【加筆内容】線維筋痛症の症状改善に役立ちそうな方法を見ていくよー その7「食事編」
線維筋痛症の話の続きです。
前回はマッサージの効果についてでしたが、今回は基本に立ち返って、食事について系統的レビューをみて行こうかと思います。
線維筋痛症にはどのような食事介入・サプリが良いのか系統的レビューを行ってみた…!
2020年のアルスター大学の研究によると、線維筋痛症にはどのような食事介入が良いのか系統的レビューでまとめてみたそうです。
そもそも線維筋痛症は、慢性的で広範囲な痛みを伴う病気でして、更に、
- 不安感・うつ病
- 顎関節症
- 慢性疲労症候群
- 片頭痛
- 過敏性腸症候群(IBS)
などの疾患の発症率も高かったり致します。
んで、これらの結果、総合的なQOL(生活の質)の低下や、疲労感や睡眠障害、記憶力の低下や集中力の低下などの認知能力の問題などに派生していくんですよ。そして、その派生によって、更に痛みが悪化して~という悪循環が起きるんですよね…。これは辛い。
そんな線維筋痛症ですが、まず研究者がはっきりと書いているのが、
- ゴールドスタンダードの治療法はないよ…!
ってこと。まだまだ謎な部分が多くてベストな治療法は確立されていないんすよね。
そして、食事介入の効果に関しても決定打になるデータは出ておりません。そこで今回研究者は、先行研究をまとめて、線維筋痛症における効果のありそうな食事介入とサプリをチェックしてみたそうです。
まず研究者たちは、1990年~2020年3月20日までに発表された線維筋痛症と食事介入、サプリの研究をCINAHLやMEDLINE、Scopus、AMEDを用いて検索して見たそうな。結果、2,620件の研究がヒットしたとのこと。
次に、この中から、適切な対照群や尺度がない場合や質の低い研究を除外していったそうで、最終的に22件の研究が基準を満たしていたそうです。
22件の研究の詳細は、
- サンプル数:806人(男性17人(2.06%)、女性789人(97.94%))
- 女性のみの研究の割合:22件の研究のうち15件(68%)が女性のみを対象としていた
- 研究の平均参加者数:37人(8人~102人の範囲)
- 罹患期間:4年~11.8年の範囲
- 平均年齢:39.6歳~58歳の範囲
って感じ。
また、残念ながら日本人を対象とした研究はピックアップされていなかったのですが、まぁ、仕方ないでしょう。
続きまして、ピックアップされた研究のデザインについてです。
- 22件の研究のうち16件(73%)はランダム化又は盲検化されていた
- 研究の73%が盲検化されていた
- 研究の82%がランダム化されていた
- 18件の研究でRCTが行われており、そのうちの3件はクロスオーバーデザインを採用していた
- 4件の研究はコホート研究(うち2件はクロスオーバーデザインを採用)だった
- 対照群はプラセボや標準食など様々な方法で実施された
更に、今回の食事介入、サプリ内容も合わせてチェックしておきましょう。
最後に研究の質を見ていきます。
22件の研究のうち、
- 研究の質が悪い:1件
- 研究の質はまぁまぁ:6件
- 研究の質が良い:8件
- 研究の質が非常に良い:7件
ということでした。
では結果です。まずは痛みから。
- 緑藻クロレラ:31%の減少…!
- 低FODMAP食:10点中6.6点の痛みだったのが4.9点にまで減少…!
- コエンザイムQ10:56%の減少…!
- ビタミンC&ビタミンE&ニゲラ・サティバの種:90.3±1.52点から77.80±1.65点に痛みが減少…!
- アセチル-L-カルニチン:有意な痛みの改善があったが正確なスコアは不明
- ビーガンダイエット:有意な痛みの改善があったが正確なスコアは不明
- ビタミンD:2グループを4つの時点でチェックしたらプラセボよりも痛みが減少した(68.70±12.53、53.40±29.31、62±20.28、64.50±16.14)。しかし、やめると元に戻った。
次は線維筋痛症の重症度についてです。
- エキストラバージンオリーブオイルと普通のオリーブオイルの摂取後に有意に改善(68.61±7.17→52.47±9.68vs47.84±7.47→46.83±4.87)した…!
