【加筆内容】運動は不安対策になるのか? その15「運動が効果的な理由編」
これまで様々な角度から運動が不安に効くのか見てきました。
その結果を一言にまとめると、
運動が効く理由の一つは、不安への耐性アップと感受性ダウン…!
1998年のゲッティンゲン大学の研究によると、パニック障害の患者さんを対象に有酸素運動の効果を調べてみたそうです。
実験は以下の手順に従って行われたそうな。
- 実験開始前に参加者38人の心肺機能をエアロバイクで測定する。
- 次に10週間のランニングを行ってもらう。
- 実験終了後、再度、参加者10人の心肺機能をエアロバイクで測定する。
また参加者については、以下の3グループがあったようです。
これで運動の効果が本当にあるのか分かる感じですね。
では結果を見てみましょう。
- 実験開始前のパニック障害の患者さんのpeak VO2(=VO2max:最大酸素摂取量)と乳酸濃度は、健康な方に比べて、有意に低下していた。つまり、パニック障害の患者さんは健康な方に比べて、心肺機能や疲れやすさが高かった…!
- しかし10週間のランニングを行ったパニック障害の患者さんは、乳酸濃度(≒疲れやすさ)が有意に改善していた…!
- パニック障害の患者さんの持久力(体力)もアップしていた…!
- 実験終了後、ランニング(有酸素運動)は、プラセボよりも、パニック症状の改善に効果的だった…!
- 抗うつ薬の治療はパニック症状の改善に効果的だった…!
- 実験開始前の個人の持久力は、不安感と相関していなかった…!また、持久力のアップとパニック症状の改善も相関していなかった…!
パニック障害の患者さんは体力が低く、疲労感も貯まりやすい感じだったけど、運動でその辺が改善したみたいですね。また、運動により、パニック発作や不安感も改善していたけど、それは個人の持久力や持久力アップとは関係なかったらしい…。
つまり、運動により体力アップや疲れにくくなったのがパニック発作や不安感改善の原因ではないみたい。
では何が原因なのかと言いますと、
- パニック障害などの方は、不安な感情を引き起こし、これが運動を行うことを消極的にしている…!
- 運動プログラムを受けると、これらの症状や感情に対する耐性が高まる…!
- 結果、不安への敏感さが低下する…!
みたいな感じ。
パニック障害だけでなく、うつ病なんかもそうですが、不安になるとついつい億劫になったり、不安に対して過敏になっちゃったりします。しかし運動することによって、これらの症状に慣れて、結果、不安感受性が低下するみたいです。
なるほどこれは納得な理由ですね。