【加筆内容】新しい環境とか聞くと身構えちゃう不安な人への対策「健全な不安を手に入れる方法」その5
今回も2013年のハーバードビジネススクールの研究を見ていきます。
ここまで、人前で歌を歌う、人前で話すの場合に不安を興奮として捉え直すのが有効…!って結果が出ております。
数学のテストで不安を興奮として捉え直す効果を確かめてみた…!
実験3では、時間のプレッシャーを与えつつ難しい数学の問題を解いてもらい、落ち着こうというアドバイスと不安を興奮として捉え直すというアドバイスの効果を調べてみたそうです。これも実験2同様、不安あるあるなパターンですね。
今回、実験に参加したのは大学生の男女188人(男性80人、女性108人、平均年齢20.39歳)で、数学のテストが始まる直前に以下の3グループにランダムに振り分け、文字を読み上げたそうな。
- 冷静グループ:落ち着いてください、と伝えた。
- 興奮グループ:興奮してください、と伝えた。
- コントロールグループ:しばらくお待ちください、と伝えた。
次に時間のプレッシャーがかかる状態で、8つの問題からなる非常に難しいIQテスト(数学テスト)を行ってもらったそうです。流れとしては、問題ごとの解答時間を5秒間とし、その後、正解か不正解かを発表、次の問題にいくって感じだったそうな。
因みに不正解すればするほど、実験に参加した報酬が少なくなる感じだったそうです。そのため研究者から参加者に、頑張って報酬の減額を最小限に止めてください…!と伝え、更にプレッシャーを与えたとのこと。
それと研究者によれば、
というフレーズは、皆を非常に不安にさせる傾向があるんだとか。確かにこれらの言葉ってかなり不安になりますな。
次に実際の問題についてご紹介しておきます。
ここで扱われたIQテスト=数学テストってのは、問題の答えが整数か否かを答えると言うもの。例えば、
- (16-4)÷3
と問題が出たら、
- (16-4)÷3=12÷3=4
となります。
この例題の答え(4)のように整数の場合は「true」と答えたら正解です。もし答えが整数でない場合は「false」と答えたら正解になります。
このような問いを超プレッシャーがかかる中制限時間5秒で答えるってのはなかなか不安になりますね~。また合わせて心拍数もチェックしたらしい。
IQテストが終了したら、実験1~3同様、参加者に不安、興奮、自信について自己評価をしてもらいつつ、年齢や性別に関する質問にも回答してもらったそうです。
最後に参加者の心拍数とパフォーマンス(数学テストの正解数)をチェックした結果、
- 冷静グループのパフォーマンスは2.94だった…!
- コントロールグループのパフォーマンスも2.94だった…!
- つまり、落ち着こうとしても何もしなくてもパフォーマンスは変わらなかった…!
- 興奮グループは他の2グループに比べ、明らかに高い点数(3.60)を獲得していた…!
- この結果は年齢や性別を調整しても変わらなかった。
- 安静時に比べテスト発表後から平均心拍数が大幅に増加していた。
- 心拍数は数学のテスト開始からテスト終了まで高いままだった。
- 落ち着くように指示されても心拍数は高いままだった…!
- 冷静グループとコントロールグループの主観的な興奮は差がなかった。しかし興奮グループは、テスト中により興奮したと報告していた…!
- 主観的な不安については、興奮グループ(4.81)、冷静グループ(4.95)、コントロールグループ(4.92)ともにほぼ変わらなかった…!
- 主観的な自信については、冷静グループ(5.49)、コントロールグループ(5.17)ともにほぼ変わらなかった…!しかし、興奮グループ(5.66)は他のグループに比べ、より自信があると感じていた…!
- 数学テストの成績と自信の間には有意な正の相関があった…!また、数学のテストで高得点をたたき出した人は、その後、数学に自信がある…!と報告していた…!
そうです。
個人的考察
つまり不安に対して、落ち着こうとする・何もしないよりも、興奮として捉え直した方がテストにワクワクし、自信を持ち、その結果、実際のテストの点数も良くなった…!ってことですね。不安をパワーに変えていますねー。素晴らしい…!
そしてもう一つのポイントは心拍数が一度上がると、何をしても結局元に戻すのはほぼ無理ってこと。これは冷静・落ち着こう・リラックスと言った方法でもダメだったそうなんで、このアドバイスがムダみたいですね。残念。