【まとめ】マインドフルネス・マインドフルネス瞑想の効果を片っ端から挙げてみる!
そこで疑問なのがマインドフルネスを意識したりマインドフルネス瞑想をするメリットってなに…?こと。テーラワーダ仏教に沿うならばメリットを期待して行うのはそもそもおかしいんですが(笑)、とはいえメリットがないとやる意味を見出せん…!みたいな人(私)もいると思いますんで、軽くまとめておこうかと思います。
ストレスが軽減する
様々な研究で明らかになっているのはストレス軽減効果。大体8週間程瞑想を続けると効果がでてくるみたいです。サンクコストバイアスに強くなる…!ネガティブが少なくなる…!決断力がアップする…!
サンクコストバイアスとはもったいない精神や貧乏性のこと。自分が投資したお金やかけた時間、労力などを捨てられずに未来の行動を決定してしまう性質が人間にはあるという意味でお金や時間の投資、片付けの際に特に現れやすい現象です。対策としてはバイアスの存在を認識することなんですが、実はマインドフルネス瞑想でもサンクコストバイアスを突破しやすくなるんですよね。
2013年のINSEADの研究によると1日15分のマインドフルネス瞑想でサンクコストバイアスに強くなるんだそうな。更にネガティブが少なくなるし、決断力がアップするしで良い事尽くしだったご様子。
バイアスに強くなる可能性が…!
2017年のケント大学などの研究によるとレーズン・エクササイズを行ったらバイアスに強くなる可能性があるんだそうな。この研究ではマインドフルネストレーニングとして、レーズン・エクササイズを使ったみたいなんですが、対応バイアスの減少が確認できたとのこと。対応バイアスとはAさんがBさんの命令で悪事を働いた場合、Bさんの命令という原因を考えるよりもAさんは本当に悪い人だから悪事を働いたと考えてしまうバイアスのこと。つまり、人は人の行動を見る時、根本の原因を深く考えるよりも、手頃な表面上の部分のみにフォーカスして考えてしまうって感じですね。なんでこの人はこんなことをしたんだろう…?って真意を考えるよりも悪い人だからこういうことをしたんだ…!って考える方が楽なんで分からなくもないかと…。
んで、研究者曰く、レーズン・エクササイズのようなマインドフルネストレーニングを行うことで対応バイアスのような五感に関するバイアスに強くなる可能性があるよ…!ってことをおっしゃっております。これはうれしいですね~。
集中力が最大50%アップした…!
2010年のウェイクフォレスト大学の研究によると、マインドフルネス瞑想を1日20分間、週4回行っただけで、集中力が最大で50%もアップしたそうです。1.5倍は素晴らしい…!
ワーキングメモリがアップする…!
2013年のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究によるとマインドフルネストレーニングを1日20分間、2週間行うとワーキングメモリがアップしたとのこと。因みにワーキングメモリがアップするなら、頭が良くなるってことなんでもしかして勉強にも使えるんじゃ…?って思った方は正解の可能性が高いです。上記研究によれば勉強や試験の成績が上がるって結果も出ているみたいなんですよね。まぁ、確かに記憶の定着には良さそうな感じですよね~。
セルフコントロールがアップするかも…!
1999年の研究では瞑想でセルフコントロール能力がアップした(意志力がアップした)なんて話があります。つまり、誘惑に強くなる=ダイエットにも使えるって可能性もでてきますね(砂糖の誘惑を抑えるのに使えるという論文がある)
料理も上手くなるらしい…!
2013年のScientific Americanによると瞑想により料理が上手くなるらしい。まぁ、集中力が求められる作業全般に効果がありそうなんで料理に限った話ではないかもしれませんが参考程度にご紹介しておきます。親切になる…!カリスマ性もアップする…!
ノースイースタン大学の研究によれば1日20分間の瞑想を8週間続けると親切になったんだとか。理由は脳の扁桃体が変わり、共感力がアップしたからとのこと。扁桃体は感情のコントロールエリアなんで、なるほどな~って話ですね。
ということは、共感力の高さはカリスマ性において重要なスキルなんで、つまり、瞑想で共感力がアップする=カリスマ性もアップするということになりますかね…!これはうれしいですね~。
ポジティブになった…!
