2型糖尿病の発症リスクと食事・栄養素の関係についてアンブレラレビューを行ってみた!
2型糖尿病の発症リスクと食事・栄養素の関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2019年のハインリッヒ・ハイネ大学の研究によると、2型糖尿病の発症リスクと食事・栄養素の関係について前向きコホート研究のメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも糖尿病は世界中で問題になっている病気の一つでその有病率は8.8%とのこと。そして今後も増えていくと予想されているそうな。そんな糖尿病ですが多くの方が発症する恐れのあるのが2型糖尿病です。糖尿病全体の90%を占めているみたいなんですよね。
んで2型糖尿病には、食事が大事…!栄養が大事…!って話は良く聞くところでしょう。んがしかし、この辺のエビデンスレベルがはっきりしていないものも多いそうな。そこで今回研究者たちはガッツリこの辺を調べてみることにしたみたい。
まず最初に2018年8月までに発表された該当研究をPubMedやWeb of Science、Embaseで検索してみたそうな。すると11,413件の研究がヒットしたんだとか。続いて検索にヒットした物を該当基準と除外基準に照らし合わせて行ったらしい。
最終的に残った研究は53件でして、扱っていた項目は
- 食事行動や食事の質:12件
- 食品グループや個々の食品:56件
- 飲み物:10件
- お酒:12件
- 主要栄養素:32件
- 微量栄養素:31件
って感じ。
これらを使い2型糖尿病の発症リスクと食事・栄養素の関係を見てみたそうです。
それでは各項目ごとに見ていきましょう。
【食事行動や食事の質】
【食品グループや個々の食品】
- 全粒穀物の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は高いエビデンスレベルだった(1日30g増えると13%低下(HR0.87))
- 赤身肉の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は高いエビデンスレベルだった(1日100g増えると17%上昇(HR1.17))
- 加工肉の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は高いエビデンスレベルだった(1日50g増えると37%上昇(HR1.37))
- ベーコンの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は高いエビデンスレベルだった(1日2枚当たり107%上昇(HR2.07))
- チョコレート、小麦ふすま、ヨーグルト、乳製品の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は中程度のエビデンスレベルだった。
- 肉類、白米、赤身肉の加工肉、フライドポテト、ホットドッグの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は中程度のエビデンスレベルだった。
- 野菜、果物、精製穀物と2型糖尿病発症リスクには関係性が見られず、中程度のエビデンスレベルだった。
- 黄色い野菜、油の多い魚の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は低いエビデンスレベルだった。
- 全粒シリアル、全粒パン、全粒穀物、玄米、オリーブオイル、アイスクリーム、ベリー類、リンゴとナシの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は低いエビデンスレベルだった。
- ゆでじゃがいも・焼きじゃがいも・マッシュポテト、ハンバーガー、全ジャガイモの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は低いエビデンスレベルだった。
- ナッツ類、アブラナ科の野菜、発酵乳製品、バター、低脂肪乳製品、果物、野菜、緑葉野菜、高脂肪乳製品、小麦胚芽、クリーム、高脂肪牛乳、牛乳、シャーベット、チーズ、豆類、低脂肪牛乳、魚、赤身魚、貝類、鶏肉、卵、魚介類、未加工の赤身肉、米、大豆製品、カッテージチーズ、柑橘類と2型糖尿病発症リスクの関係は低いや非常に低いエビデンスレベルだった。
【飲み物】
- ソフトドリンクの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は高いエビデンスレベルだった(1日1サービング増えると26%上昇(HR1.26))
- カフェイン入りコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、全コーヒーの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は中程度のエビデンスレベルだった。
- 人工甘味料入りドリンクの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は中程度のエビデンスレベルだった。
- 果汁入りジュースの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は低いエビデンスレベルだった。
- 100%ジュースの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクは明確な関連性は見られず非常に低いエビデンスレベルだった。
【お酒】
- 中程度のアルコール摂取量と2型糖尿病発症リスクの低下は高いエビデンスレベルだった(1日12~24g増えると25%低下(HR0.75))
- 少量のアルコール、中程度のビールの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は中程度のエビデンスレベルだった。
- 多量のアルコール摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は明確な関連性は見られず中程度のエビデンスレベルだった。
- ワインの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は明確な関連性は見られず低いエビデンスレベルだった。
- 少量のビール、多量のビールの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は明確な関連性は見られず低いエビデンスレベルだった。
- 蒸留酒の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクは明確な関連性は見られず低いエビデンスレベルだった。
【主要栄養素】
- 穀物に含まれる食物繊維の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は高いエビデンスレベルだった(1日10g増えると25%低下(HR0.75))
- 植物ステロールと総食物繊維の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は中程度のエビデンスレベルだった。
- 総タンパク質、動物性タンパク質とカリウムの比率、動物性タンパク質の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は中程度のエビデンスレベルだった。
- トランス脂肪酸、不溶性食物繊維とスクロースの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は低いエビデンスレベルだった。
- コレステロールの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は低いエビデンスレベルだった。
- 水溶性食物繊維、植物性タンパク質、多価不飽和脂肪酸、α-リノレン酸、総脂肪、一価不飽和脂肪酸、動物性脂肪、オメガ3脂肪酸、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸(片方又は両方)、総炭水化物、総糖質、麦芽糖、オメガ6脂肪酸、飽和脂肪、乳糖、果糖、トランス脂肪酸、ブドウ糖と2型糖尿病発症リスクは明確な関連性は見られず低いから非常に質の高いエビデンスレベルだった。
【微量栄養素】
- 微量栄養素と2型糖尿病発症リスクは関連性が見られず高いエビデンスレベルだった。
- マグネシウムの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は中程度のエビデンスレベルだった。
- 総ポリフェノール、カルシウム、カテキンの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は低いエビデンスレベルだった。
- フェノール酸、カフェイン、アントシアニンの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は低いエビデンスレベルだった。
- ヘム鉄の摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇は低いエビデンスレベルだった。
- スチルベン、フラバノール、プロアントシアニジン、ミリセチン、フラボノール、フラノボイド、フラバン-3-オール、ケンフェロール、ダイゼイン、イソフラボン、ケルセチン、ゲニステイン、総鉄分、フラバノン、フラボンおよびリグナン、ビタミンD、リコピン、ジヒドロカルコン、ルテオリン、その他のポリフェノールと2型糖尿病発症リスクは明確な関連性は見られず低いから非常に低いエビデンスレベルだった。
- ビタミンC、ビタミンEの摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下は非常に低いエビデンスレベルだった。
予想と違いあんまり効果がないものもあれば、逆にこれって良いんだ~みたいなものもありましたね。
最後に高いエビデンスレベルの物でまとめてみましょうか。
【摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの低下】
- 全粒穀物
- 穀物に含まれる食物繊維
- 中程度のアルコール
【摂取量の増加と2型糖尿病発症リスクの上昇】
- 赤身肉
- 加工肉
- ベーコン
- ソフトドリンク
リスクの低下よりもリスクの上昇を注意していきたいラインナップですねー。