ということで今回も2005年のコロラド州立大学レビュー論文の続きを見てみます。



新石器時代と産業革命時代の食品がもたらす健康への悪影響と7つの指標

新石器時代と産業革命時代に主食として導入された新しい食品たち(乳製品、穀物、精製穀物、精製糖、精製植物油​​、脂肪の多い肉、塩、これらの食品の組み合わせ)は、これまでの食生活を一変させ、最終的には健康と幸福にまで影響を及ぼすようになりました。
そして狩猟採集民の食生活において、最小限の加工しかされていない野生の植物性食品・動物性食品がこれらと徐々に置き換わるにつれて、悪影響を及ぼすようになったとのこと。
具体的には、

  1. グリセミック負荷(GL値)
  2. 脂肪酸組成
  3. 主要栄養素の割合
  4. 微量栄養素の密度
  5. 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)
  6. ナトリウム・カリウム比
  7. 食物繊維含有量

の7つの指標から悪影響が読み取れるんだとか。
ということでここからは、この7つをもうちょい深掘りしていきます。


1. グリセミック負荷(GL値)

精製穀物砂糖製品は、未加工の果物野菜よりも、はるかに高いグリセミック負荷(GL値)を維持することが示されております。血糖値の急激な上昇は、腸管から分泌されるホルモンの増加+膵臓からのインスリン分泌を刺激し、血中のインスリン濃度の急激な上昇を引き起こすんですな。一方で、タンパク質と脂肪を炭水化物と一緒に食べた場合、総血糖値とインスリン反応を低下させる可能性があります。ただ、高いグリセミック指数(GI値)の食事を何度も繰り返すと、徐々に体が麻痺してしまい(慣れてしまい)、血糖値やインスリン濃度が高止まりしたままになってしまいます。実際、過去20年間で、高GL値をもたらす炭水化物の長期摂取により、代謝と健康に悪影響を与える研究結果もたくさん出ているとのこと。
そして慢性的な高血糖や高インスリン濃度状態は、インスリン抵抗性に関連した疾患を引き起こし、これをしばしば「文明病」と呼ぶんですな。この文明病は、肥満、冠状動脈性心疾患(CHD)、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)などのことを指しまして、その中でもメタボは特に西洋社会で広く蔓延している他の慢性疾患に影響を与える可能性があるとのこと。その他にも、近視やニキビ、痛風、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、上皮細胞がん(乳がん、大腸がん、前立腺がん)、男性の脱毛症、スキンタグ、黒色表皮腫などがあるんだとか。これらはインスリン抵抗性による疾患=文明病は狩猟採集民や伝統的な食生活を送っている人たちではまれであるか全く見られないそうです。
また、新石器時代・産業革命時代以降の食品は、メタボの根底にあるインスリン抵抗性に関係がありそうなのも見逃せない点と言えます。
また、新石器時代・産業革命時代以降の食品は、メタボの根底にあるインスリン抵抗性に関係がありそうなのも見逃せない点と言えます。例えば、牛乳やヨーグルト、アイスクリームなんかは、比較的GL値が低いんですよ。にも関わらず、インスリン分泌が非常に強く、白パン(ガッツリな精製穀物)にも匹敵するんですな。他にも果糖(フルクトース)はGI値が23と低く、GL値も低いんですが、動物実験では高濃度の果糖(カロリーの35~65%)の食事でインスリン抵抗性を誘発させたりします。他にも低濃度の果糖(カロリーの20%)の食事で高インスリン血症の男性のインスリン感受性が悪化したりもするそうな。そしてアメリカの典型的な食事における総カロリーの39%以上は、インスリン抵抗性に関わるこれらの食品であり、慢性的で大幅な上昇を促進させているとのこと。
ということで、GL値の高い糖類と穀物は現在の主要な食事となっているが、200年前までこれらの食品はほとんど・全く食べられていなかったそうです。



個人的考察

ということで今回はここまで。
続きは来週です。



参考文献

後でご紹介します。