カリフォルニア大学の研究によると慈悲の瞑想(自分自身を含む全ての物に感謝・幸福を願う瞑想)を6週間続けた結果、ポジティブになれたんだそうな。慈悲の瞑想はちょっとヤバそうな雰囲気に聞こえる瞑想なんですが(笑)、効果はあるみたいなんですよね~。この当たりはいずれ詳しく書きたいな~。
更に瞑想による呼吸がゆっくりになればなるほど、視覚野の厚みも増していたそうです(瞑想経験が増すと呼吸がゆっくりになることが分かっている)
以上から、マインドフルネス瞑想は精神障がいを改善していく可能性があることが分かっております。
ってことを行ったそう。
結果は、普段からマインドフルネス状態に意識して入り活動している人ほど、ストレスレベルが低く、また不安にもなりづらくてメンタルが安定していることが多かったんだそうな。因みに上記のように普段から意識していけばセルフコントロールがアップする可能性が高いとのこと。更に幸福度も高まりやすくなるそうなんで結構良い事尽くしなご様子。
二つ目の実験では、
ってことを行ったとのこと。
結果、マインドフルネスを意識して歩いてもらうとストレスレベルが下がり、不安などのネガティブが減ったみたい。
これらから研究者は運動をすればストレス解消やネガティブ改善に役立つけど、それにプラスしてマインドフルネスを意識すればもっと効果はアップするよ…!だから激しいストレスを感じたらマインドフルネスに運動をしてみるといいかも…!っとおっしゃっております。
注意機能が高まった…!更にネガティブが減って気分の改善も見られた…!
2007年の大連理工大学のRCTによると大連理工大学の学生80人を2グループに分け、一方に1日20分、5日間のマインドフルネス訓練を行わせたんだそう。結果、注意機能が高まり、ネガティブが減って気分の改善が見られたとのことです。
脳の構造が変わり、脳内ネットワークがスムーズに動くようになった…!
2010年の大連理工大学のRCTによるとオレゴン大学の精神障がいなどない健康的な学生45人を2グループに分け、一方にマインドフルネス訓練(これまでにマインドフルネス訓練の経験がない学生)を、もう一方にリラクゼーション訓練を行わせたそうです。両グループの訓練は月曜日から金曜日までの5日間、毎晩30分を1ヶ月、合計11時間行ったとのことで、結果、脳の構造が変わり脳内のネットワークがスムーズに動くようになる(=脳の情報処理スピードが上がる)ことが分かったそうな。瞑想は続ければ続けるほど効果が出る…!脳の様々な部位の厚みが増す…!
2005年のハーバード大学などの研究によると平均9.1年の瞑想経験がある20名の脳を調べたら、背内側前頭前野(客観視・共感力を司る部分。自閉症の人はここが上手く働かない)の厚みが増していたんだそう。また、島(とう:身体感覚をまとめ上げている場所。この奥に扁桃体(感情)があってつながっている)の厚みも増していたとのこと。更に瞑想による呼吸がゆっくりになればなるほど、視覚野の厚みも増していたそうです(瞑想経験が増すと呼吸がゆっくりになることが分かっている)
以上から、マインドフルネス瞑想は精神障がいを改善していく可能性があることが分かっております。
普段からマインドフルネスを意識したり、運動とセットにしても良いかも…。
2018年のペンシルベニア州立大学の研究では2つの実験を行っておりまして、一つ目では大学生158人に協力をお願いし、- 持っていたスマホにアラームや記録を入力できるアプリを入れてもらう
- 1日8回ランダムなタイミングでそのアラームを鳴らす
- アラームが鳴ったら、各大学生は、今何をしていて、どれぐらいマインドフルに(そのことに集中・熱中して)行っていたか…?をアプリに入力する
- ついでに今のストレスレベルやポジティブ・ネガティブなどの気分を入力してもらう
- 以上を14日間続けてもらう
ってことを行ったそう。
結果は、普段からマインドフルネス状態に意識して入り活動している人ほど、ストレスレベルが低く、また不安にもなりづらくてメンタルが安定していることが多かったんだそうな。因みに上記のように普段から意識していけばセルフコントロールがアップする可能性が高いとのこと。更に幸福度も高まりやすくなるそうなんで結構良い事尽くしなご様子。
二つ目の実験では、
- 参加者に外を歩いてもらう
- その時、外を歩いていることのみに意識を集中してもらう(マインドフルネスを意識して歩いてもらう)
ってことを行ったとのこと。
結果、マインドフルネスを意識して歩いてもらうとストレスレベルが下がり、不安などのネガティブが減ったみたい。
これらから研究者は運動をすればストレス解消やネガティブ改善に役立つけど、それにプラスしてマインドフルネスを意識すればもっと効果はアップするよ…!だから激しいストレスを感じたらマインドフルネスに運動をしてみるといいかも…!っとおっしゃっております。
リラックス効果もあるよ…!
