【まとめ】スロートレーニングって意味あるの問題
スロートレーニング(スロトレ)ってあるじゃないですか…?
例えばプッシュアップ(腕立て伏せ)を1回するのにわざと10秒かけてやるみたいな感じですね。この方が筋トレ効果が高い…!って話は皆さんも聞いたことがあるのではないかと…。
スロートレーニングって意味あるの問題
2001年のジョージ・ワシントン大学の研究によると、スロートレーニングの効果について調べてみたそうです。
この研究は健康で普段座りがちな19歳から45歳(平均年齢32.7±8.9歳)の女性14人を対象に行ったもので、以下の2グループにランダムに分かれてもらい筋トレをしてもらったとのこと。
また種目に関しては、
- ベンチプレス
- トルソーアーム(ショルダープレス)
- レッグプレス
- レッグエクステンション
- レッグカール
- エアロバイク
などを行ったらしい。
筋トレは週3回を10週間続けたそうで、トレーニング前後には1RMなどを測定したそうな。
結果、どちらのグループも筋力はアップしていたみたいなんですが、
- 普通の筋トレは、ベンチプレス34%、トルソーアーム(ショルダープレス)27%、レッグプレス33%、レッグエクステンション56%、レッグカール40%とアップしていた…!
- スロートレーニングは、ベンチプレス11%、トルソーアーム(ショルダープレス)12%、レッグプレス7%、レッグエクステンション24%、レッグカール15%とアップしていた…!
- 総合的な1RM(最大筋力)のアップ度をみても、普通の筋トレの方は39%だったのに対し、スロートレーニングは15%だった…!
- エアロバイクによる心肺機能アップについては両グループ共に有意に改善し違いもなかった。
- 体脂肪率やBMI、除脂肪体重(筋肉量)、体重に変化はなかった。
とのこと。
どうやらスロトレよりも普通に筋トレした方が良さそうですね~。
また2013年の東京大学のRCTでも同じようなことを調べておりまして、こちらの研究では59歳から76歳の参加者35人を対象に2グループにランダムに振り分けスロートレーニングの効果をチェックしたそうです。
結果も同じ感じで、
結果も同じ感じで、
- スロートレーニングは特別普通のトレーニングより優れているわけではない…!
- どころか、筋力アップ、代謝、脂肪の燃焼量は普通の筋トレの方が良かった…!
とのこと。
やっぱり、スロートレーニングは意味なし…!普通に筋トレしてりゃOK…!って感じだったらしい…。スロートレーニングの流行はなんだったのか…。
因みにスロートレーニングのメリットは怪我をし辛かったことらしい。
まぁ、そうだよねって感じですね。初心者とか普段運動していない人にはいいのかもしれませんね…。
ハーフスクワットでスロートレーニングの効果を調べてみた…!
1993年のバララット大学の研究によると、筋トレのスピードによって筋力や筋肥大の成長に違いが出るのか調べてみたそうです。
この研究は、筋トレ初心者である男性18人(年齢19〜23歳)を対象に行ったそうで、8~12RMの負荷で7.5週間、ハーフスクワット(膝を90度まで曲げて元に戻すスクワット)を全員に行ってもらったとのこと。その際、以下の2グループにランダムに分かれて行ってもらったそうな。
- ゆっくりとした動作でハーフスクワットを行ってもらう(10人)
- 速い動作でハーフスクワットを行ってもらう(8人)
これを週3ペースで行ったそうです。
結果、
- 全員、筋力・筋肥大ともに大幅にアップしていたが、グループ間の有意差はなかった…!
- 最大筋力は、速いグループが68.7%、遅いグループが23.5%アップしていた…!
- 等尺性収縮の強度(曲げたり伸ばしたりせずそのまま維持すること)は、速いグループが12.4%、遅いグループが31%アップしていた…!
- 筋肥大はグループ間の差はなかった…!
とのこと。
成長する筋肉に多少の違いはあれど、特に有意差はなさそうですねー。
つまり、速くても遅くてもどっちでもいいと…。
ダンベルカールでスロートレーニングの効果を調べてみた…!
