先週の続きです。
今回も2001年にアスレティック・ビルバオが発表した、アスリートや運動経験者を対象にトレーニングを中止した場合の筋肉への影響についてのレビュー論文を見ていきます。



筋力パフォーマンスにおけるディトレーニング

お次は筋力パフォーマンスとディトレーニングの関係のポイントを見てみます。
まずはアスリートが短期のディトレーニングを行った場合から。

  • アスリートは短期間ディトレーニングを行っても筋力が維持されたり、限定的に低下する可能性があった。
  • 12名のウェイトリフターを対象に14日間筋トレをサボってもらった研究によると、ベンチプレスの1RMが-1.7%、スクワットの1RMが-0.9%、固定して維持する筋力が-7%、レッグエクステンションが-2.3%、垂直跳びが1.2%と大きな変化はなかった。一方でレッグカールが-12%、外側広筋(太ももの外側の筋肉)が-8.4~12.7%とかなり減少した。
  • 大学水泳選手を対象に4週間のディトレーニングを行った研究によると、スイムベンチで測定された筋力は維持されていた。一方で、スイムパワー(泳いでいるときに力を加える能力)は-13.6%も減少していた。
  • サボり期間が長くなると筋トレアスリートの筋力パフォーマンスはよりはっきりと低下するものの、この低下率は8~12週間(2,3か月)で7~12%にとどまるみたい。
  • ユヴァスキュラ大学の3つの研究を見てみると、8週間のトレーニング中止後、スクワットが-11.6%、レッグエクステンションが-12.0%減少した。また、両足の最大等尺性収縮(≒空気イスの状態)の筋力が-7.4%、片足の最大等尺性収縮の筋力が-7.6%減少した。後者の変化は4週間のディトレーニングで起こったとのこと。なお、両方の減少は12週間のディトレーニングによる最大筋力の低下が原因らしく、筋線維タイプI(タイプI筋線維:遅筋線維と呼ばれ筋持久力に関係している)、筋線維タイプII(タイプII筋線維:速筋線維と呼ばれ筋力・筋瞬発力に関係している)の面積、筋肉量、筋電図による筋力パフォーマンスはディトレーニング直後から減少していた。

う~ん…。これらを見ると、アスリートが2~4週間(半月~1ヶ月)筋トレをサボっても筋力パフォーマンスは維持が基本で、一部が低下するだけみたいですね。一方でこれが8~12週間(2~3ヶ月)になると、筋力パフォーマンスがよりはっきりと低下するみたい。但しそれでも低下率は7~12%にとどまるんですな。

次に最近筋トレして得た筋力パフォーマンスの場合はどうなのか見ていきます。

  • 最近筋トレして得た筋力パフォーマンスにおけるディトレーニングの場合、場所によって異なるスピードで減少していた。
  • 例えば、高強度筋トレを6週間行う→その後サボった研究によると、1週間のディトレーニングでは高強度筋トレで得た筋力が有意に減少しなかったらしい。この研究ではトレーニングを行った腕(0.8%)と反対側の腕(0.5%)を比べたらしく、このどちらにも有意な変化は見られなかったんだとか。ただその後も見てみると、4週間のディトレーニングで(2.0%と1.3%)、6週間のディトレーニングで(3.1%と2.0%)、8週間のディトレーニングで(3.2%と2.1%)って感じで、徐々に両腕で有意な筋力の減少が見られたみたい。まぁ、段々減少は横ばいになってきてますし、元々よりも筋力は維持されていたみたいですがね。
  • 10週間の片足のみ筋トレ→12週間のディトレーニングを行った研究では、4週間のトレーニング中止でも筋トレした脚が39~60%、筋トレしていない脚が12~37%の筋力増加が維持できていたとのこと。また、12週間のトレーニング中止により筋トレした脚が16~21%、筋トレしていない脚が10~15%の筋力増加が維持できていたそうで、減少はあるもののスタート時よりは依然として筋力が維持されていたんだとか。
  • 一方でアームカールによる筋持久力レベルは、トレーニングの中止により、かなり高い割合で減少するらしく、1週間のサボりで-7%、3週間のサボりで-24%、5週間のサボりで-27%にもなるとのこと。
  • 7~12歳の子供を対象に8週間の筋トレ→8週間のディトレーニングを行ってもらった研究によると、1週間あたりの筋力低下は平均-3%だったそう。

これらを見ると、最近筋トレして得た筋力パフォーマンスの場合、腕や脚、筋力や筋持久力の違いなどによって維持率や減少率は変わるみたいですね~。ただサボったとしてもトレーニングした分が少しだけ残った様子ですが。

最後は、筋トレの仕方(曲げ伸ばしなど)で変わるのかを見てみましょう。

  • カロリンスカ研究所の研究では、12週間、様々なパターンで下半身の筋トレ→12週間のトレーニング中止を試してみたところ、曲げ伸ばしする筋トレパターン(18%)の方が、曲げるのみの筋トレパターン(12%)よりも筋力が維持できていた。理由は曲げ伸ばしする筋トレパターンの方がより大きく筋力増加したためとのこと。
  • また8週間の筋トレ→8週間のトレーニング中止を行った研究によると、伸ばす筋トレのみをした片足は100%筋力が維持されたのに対し、筋トレしなかった片足は81%筋力が維持されるにとどまったそう。
  • 更に大学生を対象に一ヶ月半ディトレーニングを行った研究では、筋瞬発力が維持されていたらしく、これが3か月のディトレーニングになると-15.8%減少したそうです。
  • 最後に競技目的なしの筋トレ好きを対象に等尺性収縮(≒空気イスの状態)の筋トレを8週間行い、その後8週間サボった研究によると、最大等尺性収縮がわずかに減少、逆に最大筋力が22.5%と大幅にアップしたらしい。因みに研究者曰く、筋肉疲労が回復したからじゃないか…?とのこと。

以上を踏まえると、曲げるだけ、伸ばすだけって筋トレよりも曲げ伸ばしの筋トレみたいに色々刺激した方が良い、最大筋力や筋瞬発力、筋持久力といったものに特化した筋トレをするとその特化したパフォーマンスは落ちづらいって感じみたい。


まとめ

色々見てきましたが、アスリートの場合、

  • 筋力低下はディトレーニングから2~3週間以内に起こるっぽい。
  • 但し、筋力パフォーマンスは最大4週間のディトレーニングまで維持される可能性がある…!
  • 筋力パフォーマンスは徐々に減少するものの、ある程度行くと横ばいになり、完全にリセットされずトレーニングした分が維持されるみたい…!

って感じ。
アスリートのディトレーニングにおける心肺機能・代謝の結論と大体同じ感じですね~。



個人的考察

ということで長かったアスレティック・ビルバオのレビュー論文を2つ見てみるシリーズはこれにて終了です。
但し、ディトレーニング研究を見てみるシリーズはまだ続きます(笑)



参考文献