2006年のマギル大学の研究によると、32人の健康な若い男女にボディスキャン瞑想を行ってもらったそうで、結果、血圧や心拍数が大幅に低下した(≒リラックスした)んだそうな。イライラ・ストレス解消になるよ…!
2009年のロンドン大学セント・ジョージ校の研究では毎日10本以上たばこを吸っているという方48人に協力をお願いし、10分間のボディスキャン瞑想をしてもらったとのこと。結果、禁煙による禁断症状が和らいだ(≒イライラ・ストレス解消になった)みたい。サンプル数は少ないですがなかなか良さそうな感じですね~。
慢性疼痛による頭痛や腰痛などが減った…!
2005年のデューク大学医療センターのRCTによると、慢性腰痛(慢性疼痛)の患者さん43名を対象に8週間、慈悲の瞑想を行ってもらったとのこと。結果、慢性疼痛による頭痛や腰痛などが減ったそう。ポジティブな感情が増え、うつ症状が減少した…!
2008年のノースカロライナ大学チャペルヒル校のRCTによると、仕事をしている成人139名を集め、慈悲の瞑想を7週間行ってもらったんだそうな。結果、ポジティブな感情が増え、うつ症状が減少したとのこと。効果を感じた時から15ヶ月ほどその効果が持続した…!
2010年のカリフォルニア大学・ノースカロライナ大学の研究によると、慈悲の瞑想の効果を感じた時から15ヶ月ほどその効果が持続したらしい。迷走神経の働きがよくなりストレスが減った…!
2013年のノースカロライナ大学チャペルヒル校のRCTによると、参加者に慈悲の瞑想をしてもらったら、迷走神経の働きがよくなりストレスが減ったそう。脳の灰白質の量が多く、分厚かった…!
2013年の香港大学の研究によると、普段から慈悲の瞑想を行っている男性25人(うち10人は少なくとも5年間は行っている)にMRIを行い、脳を調べてみたんだそうな。結果、灰白質の量が多く、分厚かったとのこと。反芻思考対策になる…!
シロクマのリバウンド効果で有名なハーバード大学のダニエル・ウェグナー教授の2011年の研究によると、マインドフルネスやマインドフルネス認知療法(MBCT)、マインドフルネスストレス軽減法(MBSR)による瞑想は反芻思考の対策として本当に効果がある方法なんだとか。ストレスと感情のアップダウンが減る…!
ピーター・サイドラーという有名な瞑想の先生によれば、1日10分のマインドフルネス瞑想でもストレス対策になるとのこと。また、感情のアップダウンにも振り回され辛くなるんだとか。ストレスが大幅に減った…!
2014年のカーネギーメロン大学のRCTによると66人の参加者に1日25分のマインドフルネス瞑想をたった3日間だけ行ってもらったんだとか。すると、ストレスが大幅に減ったとのこと。
白髪が減るかもしれない…!
2009年のブラッドフォード大学の研究によるともしかしたらマインドフルネスで白髪が減るかもしれないんだとか。まぁ、これはネタ的に捉えていただけたらと(笑)
見た目が若返る可能性があるらしい…!
1992年のマハリシ国際大学の研究によると瞑想経験のある男女423人を調べたら、どうやら瞑想で見た目が若返る可能性があるらしい…。長生きできるかもしれない…!
更に体重も減って、心拍変動も高くなった(意志力もアップした)そう。但し、実際ここまで集中的な瞑想を行うのは現実的ではないですが…。
瞑想で成績が60点(約13%)上がった…!
