甲状腺ホルモン異常はメンタル問題と関連がある…!ってお話がございます。
今回はその辺の研究を見てみます。



大うつ病患者における甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症との関係について調べてみた…!

2013年の台湾衛生福利部桃園療養院の研究によると、大うつ病患者における甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症との関係について調べてみたそうです。
まず甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症ってなに…?ってところから軽く見ておきます。

  • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンが必要以上に低下した状態。一般的に、無気力や疲労感、むくみ、寒気、体重増加、記憶力低下などが起きる。その有病率は1%~4.6%ぐらいで年齢とともに増加する傾向にある。また65歳以上になると有病率は更に高くなる。男性よりも女性の方が10倍近く多い傾向もある。
  • 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンが過剰に分泌される。代表的な物としてバセドウ病がある。一般的に、運動抑制や無気力、動悸、手の震え、多汗、体重減少、食欲増進、イライラ、不安、そわそわ感、不眠、疲労、集中力や記憶力の低下などが起きる。その有病率は1.2%ぐらいで高齢だと0.4%~2%ぐらい。男性よりも女性の方が10倍近く多い傾向がある。

また先行研究により、甲状腺ホルモン異常は気分障害や認知障害、その他の精神症状との関連性があると出ております。但し、因果関係は良く分かっていないみたい。
そのため今回、大うつ病患者における甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症のリスクについてチェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、当ブログで何度も登場している台湾国民健康保険データベース(NHIRD)を使ったもので、まずはここからランダムに100万人のデータを抽出したんだとか。
次に2005年中に最低1回の医療サービス請求があった人、大うつ病の診断が出ている人、甲状腺機能低下症又は甲状腺機能亢進症である18歳以上の人を探していったらしい。併せて、2006年~2010年にかけて、大うつ病患者と一般集団における甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の発症率を比較してみたそうです。
さて、結果がどんな感じだったかと言いますと、

  • 2005年における大うつ病患者の甲状腺機能低下症の有病率は1.20%だった…!
  • 2005年における一般人口の甲状腺機能低下症の有病率は0.30%だった…!
  • つまり大うつ病患者は一般人口よりも甲状腺機能低下症リスクが高く、オッズ比は3.08だった…!
  • 2005年における大うつ病患者の甲状腺機能亢進症の有病率は2.46%だった…!
  • 2005年における一般人口の甲状腺機能亢進症の有病率は0.79%だった…!
  • つまり大うつ病患者は一般人口よりも甲状腺機能亢進症リスクが高く、オッズ比は2.77だった…!
  • 大うつ病患者の甲状腺機能低下症の年間有病率は0.40%だった…!
  • 一般人口の甲状腺機能低下症の年間有病率は0.13%だった…!
  • つまり大うつ病患者は一般人口よりも年間の甲状腺機能低下症リスクが高く、リスク比は2.47だった…!
  • 大うつ病患者の甲状腺機能亢進症の年間有病率は0.72%だった…!
  • 一般人口の甲状腺機能亢進症の年間有病率は0.32%だった…!
  • つまり大うつ病患者は一般人口よりも年間の甲状腺機能亢進症リスクが高く、リスク比は2.06だった…!

とのこと。
どうやら大うつ病患者は、一般人口に比べて甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の有病率が高かったみたいですね。少なくとも、大うつ病→甲状腺ホルモン異常って流れはありそうな感じ…。
因みにこの研究では、性別の違いも見ておりまして、こちらの結果も先行研究同様、

  • 女性であることは、大うつ病における甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症のリスク要因だった…!

みたい。
但し元々大うつ病は女性の方が発症しやすい傾向がありますんで、そうなれば自ずと甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の発症リスクも高くなるかもってのは思いますよね。
いずれにしても甲状腺ホルモンは気にかけて対策していきたいなーと思いました。



うつ病や不安障害と自己免疫性甲状腺炎の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみた…!

2018年のフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクの研究によると、うつ病や不安障害と自己免疫性甲状腺炎の関係について系統的レビュー・メタ分析を行ってみたそうです。
自己免疫性甲状腺炎(AIT)ってのは、自己免疫疾患の一種でして、体内の抗体が自分自身の甲状腺の細胞を敵だと誤認し、攻撃しちゃう病気のことを言います。結果、甲状腺が慢性炎症の状態になってしまうんですな。有名な物としては橋本病でしょう。そして自己免疫性甲状腺炎になると、甲状腺が硬くなって首が膨らんだようになったり、疲労感や悪寒がしたりするようになるみたい。
そんな自己免疫性甲状腺炎は、アメリカだと約4%から13%の発症率があるんだとか。また男性よりも女性に多く発症し、高齢女性では最大20%に達するらしい。年齢が上がると発症率も高まるみたいなんですな。
一方で、今まで何度も見てきたように、うつ病不安障害はかなりの発症率のある精神疾患となっております。
アメリカにおけるそれぞれの有病率は、


って感じとのこと。
不安障害の18%ってのはすごい高いですよね。
そして近年、自己免疫疾患と精神疾患との関係が強いぞ…!ってのが色々な研究でささやかれるようになりました。
例えば、


などですね。
ただ、うつ病や不安障害と自己免疫性甲状腺炎の関係についてメタ分析を行ったものはなかったらしく、その為今回初めて行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2017年12月5日までに発表された該当研究をGoogle Scholar、EBSCO(PsycINFO、PsycArticles、PSYNDEX、ERIC、Medlineを含む)、Web of Knowledge、PubMedで検索してみたそうな。更に参考文献からも探してみたらしい。
すると検索から10,543件、参考文献から12件の研究が見つかったんだとか。次にこの中で重複している研究を除きつつ、更に質の低い研究も除いていったみたい。
最終的に残った研究は20件でして、総サンプル数は44,388人、うち、うつ病の総サンプル数が43,382人、不安障害の総サンプル数が34,094人ってことでした。
これらのデータをメタ分析にかけた結果、橋本病を含む自己免疫性甲状腺炎や甲状腺機能低下症の患者さんは、

  • うつ病リスクが3.3倍(OR3.31)高かった…。
  • 不安障害リスクが2.3倍(OR2.32)高かった…。

とのこと。
うつ病や不安障害と自己免疫性甲状腺炎はやっぱり関係があったんですね。



個人的考察

ということで甲状腺問題と精神障がいリスクは関係が高そうです。



参考文献