新しい環境とか聞くと身構えちゃう不安な人への対策「健全な不安を手に入れる方法」その1その2の続きです。
んで、一つ目の実験では、皆の前で歌を歌うって場面を用意し、仮説について検証してみたそうです。
では早速見ていきましょう…!



歌のパフォーマンスで不安を興奮として捉え直す効果を確かめてみた…!

実験1では、セルフトークによるリアプレイジングが、プレッシャーのかかる場面でパフォーマンスにどう影響するのか調べてみたそうです。
セルフトークってのは、スポーツ心理学でおなじみの物でして、前向きな言葉を自分自身に投げかけるというものです。例えば、自分自身に対して、自分ならできる…!みたいな声掛けをすることですね。松岡修造とかが現役時代に良くやってましたな。
今回実験に参加したのは大学生113人(男性54人、女性59人)でして、平均年齢は20.30歳だったとのこと。まず参加者たちに任天堂WiiのKaraoke Revolution Gleeっていうゲームを使い、お互いの前で歌ってもらうことを伝えたそうです。
次に歌を歌う前に以下の6グループにランダムに振り分け、セルフトークを大声でしてもらったそうな。

  1. 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は不安になっている。
  2. 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は興奮している。
  3. 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は落ち着いている。
  4. 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は、怒っている。
  5. 次のセリフを大声で伝えてください。セリフを伝えるときは、本当にそれを信じて行ってください。私は悲しんでいる。
  6. 何も言わない(コントロール群)

大声でセルフトークを言った後、参加者は曲の冒頭のフレーズを歌ったそうです。合わせて、心拍数を休憩中、歌うことを知った後、セルフトーク後、歌った後にチェックしたそうな。最後に参加者に歌う前に不安と興奮をどの程度感じたかを7段階で評価してもらったみたいです。
結果は、

  • 参加者全員歌う前は非常に不安を感じていた。
  • 私は興奮していると言った参加者は、他の参加者に比べて、歌う前にかなり興奮していると報告した。
  • 他のセルフトークや何も言わなかった参加者の主観的な興奮に違いはなかった。
  • 参加者の平均心拍数は、休憩中~歌った後まで全て高いままだった。
  • 私は興奮しているといった場合の歌の点数は80.52%で一番高かった…!
  • 何も言わない場合の歌の点数は69.27%だった…!
  • 私は不安になっているといった場合の歌の点数は52.98%で一番低かった…!
  • これらは年齢と性別を調整しても結果は変わらなかった。
  • 私は興奮しているといった場合の歌うことへの自信はM=3.48だった。
  • 私は不安になっているといった場合の歌うことへの自信はM=2.29だった。
  • 何も言わない場合の歌うことへの自信はM=2.19だった。
  • 自信は実際の歌のパフォーマンスと関係がなかった。

とのこと。
皆、不安は感じているし、心拍数も高いままなんだけど、不安を興奮に捉え直してもらった参加者は主観的な興奮・ワクワクがアップし、歌のパフォーマンスもアップしたみたいですねー。しかも面白いのが、他者からアドバイスされて実践しただけで効果があったってことですね。それと自信もアップしたけど結果に影響がないってのは、以前に紹介した根拠のない自信ポジティブシンキングの罠の話に通じますな。