2013年のカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究によると、大学生48人を集めてGRE(アメリカの教養試験)を受けてもらったそうな。その後、以下の2グループに分けたとのこと。
- マインドフルネスグループ
- 栄養学グループ
んで、それぞれのグループは専門家から1日45分間、週4回の指導を受けたそう。
2週間後、再度GREを行ったらマインドフルネストレーニングを受けたグループは栄養学グループの学生に比べてテストの点数が良かったんだとか。
具体的には、
- 瞑想前のGREの平均点数:460
- 瞑想後のGREの平均点数:520
だったとのこと。
瞑想で学生の成績が60点(約13%)上がったってことになりますね。
コルチゾール(ストレスホルモン)が減った…!
カリフォルニア大学デービス校の研究によると3ヶ月間の集中的な瞑想を行うことによってコルチゾール(ストレスホルモン)が減ったとのこと。テロメアの研究同様、実際に行うのは難しいですよね(3ヶ月は長い…!)。余談ですがこの記事内で紹介している瞑想とテロメアの研究と同じ人が行っていたりします。自分の理解度がアップする…!
2013年の研究によるとマインドフルネスによって自分の理解度がアップするそうな。
まぁ、今この瞬間の「気づき」を得るのが瞑想であり、客観的視点を持てるようになるんで、自分の性格や今の感情などの自己理解が深まるのも納得の結果かと…。
感情のコントロールが上手くなった…!
2010年のマサチューセッツ総合病院の研究によると普段からストレスを感じている健康な26人を対象に8週間のマインドフルネストレーニングを行ったとのこと。結果、扁桃体(感情をコントロールしている部分。アーモンドのような形をしている)の感受性が変化し、感情のコントロールが上手くなったそうな。更にストレスが大幅に減少したそう。
音楽に集中できるようになった…!(楽しみたいことに楽しめる、QOLが向上する可能性がある…!)
2011年のRCTでは参加者132人を4つのグループに分けて調べてみると、マインドフルネス瞑想を行ったグループは他のタスクに気を散らすことなく音楽に集中できるようになったとのこと。つまり、音楽をより楽しめるようになったみたい。研究者曰く、瞑想はQOL(生活の質)を上げる可能性があるかもしれないとのこと。心疾患のリスクが半分に減るらしい…。心疾患は日本人の三大死因の一つなんでこれが本当ならうれしいな…。
睡眠にも効果あり…!
2013年のユタ大学の研究によると参加者38人(20歳~45歳)を対象にマインドフルネス度をチェックしたらしい…。結果、マインドフルネス度が高い人ほど睡眠の質がアップする傾向があったとのこと。つまり、マインドフルネスは睡眠にも効果ありってことですね。マインドフルネスでテロメアの長さが維持された…!
2014年のカルガリー大学の研究によると、マインドフルネスを使ったがん治療やサポーティブエクスプレッシブグループセラピー(自分の吐き出したい感情や不安などをグループで打ち明け合うセラピーのこと)は、乳がん生存者の苦痛を和らげ、コルチゾールレベルに影響をもたらし、一方で、テロメアの長さは乳がんの予後(病気になった人のその後の見通し)と関係があるけど、これら2つの介入の影響ってどうなの…?ってのをランダム化比較試験で調べたそうです。対象者は、ステージIからステージIIIまでのがんと診断された88人の乳がん生存者で、以下の3グループに分けたらしい。
- マインドフルネス瞑想グループ:1日90分を8週間行った。6週目から7週目までは6時間行った
- ハタヨーガグループ:1日90分を8週間行った。6週目から7週目までは6時間行った
- サポーティブエクスプレッシブグループセラピーグループ:1日90分を12週間行った
んで、気になる結果は、
- 全グループの参加者のテロメアの長さが維持されていた…!
