【まとめ】日本に古くからある発酵食品「納豆(ナットウキナーゼ)」の研究を見てみよう!
発酵食品が健康やメンタルにプラスの影響をもたらすのは以前に書いた通りでして、また伝統的な日本食も健康に良さそうなんで、積極的に食べていきたいものの一つとなっております。
納豆の摂取と心血管疾患(CVD)による死亡リスクの関係について調べてみた…!
2016年の岐阜大学の前向きコホート研究によると、納豆の摂取と心血管疾患(CVD)による死亡リスクの関係について調べてみたそうです。
以前から納豆を食べると心疾患の予防になる…!という話はあったものの、その関係性を調べた疫学調査はなかったんだそうな。またこういったことを調べる際のアンケートでは「大豆食品や大豆製品」みたいな感じでざっくりくくられるため、納豆の効果についてはよく分からなかったらしい。そこで今回この辺を踏まえて調査してみることにしたんだとか。
この研究は高山研究(高山スタディ)っていうデータセットを用いたもので、がんや慢性疾患なんかの原因を食事や生活習慣から見つけようとしたもの。始まりは1992年で岐阜県高山市に住む35歳以上の31,552人を対象に健康アンケートを実施、一般的な質問から食事、喫煙、身体活動、病歴なんかに答えてもらったそうな。
このデータセットから今回がんや脳卒中、虚血性心疾患の病歴のない29,079人(男性13,355人、女性15,724人)を対象にチェックしてみたとのこと。因みに納豆やソイプロテイン(大豆タンパク質)、イソフラボンの摂取についてはスタート時に行った169項目のFFQ(食事摂取頻度調査票)から評価したみたい。
最終的な実験期間は1992年9月1日~2008年10月1日までの16年間でして、この間に心血管疾患で亡くなった方のデータを抽出、統計処理して納豆などとの関係性を見てみたんだとか。
では気になる結果を見てみましょう…!
- 16年間の追跡期間中に心血管疾患で亡くなった方は1,678人だった。
- 1,678人中677人は脳卒中で亡くなっていた。
- 1,678人中308人は虚血性心疾患で亡くなっていた。
- 納豆を最も食べていた人は最も食べていなかった人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが25%(HR0.75)も有意に低かった…!
- 心血管疾患による死亡リスクと、総ソイプロテイン、イソフラボン、納豆以外の大豆食品からのソイプロテインやイソフラボンの摂取量は有意な関係になかった…!
- 緑茶の摂取量は関係なかった…!
- ソイプロテイン(大豆タンパク質)を最も食べていた人は最も食べていなかった人に比べて、脳卒中による死亡リスクが25%(HR0.75)も有意に低かった…!
- 納豆を最も食べていた人は最も食べていなかった人に比べて、脳卒中による死亡リスクが32%(HR0.68)も有意に低かった…!
- 納豆を最も食べていた人は最も食べていなかった人に比べて、虚血性脳卒中による死亡リスクが33%(HR0.67)も有意に低かった…!
つまり、大豆食品や大豆製品というざっくりしたくくりではなく、納豆で心血管疾患による死亡リスクが下げられるみたいです。これは嬉しいですな~。
因みに研究者曰く、
- 我々の知る限り、本研究は納豆の摂取と心血管疾患による死亡リスクの関係を前向きに調べた初の研究である
とのことなんで、このデータは結構貴重だったり致します。
この研究によれば、最も納豆を摂取していた人の1日の摂取量の中央値は7.3gってことでした。意外と少ないですよね。納豆って1パック大体40~50gなんで、週1,2回食べればOKって感じです。これは達成しやすいですな。
ナットウキナーゼと心血管疾患リスクの関係についての初のRCTの系統的レビューとメタ分析…!
2023年の河南中医薬大学の研究によると、ナットウキナーゼと心血管疾患リスクの関係についてRCTの系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
ナットウキナーゼは納豆に多く含まれる酵素でしてネバネバの部分になります。
んで、このナットウキナーゼは、
- 2020年の瀋陽薬科大学の研究:抗炎症作用・抗酸化作用や血液サラサラ効果(抗凝固作用・血栓溶解作用、抗血栓作用)がある
- 2014年のシラーズ医科大学の研究:抗高血圧作用がある
- 2002年の地方独立行政法人 青森県産業技術センターの研究:抗酸化作用、抗動脈硬化作用、脂質低下作用、悪玉コレステロールの酸化の抑制作用がある
って感じで、心血管疾患に良さげなんですな。
また嬉しいのがナットウキナーゼの摂取は納豆で食べるだけでOKでして、しかも納豆って安くてコスパも良いときております。
そこで今回、ナットウキナーゼと心血管疾患リスクの関係について初のRCTの系統的レビューとメタ分析を行い、そのポテンシャルをまとめてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2023年2月14日までに発表されている該当研究をPubMed、Web of Science、Embase、コクランで検索してみたそうな。またその際、RCTで最低1か月以上の期間をチェックした研究のみを探してみたらしい。
すると全部で1,032件の研究がヒットしたとのこと。次に重複研究や関係ない研究を除外しつつ、更に質の低い研究も除いていったそうな。最終的に残った研究は7件でして、そのうちの6件でメタ分析を行ったそうです。
因みにピックアップされた研究の特徴は以下な感じ。
- ナットウキナーゼグループの合計:311人
- プラセボグループの合計:296人
- 平均サンプル数:86人
- サンプル範囲:28~265人
- 男女比:約62%が女性
- 国籍:約56%がアメリカ人、その他はアジア人
ではぽ結果を見てみましょう。
- ナットウキナーゼの総摂取量が比較的少ないことと、総コレステロールの間に正の相関関係があった…!
- ナットウキナーゼの総摂取量が多いと総コレステロールの増加につながっていた…!
- ナットウキナーゼの総摂取量が比較的少ないと善玉コレステロールの低下につながっていた…!
- ナットウキナーゼの総摂取量が少ないと悪玉コレステロールの増加につながっていた…!
- ナットウキナーゼと中性脂肪に有意な関係性は見られなかった。
- ナットウキナーゼを摂取すると収縮期血圧(SBP)が有意に低下していた…!
- ナットウキナーゼを摂取すると拡張期血圧(DBP)が有意に低下していた…!
- ナットウキナーゼを摂取すると血糖値がわずかに増加していた…!
- ナットウキナーゼによる副作用などのデメリットは見当たらなかった…!
ナットウキナーゼにより、総コレステロールは上がるけど内訳は善玉コレステロールが増えて、悪玉コレステロールが増えるからっぽいですね。また血圧に良い効果がありそうな感じ。それと有害事象がなかったってのも安心できてうれしいですな。
因みに研究者によれば、
- ナットウキナーゼを短期間・低用量摂取しても、脂質に良い効果はなさそう…。
- ナットウキナーゼは高血圧に良さげだけど、サブ的に考えるぐらいが良さそう…。
- ナットウキナーゼが心血管疾患リスク要因の改善と強く関係しているかは現時点でははっきり結論は出せなかった…。
とのことで、ちょっとモヤモヤした感じでした。
まだまだ研究の総数が少ない感じらしいんで、今後の研究に期待…!ってところも大きいみたい。
個人的には納豆の血液サラサラ効果は期待して良いのではないかと思う結果だと思いました。
個人的考察
納豆は積極的に食べていきないな~と思いました。