2005年のシドニー大学の研究によると、筋トレのセット数とスピードを変えると筋力アップに違いが出るのか調べてみたそうです。
この研究は、普段筋トレを行っていない健康な男女115人(男性21人女性94人、平均年齢20.6±6.1歳、身長168.1±9.1cm、体重64.2±11.6kg)が参加したそうで、まずは全員の右腕と左腕の肘関節の1RMをチェックしたそうな(つまりダンベルカールを行ったってことですね)
ベースラインが分かったところで、参加者を以下の5グループにランダムに振り分けたそうです。
- コントロールグループ(23人)
- 素早く筋トレを3セットグループ(23人)
- スロートレーニングを3セットグループ(23人)
- 素早く筋トレを1セットグループ(23人)
- スロートレーニングを1セットグループ(23人)
続きまして、筋トレの詳細についてはこんな感じ。
- 全ての参加者は6~7週間の中で、18回の筋トレ(ダンベルカール)を行った(つまり週3で6週間筋トレを行った)
- 筋トレの負荷は6~8RM(1RMの80%ぐらいの負荷)で、持ち上げられなくなるまで続けてもらった。
- 1セット8回以上が出来るようになったら、負荷を上げて強度が6~8RMになるよう調整した。
- 3セットの場合のセット間の休憩は最大2分間。
- スロートレーニンググループは、3秒で上げて3秒で下していた。
- 素早く筋トレグループは、1秒で上げて1秒で下げていた。
- コントロールグループは、トレーニングベンチに座って何もしなかった。
筋トレ後、全ての参加者はダンベルカールで筋力のチェックをしたとのこと。
最後にデータを解析した結果がこちらとなります。
- スロートレーニングを1セットグループは、コントロールグループに比べて、筋力が25%アップしていた…!
- 3セットグループは、実験開始時よりも筋力が48%アップしていた…!
- 3セットグループは、1セットグループよりも筋力が23%アップしていた…!
- 素早く筋トレグループは、スロートレーニンググループよりも筋力が11%アップしていた…!
- 3セットと素早く筋トレを合わせて行ってもメリットはなかった…!
つまり、筋トレは1セットだと25%、3セットだと約2倍の48%、筋力アップが見込める…!ってことですね。まぁ、セット数を増やせば筋力もアップするという当たり前の結果ですな。また、素早く筋トレの方がスロートレーニングよりも良い結果が出ちゃったみたいですね。残念…。
ということで、種目を変えても、やっぱりスロートレーニングに目立ったメリットはございませんでした。むしろデメリットすらありそうな気配が出てきましたね。
高齢者を対象に素早く筋トレとスロートレーニングの筋肥大効果を比べてみた…!
2009年のブラジリアカトリック大学の研究によると、高齢者を対象に素早く筋トレとスロートレーニングの筋肥大効果を比べてみたそうです。
この研究は69歳~76歳の男性高齢者20名を対象に行ったとのことで、まずは参加者を以下の2グループに分けたんだとか。- 素早く筋トレグループ(9名)
- スロートレーニンググループ(11名)
んで、筋トレは両グループともこんな感じで行われたそうな。
因みに筋肥大については、上腕二頭筋(力こぶ)と大腿直筋(太もも)でチェックしたとのこと。では結果を見てみましょう。
素早く筋トレグループとスロートレーニンググループを比べてみた結果、
- 大腿直筋(太もも)は、素早く筋トレグループでのみ筋肥大していた…!
- 上腕二頭筋(力こぶ)は、両グループ共に筋肥大していたが、素早く筋トレグループの方がより大きく筋肥大していた…!
ということです。
つまり、高齢者でもスロートレーニングのメリットは特に見当たらず、むしろ素早く筋トレの方が良かった…!ってことですね。う~ん。残念…。
高齢者を対象に素早く筋トレとスロートレーニングの筋力・運動パフォーマンス効果を比べてみた…!
2006年のブラジリア大学の研究によると、高齢者を対象に素早く筋トレとスロートレーニングの筋力・運動パフォーマンス効果を比べてみたそうです。
この研究は、普段運動をしていない60~76歳の男性高齢者20名を対象に行われたそうで、以下の2グループにランダムに分かれてもらい、筋トレを行ってもらったそうな。
スロートレーニンググループ:1RMの60%のパワーで、2~3秒をかけて8~10レップ、3セットの筋トレを行ってもらう。
気になる結果は、
- 素早く筋トレグループは、運動パフォーマンスが明らかに上がっていた…!