そうです。つまり、マインドフルネスやヨガ、グループ療法はどれもテロメアの維持に役立つ可能性がある…!ってことですね。これはうれしい話ですね。
上記で紹介した瞑想を毎日6.3時間を3ヶ月間行うとテロメアに影響があるってのは、なかなか実践向きではなかったんですが、今回の研究は1日90分なんで、大分ハードルが低くなった感じですね~。とはいえ、それでも1時間半の時間を毎日作るのは大変なんですけどね(笑)
灰白質が分厚かった…!しかも…。
2015年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、長期間の瞑想が脳にどのような影響を及ぼすのかを調べてみたそうです。この研究は、普段から瞑想を行っている50人(男性28人、女性22人)と普段瞑想を行っていない50人(男性28人、女性22人)の計100人を対象に行われたそうです。瞑想経験者の経験年数は最低4年で最高46年だったとのこと。平均経験年数は19.8年だったそうで、つまり、20年間、瞑想を続けた人の脳はどうなっているのかがこれで分かるといった研究になります。んで、全員の脳をfMRIにかけてみた結果、普段から瞑想を行っている人はそうでない人に比べて、
- 灰白質が分厚かった…!
とのこと。
灰白質は、ざっくりいうと大脳皮質のことで、神経細胞の集合体です。認知機能に深く関わっているそうで、人間の感情や思考なんかをコントロールしている場所になります。そして、灰白質は通常、歳を取るごとに厚みがなくなってしまうんですよね。でも、今回の研究で長期的に瞑想を行っている方々は加齢によって薄くなる現象がほとんどみられなかったそうです。つまり、長期的な瞑想は、感情や思考のコントロールを維持、向上させ、認知機能を高めるかも…!ってことですね。
また、瞑想は脳の一部にしか影響を与えないと従来考えられていたそうなんですが、今回の研究で、脳の表面だけでなく、脳全体に良い影響があったそうです。これは嬉しい話ですねー。
何とも長い道のりですが、千里の道も一歩からなんで、毎日コツコツ瞑想を行っていこうと思います。
マインドフルネス認知療法(MBCT)は、抗鬱剤と再発率が変わらなかった…!更に…。
私の事業所には移行・B型を問わず、うつ病(精神障がい)の方が通っておりまして、なかなかメンタルが安定せず辛そうな日々を過ごされております。そもそも2011年のダブリン大学のレビュー論文によると、うつ病ってのは通常、発症→再発→安定→再再発を繰り返しやすいそうです。更に問題なのが治療を中断したときのリスク。なんでも1992年のピッツバーグ大学の研究によれば、継続的な治療を行わないと生涯を通じてうつ病の再発と再再発がループしてしまうそうで、その割合は50〜80%ぐらいだそうです。一度深みにハマるとなかなか抜け出せないってことですね。そのため、継続的な治療が大切なんですが、一般的には薬物治療(抗鬱剤)がメインとなります。でも薬を嫌う方は多く、中断してしまう方が多いのも事実…。そこで他に良い方法はないの…?ってことで、マインドフルネス認知療法(MBCT)が使えそうなんですよね。
2015年のオックスフォード大学のRCTによると、マインドフルネス認知療法(MBCT)が抗鬱剤と比較して再発リスクなどを軽減できるのか調べてみたそうです。
というのも研究者曰く、
- うつ病の発症経験のある人は、うつ病の再発と再発を繰り返すリスクが高い。現在、少なくとも2年間は抗鬱剤の服薬継続が推奨されているが、多くの患者が代替療法に興味を持っている
とのことで、マインドフルネス認知療法(MBCT)が代替療法として使えるのかを今回調べてみようとなったのが経緯みたいです。
実験の参加者は現在抗うつ薬を服薬中であり、大うつ病に悩む424人の患者さんを対象としたそうで、以下の2グループ(1グループ212人)にランダムに振り分けたそうな。
- マインドフルネス認知療法(MBCT)を行ってもらう。
- 抗うつ薬を服薬し続けてもらう。
期間は24ヶ月(2年間)で、この間の再発率をチェックしたとのこと。
んで、結果が、
- マインドフルネス認知療法(MBCT)グループ:うつ病の再発率=44%
- 抗うつ薬継続グループ:うつ病の再発率=47%
ということで、ほとんど差がなかったそうです。また、うつの改善度や生活の質(QOL)なども同じぐらいだったとのこと。更にマインドフルネス認知療法(MBCT)グループの患者さんのうちの71%が服薬をしなくて良くなったそうなんで、これはなかなか素晴らしい結果だと思います。
惜しむらくは対照群(プラセボグループ)がないことでしょうかねー。まぁ、でも、中長期的な対策として試す価値はあるのではないでしょうか…?
