今週の月曜日も引き続き認知行動療法の効果を調べた研究を見ていきます。



マインドフルネス認知療法(MBCT)によるうつ病再発予防・再発までの期間への効果について系統的レビュー・ネットワークメタ分析を行ってみた…!

2021年のレスターシャー・パートナーシップNHSトラストの研究によると、マインドフルネス認知療法(MBCT)によるうつ病再発予防・再発までの期間への効果について系統的レビュー・ネットワークメタ分析を行ってみたそうです。
先行研究により、マインドフルネス認知療法は通常の治療法と比較して、うつ病の再発率を下げると出ておりました。そしてイギリスのうつ病ガイドラインなんかには、現在は健康で過去に3回以上のうつ病エピソードを経験している人はマインドフルネス認知療法が良いよーと記載があったりするとのこと。また系統的レビューやメタ分析でも通常の治療法よりもうつ病の再発予防に良いぞ…!と出ているんですな。
但し、メタ分析では一度に2つの介入しか比較できないと言う弱点があり、3つ以上の治療介入で比較した場合はどうなるのか謎だったんですよ。そこで今回その弱点を補うべく、ネットワークメタ分析を行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2018年7月26日までに発表された該当研究を検索、その後、2019年6月28日まで更新検索したそうな。因みに使われた電子データベースは、CINAHL、コクラン、Embase、MEDLINE、PsycINFO、Web of Scienceとのこと。またこの時、長期の研究(この研究では「長期」の定義を1年以上(12か月以上)追跡調査したものにした)に絞って探してみたらしい。
すると合計2,092件の研究が見つかったんだとか。次にこの中で重複している研究や質の低い研究を除外していったとのこと。
最終的に残った研究は23件でして、うち17件はRCTだったそうな。
ということでメタ分析とネットワークメタ分析の結果のポイントは以下な感じでした。

【うつ病再発予防】
  • メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発率が有意に低かった(RR0.72)
  • ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発率が有意に低かった(RR0.73)

【再発までの期間】
  • メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.52)
  • ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法よりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.57)
  • メタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、プラセボよりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.26)
  • ネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、プラセボよりも、うつ病の再発までの期間が有意に長かった(HR0.23)

【その他】
  • マインドフルネス認知療法とその他の比較(抗うつ薬を使い続ける治療法や認知心理教育、認知療法など)はメタ分析とネットワークメタ分析ともに、いずれも有意差はなかった。

つまり、メタ分析とネットワークメタ分析の結果、マインドフルネス認知療法は、通常の治療法やプラセボよりも効果があり、その他の介入とは同じぐらいの効果がある…!ってなりますね。なかなかよろしい結果なのではないでしょうか…?



個人的考察

これらを見てもマインドフルネス認知療法を、うつ病の再発・再発までの期間延長の対策として取り入れて行ってよろしいのではないかと思います。



参考文献