- 素早く筋トレグループは、ダンベルカールが50%、30秒間の空気イスが43%、それぞれ上がっていた…!
- スロートレーニンググループは、ダンベルカールが3%、30秒間の空気イスが6%、それぞれ上がっていた…!
- 筋力についても素早く筋トレグループの方が明らかに上がっていた…!
- 素早く筋トレグループは、ベンチプレスが37%、レッグプレスが31%、それぞれ上がっていた…!
- スロートレーニンググループは、ベンチプレスが13%、レッグプレスが8%、それぞれ上がっていた…!
って感じで、やはり素早く筋トレの圧勝…!となっておりました。
ということで、高齢者でも若者と同じ結果となりました。
全身を使って、スロートレーニングと普通のスピードで筋トレの筋力・筋肥大効果を調べてみた…!
2008年の国立健康・栄養研究所の研究によると、全身を使って、スロートレーニングと普通のスピードで筋トレの筋力・筋肥大効果を調べてみたそうです。
そもそも同研究チームが行った以前の研究では、
- スロートレーニング+低強度(1RM約50%)
- 普通のスピードで筋トレ+高強度(1RM約80%)
を比べてみたら、膝の筋力・筋肥大が同じぐらい大幅に増加したそうなんですよね。しかしこの時は膝の運動効果しか調べなかったんで、いろんな部位をチェックしてみようとなったのが今回の研究になります。
まず研究者たちは、普段筋トレを行っていない健康な青年36名を集めまして、以下の3グループにランダムに振り分けたとのことです(1グループ12名)
- スロートレーニンググループ:1RM55~60%の負荷で、3秒で動いて3秒で元に戻るようにした。
- 普通のスピードで筋トレグループ:1RM80~90%の負荷で、1秒で動いて1秒で元に戻るようにした。
- コントロールグループ:座って何もしない。
筋トレ種目は以下の5種類を行ったとのこと。
上記の種目を、
- 各3セットずつ行った
- 平均レップ数は両グループとも8回
- 週2回、13週間行った
そうです。
結果、
- スロートレーニングで、全身(6部位)の筋肥大が合計で6.8±3.4%アップした…!
- スロートレーニングで、全身(5部位)の1RMが合計で33.0±8.8%アップした…!
- 普通のスピードで筋トレで、全身(6部位)の筋肥大が合計で9.1±4.2%アップした…!
- 普通のスピードで筋トレで、全身(5部位)の1RMが合計で41.2±7.6%アップした…!
- つまり、スロートレーニングも普通のスピードで筋トレも同じぐらい筋肥大・筋力がアップしていた…!
- コントロールグループでは上記のような変化はなかった
とのことです。
結局、違いはなかったみたいだし、よく見たら普通のスピードで筋トレの方が若干結果が良いしでやはりスロートレーニングにメリットはなさそうですね…。
スロートレーニングと普通の筋トレのカロリー消費量を調べてみた…!
2003年のアラバマ大学の研究によると、スロートレーニングと普通の筋トレでは代謝や心拍数に違いが出るのか調べてみたそうです。この研究は平均年齢24.3±3.8歳の若い男性7名を対象にしたもので、流れは以下な感じで行われたらしい。
- トレーニングが始まる前の15分間で安静時カロリー消費量、血中乳酸濃度、心拍数をチェック。
- スロートレーニングを行う。
- トレーニングが終わった後の15分間で血中乳酸濃度、心拍数を再びチェック。
- 更にトレーニングが終わってから21~22時間後に安静時カロリー消費量をチェック。
- 別の日に再度、トレーニングが始まる前の15分間で安静時カロリー消費量、血中乳酸濃度、心拍数をチェック。
- 今度は普通の筋トレをしてもらう。
- トレーニングが終わった後の15分間で血中乳酸濃度、心拍数を再びチェック。
- 更にトレーニングが終わってから21~22時間後に安静時カロリー消費量をチェック。
- 最後に集められたデータを照らし合わせる。
これでスロトレのダイエット効果が分かる訳っすな。
では結果がどうなったか見てみましょう。
- VO2max(最大酸素摂取量)&平均心拍数はスロートレーニング中よりも普通の筋トレ中の方が明らかに高かった…!