睡眠の質がアップする…!長期の瞑想経験者になると睡眠時間が短くなるかも…?
2010年のケンタッキー大学の研究によると、瞑想と睡眠の関係性について調べてみたそうです。
一つ目の実験では、クロスオーバーデザインを採用したそうで、参加者は瞑想初心者の大学生10名。この方々に全部で6回、別々の日に以下のどれかをランダムに行ってもらったそうです。
- 40分間の瞑想
- 昼寝
- 適当に過ごす(コントロール群)
各行動は2回ずつ別々の日に行ってもらったそうで、更に別の日の夜に、徹夜をしてもらい、寝不足になったところで40分間の瞑想を行ってもらったそうな。
二つ目の実験では、インドのデリー地域に住む長期の瞑想経験者7名と瞑想初心者23名(コントロール群)を集めて睡眠の質をチェックしたそうです(精神運動覚醒検査(PVT)を使用)
瞑想経験者と瞑想初心者は、調査の時点で年齢と性別が同じになるよう調整したそうで、全員に普段通り過ごしてもらいつつ、研究者は睡眠の質と瞑想時間をチェックしたそうな。
二つの実験の結果は、
- 一つ目の実験の瞑想初心者10名全員が瞑想直後に睡眠の質が改善していた…!
- 1人を除く9名の瞑想初心者が昼寝の直後に睡眠の質が悪化していた…!
- 徹夜明けの寝不足状態は明らかに精神運動覚醒検査(PVT)の結果が悪かった…。但し、瞑想後は大幅に改善していた…!
- 長期の瞑想経験者は瞑想初心者よりも睡眠時間が短かった…!にも関わらず、精神運動覚醒検査(PVT)の結果がはっきりと悪くなることはなかった…!
とのこと。
つまり、瞑想により睡眠の質がアップするし、長期の瞑想経験者になると睡眠時間が短くなるのに睡眠の質は維持されたままになると…。これは面白いですね~。
但し研究者曰く、瞑想が実際の睡眠の代わりになるのか、睡眠負債を完済する効果があるのかはまだわからない、とのこと。
瞑想してりゃ寝なくてOKとか蓄積された睡眠不足を瞑想でご和算にできるのかはまだ分からん…!って感じみたいですね。
脳内の血流量がアップし前帯状皮質と背外側前頭前野が変化していた…!
2006年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、瞑想中の脳内を測定してみたそうです。早速結果を見てみると、
- 脳内の血流量がアップしていた…!
- 前帯状皮質と背外側前頭前野が変化していた…!
とのこと。
以前にご紹介した通り、前帯状皮質と背外側前頭前野は、実行機能や記憶や認知の部位であります。ここが瞑想によって変化したそうな。
つまり、反芻思考やネガティブが減少、リラックス状態となりストレスが減る…!ってことですね。
つまり、反芻思考やネガティブが減少、リラックス状態となりストレスが減る…!ってことですね。
脳の厚さが増すなど脳力の維持・向上の可能性がある…!
2005年のイェール大学の研究によると、参加者20名を対象に瞑想の脳の変化について調べてみたそうです。
今回研究に参加した方は普段瞑想を行っていないそうで、仕事や家庭を持っている一般的な人達だったとのこと。この参加者たちに毎日平均40分の瞑想を行ってもらったそうな。
んで、結果が、
- 瞑想と皮質の厚さの増加は関係していた…!
- 定期的に瞑想を行っていると、加齢に伴う前頭葉の減少を遅らせる可能性があった…!
とのこと。
似たような研究は以前にご紹介しましたが、やはり定期的な瞑想は脳の厚さをアップさせ、委縮を防ぐ効果があるみたい…。
因みに研究者曰く、この現象は脳の右側で発見されることが多かったそうな。脳の右側は、注意力に関する部位なんで、注意力アップを期待しても良さそうな感じ。
ということで、サンプル数は少ないですが、脳力の維持・向上の可能性があるかもしれません。
瞑想は完璧ではない…!ネガティブはなくならない…!
