前回までは肉の種類に焦点を当てて糖尿病リスクを見てきましたが、今回は違う角度で肉と糖尿病リスクの関係を検討してみようと思います。具体的には、体内の鉄分量と糖尿病リスクの関係ですね。
皆さん知っての通り、肉には鉄分(ヘム鉄)が含まれておりまして、特にレッドミートと呼ばれる赤身肉(牛肉やラム肉など)に多く含まれているんですよ。
つまり、肉を食べると体内の鉄分量が増えて糖尿病に…!って可能性があるんですよね。
ここんところがどうなのか見ていきたいと思います。



フェリチン濃度(≒体内鉄分濃度)が高くなると糖尿病リスクも高くなる…!

1999年のCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の研究によると、糖尿病リスクとフェリチン濃度(≒体内鉄分濃度)の関係について調べてみたそうです。
この研究は、1988年~1994年にかけて行われた第3回アメリカ国民健康栄養調査(NHANES=アメリカ国民の代表的な健康調査)のデータセットを用いたもので、サンプルは20歳以上のアメリカ人9,486人とのこと。
この方々を対象に、フェリチン濃度や耐糖能状態、インスリンやグルコースなんかをチェックしたそうな。
年齢や性別、人種、教育、BMI、アルコール摂取量などの変数を調整した結果、

  • フェリチン濃度が300micrograms/l未満の男性と300micrograms/l以上の男性を比べてみると、糖尿病リスクが4.94倍も高かった…!
  • フェリチン濃度が150micrograms/l未満の女性と150micrograms/l以上の女性を比べてみると、糖尿病リスクが3.61倍も高かった…!

とのこと。
つまりフェリチン濃度が高くなると、糖尿病リスクも高くなる…!ってことですね。



体内の鉄分量を定期的な採血によって減らすと糖尿病の症状が改善する…!

2002年のジローナ大学病院の研究によると、フェリチン濃度が高い2型糖尿病患者さんを採血して、症状がどう変わるのか調べてみたそうです。
具体的には、参加者28名を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。

  1. 採血グループ:参加者13名には実験開始時、2週間目、4週間目と2週間間隔で3回の採血(500ml)を行った。つまり、採血でフェリチン濃度(≒体内鉄分濃度)を下げてみた。
  2. 観察グループ:参加者15名には特に何もしなかった(コントロール群)

んで早速結果を見てみると2週間ごとの採血で、

  • フェリチン濃度(≒体内鉄分濃度)が下がっていた。
  • HbA1c(血糖値)が平均で-0.61も下がっていた…!
  • 4ヶ月後の時点でスタート時よりもインスリン感受性が改善していた(採血グループ80.6±43.2%に対して観察グループ-8.6±-9.9%)
  • 12ヶ月後の時点で更にインスリン感受性の改善差が開いていた(採血グループ55.5±24.8%に対して観察グループ-26.8±-9.9%)

とのこと。
どうやら体内の鉄分量を定期的な採血によって減らすと糖尿病の症状が改善するみたいですねー。



個人的考察

ということでまとめると、体内の鉄分量(フェリチン濃度)と糖尿病は関係があり、鉄分量が多くなればなるほど糖尿病リスクもアップする…!って感じでした。
これらを見ると、やはりレッドミートはたまに食べるぐらいに抑えて、メインは鶏肉や魚で行った方が良さそうですねー。



参考文献