- 但し、平常時の平均心拍数は2グループ間に有意差はなかった…!
- カロリー消費量は、スロートレーニングが107±20kcal、普通の筋トレが155±28kcalといった感じで、普通の筋トレの方が45%も高かった…!
- 運動後の乳酸値は、スロートレーニングが4.0±2.0mmol.L(-1).min(-1)、普通の筋トレが7.9±1.7mmol.L(-1).min(-1)といった感じで、普通の筋トレの方が約2倍も大きかった…!
- 血中乳酸の推定カロリー消費量+VO2maxのカロリー消費量をみてみると、スロートレーニングが116±22kcal.min(-1)、普通の筋トレが172±29kcal.min(-1)といった感じで、普通の筋トレの方が48%以上も大きい有意差があった…!
トレーニング効果については、やはりスロトレよりも普通の筋トレの方が良さげという同じ結果だったんですが、カロリー消費量についても普通の筋トレの方が有意…!ってことみたいです。
しかも普通の筋トレが172±29kcalの消費に対して、スロトレが116±22kcalの消費で48%以上も違うって言うんだからなかなか見逃せないですよね。
ということでカロリー消費量の観点から見てもスロトレはおすすめできず…。やはり普通に筋トレした方が良いのかな~と思います。
この研究は普段運動をしていない女性34人を対象に行ったもので、以下の4グループにランダムに分けたそうな。
- スロートレーニンググループ
- 普通の筋トレスピードグループ
- スロートレーニング+普通の筋トレスピードグループ
- 運動しない(コントロール群)
実験期間は6週間にしたそうで、詳しい筋トレ内容は以下な感じだったらしい。
- 筋トレはレッグプレス、スクワット、ニーエクステンション(レッグエクステンション)を行った。
- 最初の1週間は週2日で筋トレを行った。残りの5週間は週3日で筋トレを行った。筋トレ日の間隔は最大で2日間空ける形を採用した。
- スロートレーニングは、筋肉を縮めるのに10秒間、伸ばすのに4秒間の時間をかけた。1セット6~10レップで行った。強度は1RMの40~60%以下で行った。
- 普通の筋トレは、筋肉を縮める・伸ばすのに1~2秒間の時間をかけた。1セット6~10レップで行った。強度は1RMの80~85%以下で行った。
- スロトレ+普通の筋トレでは上記のそれぞれの時間で縮める・伸ばすを行った。1セット20~30レップで行った。強度は1RMの40~60%以下で行った。
筋トレの前後に筋肉チェックをしたそうで、最後にデータを見比べた結果、このようになったそうです。
- スロートレーニング、普通の筋トレ、スロートレーニング+普通の筋トレの全てで、筋トレ効果があった…!
- 但し普通の筋トレのみ特定の筋線維の割合が増加していた…!
う~ん…。やっぱりスロトレよりも筋トレの方が成績が良かったみたいですね~。
因みにこの結果から、筋トレはスピードよりも強度が大事なのではないか…?となったみたいです。高い強度でやった方が全体的な筋線維の反応が大きくなったらしいんで。
個人的考察
筋トレ中に息を止めてOKだったとかスロートレーニングは意識しなくても普通に筋トレすればOKとか、色々、日々変わっていくんだな~と思う今日この頃でした。ということで個人的には、
に書いたことも踏まえると、強度の部分よりも、全体のボリュームが大事なのかな~と思います。
に書いたことも踏まえると、強度の部分よりも、全体のボリュームが大事なのかな~と思います。
つまり、筋トレは普通のスピードでボリュームを意識して行うとベスト…!という非常にありきたりな結論に落ち着くのかな~と。
さて、いつも通り、ジムでも行って普通に筋トレしますか~(笑)
参考文献
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/1993/08000/The_Effect_of_Voluntary_Effort_to_Influence_Speed.9.aspx
https://www.youtube.com/watch?v=rBjGLUt_UFU
https://www.youtube.com/watch?v=rBjGLUt_UFU