注意点としては、瞑想は万能でネガティブがなくなる…!みたいなあやしいカルト文言みたいなことは全くないということ。ここ大事。だって瞑想しまくっているダライ・ラマ14世ですら、ある僧侶が怒る事ってないの…?って聞くとあるよ…!と答えるぐらいですから…。
でも、ここからがポイントで、ダライ・ラマ14世は怒ることはあるけど、同時に怒りを鎮める方法も知っている、と答えられております。
つまり、誰でもネガティブにはなるけどそれをどう対処・対応していくかは違うってことですね。
本来人間のデフォルトで備わっている機能は必要だったから今も残っているのであり、怒りを含むネガティブも大事な機能となっております。そのため、ネガティブも大事な感情だと受け入れつつ、コーピングレパートリー等でしっかり対処・対応していくとよろしいかと思います。
とりあえず、現状、ブッダさんが苦からの脱却に成功したらしいという以外、完全に無常・苦・無我の三連コンボに太刀打ちできた人はいないみたいなんで、私のような凡人にできるのは、ネガティブに巻き込まれず受容し、上手く使いこなす、その手段に瞑想が使えるな~ぐらいの感覚でいると良いと思います。
方法を問わず瞑想はストレス管理・軽減に効くっぽい…!
2008年のカリフォルニア大学バークレー校の研究によると、瞑想がストレスや反芻思考などにどのような影響を与えるのか調べてみたそうです。この研究は、大学生を対象に行われたそうで、以下の3グループにランダムに振り分けたそうな。
- マインドフルネスストレス低減法:15人
- イーシュワランのエイト・ポイント・プログラム:14人
- コントロール群:15人
因みに瞑想については、週90分を8週間行ったとのこと。
収集したデータを調べてみたところ、
- マインドフルネスストレス低減法とエイト・ポイント・プログラムには、実践後の違いは見受けられなかった…!
- コントロール群と比較してマインドフルネスストレス低減法又はエイト・ポイント・プログラムを行った参加者29名は、ストレスや反芻思考が大幅に減っていた…!
そうです。
つまり、どちらの瞑想方法でも効果はあったってことですね。
この結果に研究者も、瞑想はストレス管理やストレス軽減に使える可能性があるよーとおっしゃっております。
そもそも今までの瞑想研究は、対照群が用意されていたりそうでなかったりとマチマチであったり、プラセボ効果をしっかり除けていなかったそうなんですよね。また、二重盲検が使えないというのも研究の精度を落としていたんだとか。
更に観察研究においては以下のような問題があったとのこと。
- 瞑想のメリットを信じている人や瞑想の経験がある人は、瞑想のメリットを受けたと報告しやすいなどの問題がある。
- 瞑想のメリットは参加者の気持ちで簡単に変わってしまう。
これらの問題から、じゃあ本当に実践で使えるのか…?って謎があったんですよね。そこでデータを統合して2014年時点の結論を出してみよう…!となったのが今回の研究になります。
因みに調べた瞑想のメリットは、
- 不安感や抑うつ、ストレスといったネガティブへの影響度
- 幸福感や前向きに考えられるかなどのポジティブへの影響度
- 生活の質や集中力、物質依存(喫煙やアルコール中毒など)、食習慣、睡眠、痛み(慢性疼痛)、肥満
って感じで、多岐にわたってチェックしてくれたみたい。
まず研究者たちは、2012年11月までに行われたプラセボ効果を対照群とした研究18,753件をピックアップ、次にバイアスのリスクや研究の精度などをチェックして質の高い研究を選んでいったそうな。
最終的に47件の研究が該当、総サンプル数は3,515人だったとのこと。また実験期間に関しては結構バラバラで、ほとんどの研究は短期間だったらしく、3週間~5.4年の間だったらしい。このデータをメタ分析にかけたみたいです。
結果マインドフルネス瞑想は、
って感じ。
つまり、マインドフルネス瞑想で確実に効果がありそうなのは、不安感やうつの改善だけで、しかも効果量は中程度って感じみたいです。
この結果に研究者も、
知的障がいの有無に関わらずマインドフルネスの効果はありそう…!
