これまで、


を見てきました。
今回も2021年の世界ADHD連盟の研究を見ていきます。それでは続きをどうぞ~。



カテゴリー⑬:刺激性薬剤の乱用と転用

189. 2020年の系統的レビューによると、処方された刺激性薬剤の非医療目的の使用は、特に大学生において重大な公衆衛生問題であると結論付けていた。非医療目的の使用のほとんどは医学的な影響が全くないか軽微なものの、特に経口以外で摂取した場合、死亡を含む有害な問題が発生する可能性があった。刺激性薬剤における非医療目的の使用の主な動機は学校成績アップと仕事のパフォーマンスアップだった。但しADHDのない個人において、刺激性薬剤の非医療目的の使用により、学校成績や仕事のパフォーマンスがアップすると言うエビデンスはほとんどない
190. 2017年のアメリカの前向きコホート研究によると、ADHDのない人が刺激性薬剤を医療目的外で使っても学校成績が上がるどころか下がるという結果が出た。この研究は18歳から35歳までの高校3年生8,300人以上を調査したもので、処方された刺激性薬剤を医療目的外で使用した人は、医療目的・非医療目的のいずれでも使用しなかった人に比べて、学士号を取得する可能性が17%低かった
191. 2014年の後ろ向きコホート研究では、ADHDの治療薬を処方された440万人と喘息薬を処方された610万人を比較してみた。すると、複数の医師から処方箋を入手したり、複数の薬局で処方箋を受け取ったりしている人と乱用、誤用、転用は、高い相関関係があった。これらの行動は、ADHDグループは喘息グループの4倍の頻度だった。また、刺激性薬剤を処方された人は、非刺激性薬剤を処方された人に比べ、上記の行動を起こす可能性が8倍以上高かった。但し刺激性薬剤を処方された人のうち、上記の行動を起こしたのはわずか250人中1人だった。
192. 2013年の440,000人以上を対象にしたアメリカの研究によると、違法薬物の使用や処方薬の非医療目的の使用が、ADHD治療薬の非医療目的の使用に先行していた
193. 2018年のスウェーデンの研究では、2010年~2011年の間にメチルフェニデートの処方箋を受け取った56,922人を調査してみた。すると、メチルフェニデート使用者のうち4,304人(7.6%)が、処方箋の数よりも過剰に使用していた。過剰使用について46~65歳は6~12歳よりも17倍高かった。また、過去にアルコールや薬物を乱用した経験のある人だと、過剰使用の頻度が2倍高かった
194. 2019年の研究や2018年の研究では、ADHD治療薬におけるアメリカの中毒情報センターに寄せられた電話の大規模調査を行った。その結果、自殺の疑いや薬物乱用・誤用を含む意図的な暴露は、集中治療室への入院と関連があった。また、特に鼻から吸い込んだり注射したりした場合、稀に死亡につながるケースがあった。



個人的考察

とりあえず今回はここまで。
続きは来週です。



参考文献

最後にまとめてご紹介します。