【まとめ】うつ病は再発しやすい!は本当なのか?再発率はどれぐらいなのか?
うつ病からの回復後15年間における再発率について調べてみた…!
1999年のブラウン大学の前向きコホート研究によると、うつ病からの回復後15年間における再発率について調べてみたそうです。
この研究は、1978年から1981年の間にアメリカの5つの医療センター(ボストン、シカゴ、アイオワシティ、ニューヨーク、セントルイス)のいずれかで気分障害の精神科治療を求めた955人の患者さんが対象となっております。
この中で、
- うつ病から回復した380名
- うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名
を最大15年間追跡調査してみたらしい。
最後にデータを統計処理した結果、以下のことが分かったんだとか。
…ってことで、まずは、うつ病から回復した380名の結果から見てみましょう。
- 380名中279名は再発まで追跡調査された(73%)
- 380名中66名は健康を維持しつつ、追跡不能になるまで調査された(17%)
- 380名中35名は健康を維持しつつ、15年後まで追跡調査された(9%)
- 再発までの平均期間は132週間で、15年時点での再発の累積割合は85%だった…!
- 279名のうち、再発中に異なる診断を受けた人もいた。9名(3%)が統合失調感情障害、17名(6%)が躁病、36名(13%)が軽い躁病を発症した。但し、217名(78%)の再発はうつ病だった…!
単純に見た場合の再発率は70%ぐらいで、累計割合は85%にも上るんですね。しかも再発中に他の診断、特に躁状態が出ているので、双極性障害や統合失調感情障害と出ているみたいですな。
お次は、うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名の結果を見てみます。
- 105名中52名は再発まで追跡調査された(49%)
- 105名中18名は健康を維持しつつ、追跡不能になるまで調査された(17%)
- 105名中35名は健康を維持しつつ、15年後まで追跡調査された(3%)
- 15年時点での再発の累積割合は58%だった…!
- 再発までの期間の中央値は394週間(≒7.5年)だった…!
- 52名のうち、再発中に異なる診断を受けた人のほとんど(47名、90%)が、うつ病のみ発症していた…!
- また5名(10%)は軽い躁病を発症したが、統合失調感情障害や躁病を発症した方はいなかった…!
5年以上寛解状態が続いた方でも、再発率は49%、累積割合だと58%になるんですね。但し、再発までの期間は相当長い7.5年ってのは安定していますな。また、再発時もうつ病の診断が90%ってことで、躁い状態がでることも稀っぽいみたい。
最後に380名での再発の予測因子ってのが載っていたんですが、
- 女性
- 過去のうつ病エピソード(鬱な状態)が多い
- 未婚
- 入院前のうつ病エピソード期間が長い
ってのが、気分障害の再発率を高めていたらしい。
但し、上記の特徴やその他の特徴は、うつ病からの回復後、少なくとも5年間健康状態をキープできた105名においては関係なかったそうです。
因みに1995年のペンシルベニア医科大学(現ドレクセル大学)の研究では、うつ病は性差があるよねー、有病率の男女比は男1:女2で、女性は男性よりもうつ病の発症が早く、再発も多いよねーと言っておりましたが、安定期間の長さによって再発に関する性別の影響は違うのかもしれませんね。
うつ病や双極性障害の再発はクセになる…!
2004年のコペンハーゲン大学の研究によると、うつ病と双極性障害における再発リスクとうつ病エピソード数の関係について調べてみたそうです。
そもそもうつ病と双極性障害における再発の最も重要な予測因子の一つとして、過去のうつ病エピソード数が挙げられます。ただ、うつ病エピソード数がその後の再発リスクに及ぼす影響まではあんまり研究が進んでいなかったらしい。そこで今回チェックしてみることにしたんだとか。
この研究は、1959年~1963年の間にチューリッヒ大学精神病院に入院し、1997年まで追跡調査された406名の患者さんを対象にしたもので、406名のうち、186名がうつ病患者さん、220名が双極性障害の患者さんだったとのこと。
んで、追跡調査のデータを見てみたところ、
- うつ病エピソードを1回経験した後の再発リスクは50%…!
- うつ病エピソードを2回経験した後の再発リスクは70%…!
- うつ病エピソードを3回経験した後の再発リスクは90%…!
- つまり、うつ病エピソード数が増加すると、再発リスクも増加していた…!
- 新たなうつ病エピソードが発生するたびに、病状が悪化するリスクも高まっていた…!
- 上記は、うつ病・双極性障害、男性・女性に関係なく起こっていた…!
そうです。
つまり、鬱な状態の回数が増えるほど、うつ病や双極性障害を再発したり、症状が悪化する事も多くなると。クセになって負のループが続くみたいな感じですね。
抗うつ薬を26週間続けると再発リスクを13%減らせる…!抗うつ薬を26週間やめると約33~50%の割合で再発する…!
2017年のイェール大学の研究によると、抗うつ薬の治療を中止したときの再発リスクについて調べてみたそうです。この研究は、2012年以前に実施された、大うつ病患者さんを対象とした抗うつ薬(デュロキセチン又はフルオキセチン)の治療とプラセボを比較した4件の二重盲検の研究データを使ったものでサンプル数は1,462人となっております。
んで、治療中の26週目までの再発についてデータをモデル化し、サンプル数全体と抗うつ薬の中止グループに分けて統計処理してみたんだとか。
結果
- 抗うつ薬もプラセボも再発の流れは似ていた
- 抗うつ薬は再発リスクを有意に低下させていた(OR0.47)
- 女性であることは再発リスクを有意に増加させていた(OR1.56)
- 治療の反応期間が1週間短いと再発リスクを有意に増加させていた(OR1.10)
- 実験開始時の臨床全般印象スコアが高いと再発リスクを有意に増加させていた(OR1.28)
- 全体として、抗うつ薬とプラセボを比較した場合の再発リスクに対する保護効果は約13%(33%vs46%)だった
とのこと。
つまり、抗うつ薬を26週間続けると再発リスクを13%減らせる、抗うつ薬を26週間やめると約33~50%の割合で再発するって感じですね。
個人的考察
これらを見ると、うつ病はずーっと上手く付き合っていかなきゃいけないものなんだなーと改めて感じました。
忘れたころに再発するってパターンも多そうなんで、寛解状態・メンタルの安定時にしっかり予防・対策をしておきたいですねー。