この研究は境界知能や軽度、中度の知的障がいを持つ成人15名とケアラー7名が参加したもので、皆にマインドフルネス認知療法(MBCT)を行ってもらったと言うもの。
因みにマインドフルネス認知療法…?何それ…?な方は、以下の記事が参考になるかと思います。
マインドフルネス認知療法は9週間続けられたそうで、その後6週間のフォローアップも行ったみたい。併せて、実験スタート時、9週間後、6週間後(フォローアップ終了後)に不安や抑うつ症状をチェックしたそうな。
最後にデータを見てみた結果、
- うつ症状や不安感、セルフコンパッションや他者への思いやりが改善していた…!
- 最も改善したのは不安感だった…!
- 6週間のフォローアップでも全ての改善結果が維持されていた…!
とのこと。
どうやら9週間のマインドフルネストレーニングでメンタルに良い効果があったみたいですし、その効果も6週間続いたみたいですな。これは良い話。
かなり小規模且つ限定的な研究ではありますが、どうやら知的障がいの有無に関わらずマインドフルネスの効果は得られそうな感じです。
瞑想方法によっては創造力がアップするのかも…!
2012年のライデン大学の研究によると、瞑想により拡散的思考と収束的思考が変わるのか調べてみたそうです。
この研究は、サマタ瞑想(フォーカストアテンション)とヴィパッサナー瞑想(オープンモニタリング)の両方を実践している、30~56歳の健康な成人男女19人(女性13人、男性6人)が参加したと言うもの。
参加者には、
- サマタ瞑想を35分間行う→拡散的思考のテスト(5分)と収束的思考のテスト(5分)を10分間を行う。
- ヴィパッサナー瞑想を35分間行う→拡散的思考のテスト(5分)と収束的思考のテスト(5分)を10分間を行う。
- ベースラインセッショントレーニング(コントロールグループ)を35分間行う→拡散的思考のテスト(5分)と収束的思考のテスト(5分)を10分間を行う。
の3パターンを全て試してもらったらしい。
つまり45分間のセッションを3回行ったってことですな。因みにそれぞれのセッションは10日間の間隔を空けたそうです。
また拡散的思考のテストと収束的思考のテストについては、
- 拡散的思考のテスト:代替用途テスト(AUT)を使った。これはある物(ペンやクリップなど)の別な使い方を可能な限り考え多く挙げるテスト
- 収束的思考のテスト:遠隔連想課題(RAT)を使った。これは3つの無関係な単語(例えば「時間」、「髪」、「ストレッチ」など)から、共通する言葉(「長い」など)を考えるテスト
を使ったとのこと。どちらも定番のテストですね。
最後に集まったデータを統計処理した結果、
- ヴィパッサナー瞑想を行った後は、拡散的思考がアップした…!
- サマタ瞑想を行った後は、収束的思考が良くも悪くもならなかった…!
とのこと。
瞑想方法によって結果に違いが出たのは面白いですねー。
ではなぜ違いが出たのかと申しますと、研究者によれば、
- 瞑想によってポジティブな気分がアップする
- この効果によって、拡散的思考だと効果を高めた
- 収束的思考だと効果を打ち消した
と考えられるそうです。確かにありそうですねー。
もちろんこれはサンプル数19人という超小規模実験なんでそこは注意が必要です。但し、もしかしたら瞑想方法によって効果に違いはあるのかもしれませんし、特定の瞑想方法によって創造力がアップするのかもしれませんな。
個人的考察
ということで、マインドフルネス・マインドフルネス瞑想の効果でした。被っている物や似たようなものもありましたが、いくつかの研究で効果が認められたということは信憑性が増したということなんで、期待しても良い感じかと思います。
また、ネガティブ思考や感情から如何に距離をとれるかがストレス対策のポイントなんで、過去の後悔と未来の不安を切り離し、今に集中する瞑想はストレス対策にかなり期待して良い感じ。その他の研究はサンプル数が少ない物がどうしても多いのですが、まぁ、オマケ程度に考えていただけたらと思います。
因みにやり方等については下記をご覧ください。
最後に、言わずもがなであり、しつこいようですが、瞑想で神の声が聞こえたり、奇跡を起こせたり、魔法や魔術的ななんかが使えるようになったりすることは絶対にありませんのでここは必ず押さえておいてください…!
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1053810010000681https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797612459659
https://www.scientificamerican.com/article/how-to-be-a-better-cook/
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