- コエンザイムQ10でも大幅な改善(52%の減少)がみられた…!
- グルタミン酸ナトリウムの再導入とプラセボの再導入で有意に悪化(22.20±20.60~48±22.40vs22.20±20.60~35.70±19.40)した…!
- 低FODMAP食で大幅に改善(21.8→16.9)された…!
続いて、一般的な健康調査の結果です。
- アントシアニジンのサプリを1日あたり120mg、80mg、40mgの3回に分けて摂取すると、統計的に有意な結果が出た…!
- コエンザイムQ10とプラセボを比較したクロスオーバーデザインでは、SF-36の身体的健康問題による制限と感情的健康問題による制限が大幅に改善されていた…!但し、効果はコエンザイムQ10→プラセボの順番で起こったが、プラセボ→コエンザイムQ10の場合は起こらなかった…。どちらの順番でも効果が見られたのはSF-36の体の痛みだった…!
- ビーガンダイエットは、大幅な改善をしたと出ていたが、具体的なスコアは公表されていなかった。
- アセチル-L-カルニチンは、SF-36の体の痛み、メンタルヘルス、一般的な健康イメージが大幅に改善していた…!またSF-36の身体的健康・精神的健康の合計スコアも有意に改善していた…!ただし、具体的なスコアは不明(図のみで表している)
- ビタミンDを1200IUまたは2400IU摂取すると、SF-36の身体的機能が大幅に改善されていた…!
次はメンタルヘルス(うつ病や不安感)についてです。
- 緑藻クロレラ:不安感が大幅に改善(50.2±38.5~37.2±36.9vs50.3±43.3~42.9±38.3)した…!
- 植物ベースのマルチサプリメント:メンタルヘルス(平均差-8.06)、不安感とうつ病(平均差-2.00)が有意に改善した…!
- コエンザイムQ10:うつ病スコアが大幅に改善(介入後スコア6.2±1.9vs24.1±3.5)した…!但しベースラインのスコアは不明。
- 低FODMAP食:うつ病スコアが有意に減少(5.1→4.2)した…!
- アセチル-L-カルニチン:うつ病が有意な改善した…!但し具体的なスコアは不明。
- エクストラバージンオリーブオイル:精製オリーブオイルよりも、メンタルヘルスが大幅に改善(31.62±2.35~36.20±2.94vs49.10±3.42)した…!
- クレアチン:メンタルヘルスが有意に改善(+23%)した…!
次は睡眠・疲労感、倦怠感です。
- 緑藻クロレラ:睡眠が18%改善…!疲労感が20%改善…!
- 植物ベースのマルチサプリメント:睡眠(平均差-3.00)、疲労感(平均差-2.00)が大幅に改善した…!1日あたり120mg、80mg、40mgの3回に分けて摂取すると、睡眠の質(平均差-0.27、-0.40、-0.32)が大幅な改善した…!
- 低FODMAP食:睡眠の質が大幅に改善(6.6→5.1)した…!
- ビーガンダイエット:睡眠アンケートで大幅な改善が見られた。但し、具体的なスコアは公表されておらず、アンケートの質問内容も不明。
- 低FODMAP食:過敏性腸症候群(IBS)が大幅に改善(275.3→137.4)した…!
- グルタミン酸ナトリウムの除去:過敏性腸症候群(IBS)が大幅に改善(25.5±20.4vs17.5±14.7)した…!
認知機能はこんな感じだったそうです。
- 低FODMAP食:記憶力が大幅に改善(6.9→5.0)した…!
- プロバイオティクス:認知機能が大幅な改善した…!衝動的な行動が減少した…!
ということで細かく見てきました。
最後に注意点としては、
- まだまだ研究の質の低いものが多い
- 平均参加者数が37人と非常に少なく、範囲も8人から75人といった感じでちゃんとしたサンプルサイズをそろえていたのは22件中6件だけだった
- 各研究で各項目の評価尺度がバラバラだった
みたいなことがあるそうな。
まだまだ今後の研究に期待…!って感じが否めませんが、まぁ、参考になる部分はあるかと思います。
個人的考察
この研究結果を雑にまとめると、
まぁ、分からない部分が多分にありますが、少しでも症状改善の可能性がある事を色々試行錯誤していくしかないのが現状ですねー。