【加筆内容】アルコールとテストステロンの関係ってどうなの?その2
昨日のアルコールとテストステロンの関係の話の続きです。
アルコールを大量に飲むと副腎皮質刺激ホルモン、エンドルフィン、コルチゾール、プロラクチンが大幅に増加し結果テストステロン生成が邪魔される…!
2002年のグラナダ大学の横断研究によると、成人男女を対象にアルコールとエンドルフィンや副腎系ホルモンなどの変化について調べてみたそうです。
この研究は病院に救急搬送された方をサンプル(参加者)としたというちょっと変わった実験でして、以下の2グループに分けたそうです。
- 急性アルコール中毒で運ばれた方
- 軽度のケガで運ばれた方
それぞれのグループの詳細についてはこんな感じです。
急性アルコール中毒で運ばれた方
急性アルコール中毒で救急搬送され実験に参加した方は全部で21人。年齢は20〜27歳の方々で男性が12人、女性が9人だったとのこと。参加者は、明らかな酩酊状態であったそうで、具体的にはろれつが回らない、不安定なヤバい状態だったそうな。アルコールの摂取から集中治療室に到着するまでの正確な時間は分からないそうですが、そんなに経っていない感じだそうです。付添いの方に聞いてみると、飲酒は4〜6時間行っていたそうで、他の薬物は使っていなかったらしい。
症状が落ち着いてきたところで、参加者全員に4〜6時間飲酒した後、救急搬送された事、到着したとき泥酔状態だったことを確認しつつ、普段の飲酒の頻度を訪ねてみたそうな。
因みにほとんどの方が普段からお酒を飲むと答えたそうですが、アンケートやテストの結果からアルコール依存症ではなかったそうです。またアルコール以外の薬物摂取もしていないとのことでした。
最後に実験に参加する承諾を得たそうです。
軽度のケガで運ばれた方
軽度のケガで救急搬送され実験に参加した方は全部で27人。年齢は20〜27歳の方々で男性が11人、女性が16人だったとのこと。参加者は、アルコール摂取量がゼロの状態で病院に到着したそうです。こちらの参加者は普段お酒を飲まない方々だったそうで、血液サンプルを採取する前の48時間以内にアルコールを摂取した人はいなかったとのこと。
因みに軽度のケガってのは打撲や捻挫などだったらしい。
参加者全員は12:00~3:00までの3時間の間に血液サンプルを採取したそうです。
結果、急性アルコール中毒の参加者は、
- 血中アルコール濃度が男性が196±1mg/dl、女性で210±14mg/dlだった(いわゆる酩酊極期状態。血中アルコール濃度が160~300mg/dlぐらいになると繰り返し同じことばかりしゃべる、ふらふら歩くなどの症状が出る)
- プロラクチン(女性ホルモン(授乳ホルモン))が大幅に増加した…!
- 副腎皮質刺激ホルモンが大幅に増加した…!
- コルチゾールが大幅に増加した…!
- 男性のみ黄体形成ホルモン(女性ホルモン)レベルが減少した…!
- 男性のみデヒドロエピアンドロステロン(副腎から分泌される男性ホルモンの代謝産物)が増加した…!
- 男性のみテストステロンレベルが大幅に減少した…!
- 女性のみテストステロンレベルが増加した…!
そうです。
男女特有のバランスがあるホルモンがアベコベになっちゃう感じですね。
また上記が起こる原因として研究者曰く、
- 副腎皮質刺激ホルモンとプロラクチンは女性のコルチゾールレベルやデヒドロエピアンドロステロンレベル、テストステロンレベルのアップと正の相関がある。これは副腎皮質刺激ホルモンとプロラクチンが副腎アンドロゲン(男性ホルモンと同じ作用の物質)の生成に関わっている可能性を示している
- 逆に男性のテストステロンレベルの減少とエンドルフィンの増加は、おそらくエンドルフィンがトリガーとなり、テストステロン生成を抑制しているからだろう
とのこと。
以上をまとめると、
- アルコール(お酒・エタノール)を大量摂取する
- 副腎皮質刺激ホルモン、エンドルフィン、コルチゾール、プロラクチンが大幅に増加する
- テストステロン生成が邪魔される…!
個人的考察
ということでアルコールは1日グラス1~2杯までにしておいた方が良さそうな感じです。
参考文献
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11912073
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-020.html
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-020.html