以前に書いた通りごみを集めたくなるのは孤独を紛らわし、安心感を得るためですからね~。

最後に、ひきこもり対策としては、当ブログでご紹介しているメンタル対策認知行動療法が使えるかと思います。ぜひ、自分なりの体調安定法(コーピングレパートリー)を作成して予防、対策に使ってみてください。



参考文献