皆さんは話すときスピードを意識していますか?
実はトークスキルにおいて話すスピードはとても大事です。
今回は話すスピード、早口について考えていきたいと思います。



早口のメリット

1975年のブリガムヤング大学の研究によると、まず研究者は50以上の合成音声を作成。その後、様々な速度で参加者に聞かせてみたんだそうな。結果、会話スピードが速いと有能に感じたとのこと。つまり早口だと出来る人に見られるみたい…。
また、ゆっくりしゃべるデメリットも見つかっておりまして、1979年の研究によると、研究者は参加者61名に面接している男性の音声を聞いてもらったんだそうな。その際、片方のグループは普通に再生した音声を、もう片方のグループは通常より30%スローにして再生した音声を聞いてもらったとのこと。結果、スロー再生を聞いたグループは、面接をしている男性のことを信頼感がなく、流暢さも欠け、説得力が低いと感じたそうです。つまり、ゆっくりしゃべるより普通から早口ぐらいのスピードでしゃべった方が良いってことですね~。
他にも早口で話すメリットはありまして、

  • 論理力が高まる
  • 説得力が高まる
  • 聞き手の集中力が高まる(ゆっくりだとだるくなる)
  • 聞き手の記憶に残りやすい

という効果があります。
さらに早口は相手の

  • 態度を変えさせる場合に有利
  • 新しいこと・知らない情報の場合に有利
  • 常識の場合に有利
  • 皆と考えていることと違う事を話す時に有利

という効果があります。なぜ早口にこのような効果があるかというと、ゆっくり話すと聞き手側に余裕が生まれてしまうからです。余裕が生まれると余計な事を考えてしまい、違うことを考えたり、矛盾点などを探し始めたりしてしまうからです。大事なのは批判のすきを与えず、相手の思考力を適度に奪う必要があるということです。まぁ簡単に言うとまくしたてるってイメージですかね~。

かといってずっと早口なのも大変だし話した内容が相手の記憶に残らなければ意味はないですよね。そこで基本早口にしてまとめでゆっくり話すのが良いかと思います。こうすることで聞き手の記憶に更に残りやすくなります。更に相手には

  • 自信があるようにみえる
  • 専門知識があるようにみえる

という効果も期待できます。これはヒトラーが演説で使っていたテクニックでヒトラーは基本バーッとしゃべってポイントでゆっくりしゃべるという方法を使用していました。つまり、抑揚が大事ってことですね。



早口にはデメリットもある…!大切なのは使い分けること

しかし、早口のデメリットも見つかっておりまして、

  • 1回説得した相手にはゆっくり、はっきりが有利だった
  • 相手が知っていることを確認する場合はゆっくり、はっきりが有利だった

ということです。更に、デューク大学、カリフォルニア大学、スターリング大学の研究によると1対1の場合はゆっくりしゃべった方が良かったそうです。他にもゆっくりしゃべった方が説得力がアップしたという結果も出たそうです。因みに、政治家もゆっくりしゃべる人の方が当選率が高いということです。
それらを踏まえると早口は1対多数の時が良いのかもしれません。



早口に慣れると…

早口に慣れると以下の効果があります。


早口を使うと自分にもこんな良い効果があるのはうれしいですね~。



ゆっくり・はっきり・大きな声で話す…!は間違いなのか…?

ゆっくり・はっきり・大きな声で話しましょう…!
…っとこんなフレーズの話を聞いたことがございませんか…?早速結論を言うとコレ、一部間違いだったってのがかな~り昔(約半世紀前)から分かっているんですよね…。
でもなぜか広まらないんですな。理由として個人的には、話す勉強(トークスキルを学ぶ勉強)ってのが基本ないからじゃないかな~と思うわけですよ。だから私同様、後でめっちゃ苦労する(した)方々もおられるのではないでしょうか…?
なんで、私と同様に困る方がいないよう、また、支援でも使えるので、今回、間違いな部分と、本当のコツってやつを書いておきます。
1976年のミネソタ大学の研究によると、話すスピードと説得力の関係について調べてみたそうです。
この研究は2つの実験を行ったもので、参加者は449人となっております。んで、2つの実験から会話のスピードと相手の反応の変化について見てみたらしい。
結果、早口で

  • 情報の信憑性が増した…!=説得力が増した…!
  • 自信があるように見えた…!
  • 知性が高く見えた…!
  • 客観的に見えた…!

とのこと。
どうやら「ゆっくり」よりも「早く」話した方が良い感じみたいですね~。



なぜ「ゆっくり」よりも「早く」話した方が良いのか…?

「ゆっくり」よりも「早く」話した方が良いってのは分かりましたが、その理由ってのが気になりますよね…?
結論から申しますと、理由は様々なある様子で、最も可能性が高そうなのは、

  • 速く話す人=頭の回転が速い人=カリスマ性がある人と思われるから…!

