コロナの新規感染者数がようやく少し落ち着いたことで、最近、外食に出かける人も多くなったのではないでしょうか…?
また、それに伴い、お酒を飲む機会も増えているんじゃないでしょうかね…?
ということで今回は、結局お酒は体に良いのか悪いのか…?と、お酒のダメージを減らす対策をご紹介しておきます。



一昔前は、適度なアルコールは体に良い…!って研究が多かったものの、ここ最近の研究ではどうも雲行きが怪しい…!

一昔前は、適度なアルコールは体に良い…!って研究が多かったものの、ここ最近の研究ではどうも雲行きが怪しくて、今は少しのアルコールも体に悪い…!って感じになりつつあります。
一方で、地中海式ダイエットでは適度なアルコール、特に適度なワインは良さそう…!って話が出ております。難しいですね~…。
但し共通しているのは、大量のアルコールは良くないと言うところ。適度なアルコールがあやしくなってきただけで、過度な飲酒は良くないのは昔から一貫していますからな。
では、適度なアルコールってのは、どのぐらいのことを指すのか…?ってことで、まずは地中海式ダイエットの観点から、そこん所を見ていきます。



地中海式ダイエットスコアの種類によって適度なアルコールの摂取量は変わる…!

まず、大枠を話してしまうと、地中海式ダイエットスコアの種類によって適度なアルコールの摂取量は変わるみたいです。
地中海式ダイエットをどれぐらい忠実に実践しているかを計る資料として地中海式ダイエットスコアってのがあるんですが、これにはいくつかの種類がありまして、それらによって違いがあるんだそうな。
例えば、2003年のアテネ大学の研究を見てみると、赤ワインの適度なアルコール摂取量は、

  • 男性の場合:1日50gがMAX…!
  • 女性の場合:1日25gがMAX…!

としていたそうな。
厚生労働省のサイトによれば、ビール大瓶(633ml)に含まれるアルコールが25gらしいんで、男性だと2杯、女性だと1杯で終わりって感じですね。
対して、2014年のGEICAMの研究では、それよりも厳しくカットオフポイント(適度かどうかの境界線)を設置しております。
どこに線を引いたかと言いますと、

  • 男性の場合:1日25gがMAX…!
  • 女性の場合:1日15gがMAX…!

って感じ。
こちらだと男性はビール大瓶(633ml)1杯、女性はビール350ml缶を1つって感じですね。お酒を飲む習慣がある人にとっては厳しい量ですな。
一方で、2017年のナバラ大学の研究によると、

  • 食事と一緒にワインを飲む習慣は地中海諸国の文化の一部である…!
  • しかし、他の国ではあまり一般的ではない…!

とのこと。
つまり何が言いたいのかと言うと、

  • 地中海式ダイエットの研究などで、適度なワインを飲んでいると出ている
  • しかし、ワインを飲む習慣がない国でワインを飲むことをおすすめしても、適度なアルコールの小さなメリットが潜在的なデメリットを上回ることはない
  • つまり、無理してワインを飲んでも無意味である…!

という感じです。
ということで、アルコールを飲む習慣がない人は、それがたとえワインでも意味がないので飲む必要はなし。
飲む習慣がある人もできれば禁酒、厳しければダメージを最小限に抑えるために上記の基準を守るとよろしいのではないでしょうか…?



適度なお酒は本当に体に良いのか…?

2015年のビクトリア大学の研究によると、適度なお酒は本当に体に良いのか系統的レビュー・メタ分析で調べてみたそうです。
そもそも適度なお酒なら健康に問題なし…!むしろ良い…!って研究がコホート研究のメタ分析なんかでありますが、研究者によれば、あれって実は比較されているお酒を飲まない人の不健康の範囲に問題があるんじゃないか…?って感じらしいんですよね。
そこで研究者は、お酒を飲まない人に含まれていた、以前にお酒を飲んでいた人なんかを除外して、改めてチェックし直してみたとのこと。
具体的には、まずお酒と健康(全死亡リスク)の関係を調べた先行研究をピックアップ、その後、質の高い研究を精査していったそうな。結果、87件の研究が基準を満たしていたとのこと。この87件の総サンプル数は3,998,626人でして、このうちの367,103人が死亡したと報告されていたみたいです。
では結果を見てみましょう。
まずは調整せずに87件の研究全てをメタ分析してみると、

  • 先行研究同様J字型曲線になった…!
  • お酒を少し飲む人(1日当たりのエタノール1.3~24.9g):死亡リスクが低下(0.86)していた…!
  • お酒をちょっと飲む人(1日当たりのエタノール1.3g未満):死亡リスクが低下(0.84)していた…!
  • 以前にお酒を飲んでいた人:死亡リスクがアップ(1.22)していた…!

とのこと。
従来の結果と同じ感じですが、細かく内訳を見てみると、以前にお酒を飲んでいた人は死亡リスクがアップしていたんですね~。
では続きまして、調整後の87件の研究全てをメタ分析してみた結果を見てみましょう。

  • お酒を少し飲む人では、死亡リスクの有意な低下は観察されなかった(0.97)…!

つまり、お酒を少量しか飲んでいない人やお酒を飲まない人に含まれていた部分を調整すると、死亡リスク低下のメリットはなくなってしまったと…。
またこの研究では、より質の高い・バイアスのない研究をピックアップし分析もしてみたそうなんですが、やっぱり結果は同じでお酒を少し飲む人の死亡リスクの低下は見当たらなかったそうです。更にお酒をちょっと飲む人の死亡リスク推定値が、お酒を少し飲む人やまぁまぁ飲む人の死亡リスク推定値とあんま変わらなかったそうなんで、適度なお酒は体に良い神話は崩れたみたい。
ということで、今も昔も全くお酒を飲まない又はお酒をちょっと飲む人(1日当たりのエタノール1.3g未満)以外は全て健康リスクがアップしてしまうという結果でした。



お酒のダメージを減らすにはどうすべきか…?

2004年のアーカンソー子供栄養センター動物実験によると、飽和脂肪食がアルコール性肝疾患を保護するメカニズムについて調べてみたそうです。
実験はオスのラットを8匹ずつ以下のグループに分けたとのこと。

  1. アルコールを含まないエサ+総エネルギーの45%をコーン油にした
  2. アルコールを含むエサ+総エネルギーの45%をコーン油にした
  3. アルコールを含まないエサ+45%のコーン油の10%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした
  4. アルコールを含むエサ+45%のコーン油の10%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした
  5. アルコールを含まないエサ+45%のコーン油の20%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした
  6. アルコールを含むエサ+45%のコーン油の20%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした
  7. アルコールを含まないエサ+45%のコーン油の30%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした
  8. アルコールを含むエサ+45%のコーン油の30%を飽和脂肪である牛脂(中鎖脂肪酸)にした

んで、70日後の結果は、

  • アルコール+コーン油グループのラットは、肝臓のダメージ、酸化ストレスを受けていた…。
  • 飽和脂肪酸の量が多くなればなるほど、肝臓のダメージ、酸化ストレスの値が減少していた…!

そうです。
つまり、飽和脂肪酸(中鎖脂肪酸)を食べておけばアルコールのダメージをある程度防ぐことが出来るってことですね。
因みに実験は、飽和脂肪酸として牛脂を選んでいますが、牛肉や豚肉などの肉類でもOKかと思います。更に中鎖脂肪酸であれば良いみたいなので、ココナッツオイルダークチョコレートなんかでも代用可能ではないかと思います。
ということで、飲み会がある方は行く前にダークチョコレートを食べたり、飽和脂肪酸が豊富な物を一緒に食べながら呑んでみてはいかがでしょうか…?