みたいです。
例えば、以下の動画を見てみてください。






百聞は一見に如かずですよね。ゆっくり話している首相や大統領よりも早くスピーディーに話している首相や大統領の方が日本・アメリカに関係なく、頭の回転が速い人・カリスマ性があると見えるのではないでしょうか(実際にあるかどうかは関係なく)

また上記の動画からも分かりますが、ずーっとゆっくり淡々と話したり、ずーっと大きな声で話していたら、飽きるんですよね。人間の脳はデフォルトでなるべくサボるように(オートで動くように)設計されておりますんで、ずーっと同じ話し方をされると、飽きて脳がサボりだしちゃうんですよ。
典型的な例として、私がよく挙げるのが、校長先生の話はなぜ面白くないのか…?ってことです。皆さんもご経験があるように校長先生の話ってつまらないってことが多いんですよね。私も当時、つまらんな~とか、早く終わらんかな~とか思っとった訳ですよ(笑)
でもある時、なんでこんなにつまらないんだろう…?って疑問が湧きまして、ちょっと真剣に観察してみたんですな。すると見えてきたんですよ。理由が…!
何かっていうと、


って感じだったんですな。
そのため、メリハリのない話し方、特に話すスピードが遅いと飽きるんですよね。

更に話すスピードは老化の指標と捉えられる可能性があり、これも関係しているかもしれません。この辺については2024年のトロント大学の研究が分かりやすい感じでして、18歳~85歳までの健康な成人125名を対象に実験を行った結果、

  • あーとかえーとかが多くなり言葉に詰まるっていう高齢者に良く見られるしゃべり方以上に、全体の話すスピードが遅い方が認知機能の衰えの指標になっていた

とのこと。
つまり、話すスピードが遅い=認知機能が衰えているってのを、皆感じ取ってそこから話しが遅いと、頭の回転が遅い人・カリスマ性がない人となってしまっている可能性もある感じ。

更に更に最近だと、タイパ然りで早口を聞くシーンが多くなっているのも原因かもしれません。例えばYouTubeやサブスクの登場や一気に観たい、結末を早く知りたいってのもあり、皆、短時間でより早く、より多くの動画を見ようとする傾向が出ております。そしてそれを可能にするのが倍速機能です。倍速で聴く事になれてしまうと普段の会話の遅さが際立つんですよね(私も経験済み)。それももしかしたら飽きたり、老化を感じる原因になっているのかもしれません。



早けりゃいいってもんでもない…!注意点がある…!

もちろん注意点もあって、例えば上記の通り、メリハリのない話し方はよくないんで、ずーっと早口も良い話し方とは言えません。この辺は「トークスキルで重要な「会話のテンポ」ってそもそもどうすれば上手くできるようになるのか?」でも紹介した通り、会話はテンポよく抑揚をつけて話す事が大事なんで。因みに抑揚をつけるには、ポイントで声の大きさやスピードを変えたり、間を入れたりして緩急をつける感じになります。
他にも早く話すためにはっきり言わず聞き取りにくくなるのも良くありません。特に高齢者へ話す時なんかは、はっきりを意識した方が良いんで、話すスピードはゆっくりの方が良いんですよね。こちらの分かりやすい例は夢グループの社長の話し方ですね。


ということで、話す相手によって変えるのも重要となります。



まとめ

今回、ゆっくり・はっきり・大きな声で話す…!は間違いなのか…?を見てきました。
ちょっとまとめてみると、

  • ゆっくり:基本は早口の方が良い。但し、ポイントはゆっくり話して抑揚をつける、相手が高齢者の時はゆっくりの方が良い、早口ではっきりが犠牲にならないよう注意するなどの注意点がある
  • はっきり:正解。聞き取りやすいはっきりした声は大事
  • 大きな声:正解でも不正解でもない。但し、相手に聞こえないと意味がない、はっきりするにはある程度大きな声はいる。同じ音量で話すのは良くないので、ポイントで声の大きさを変えるのが大事

となりましょう。
基本早口、ポイントでゆっくり話すと良いってのは覚えておいて損はないかと思います。



個人的考察

元々声が大きいほうではっきりとしているらしく、また、早口だったこともあり、私は基本は早口でしゃべることが多いです。ただし、ゆっくりしゃべる効果も知っているのでケースバイケースで使い分けています。まずは自分が早口かそうでないかを調べたうえで、上記で挙げた早口、ゆっくりのメリットを踏まえて使い分ける訓練をしていくのが良いのではないでしょうか…?
それと余談ですが1995年の研究によると、会話中、「えぇっと…。」とか、「あぁ…。」って感じで言葉が詰まっちゃうことが多い人は、自分が何を話しているのか分からないと思われてしまうみたいです。この当たりを踏まえる、会話のスピードだけでなく会話のテンポも重要であると言えますね~。



参考文献