ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)がヒトの健康に与える影響についてアンブレラレビューを行ってみた!
「アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその98です。
ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)がヒトの健康に与える影響についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2024年の中国医科大学の研究によると、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)がヒトの健康に与える影響について観察研究のメタ分析・系統的レビューのアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まずペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)ってのが何なのかですが、主に産業・商業の分野で幅広く使われている有機フッ素化合物の一種となっております。PFASは水生環境に広く存在し、野生生物に蓄積されます。そして最終的にそれらは人間の体内に入ってくるんですよね。また、職業上の暴露ってのもあったりします。
そんなPFASですが、人間の健康に悪影響…!って先行研究が結構増えてきているんだとか。ただ、関連性の決定打はなく、単一の結果に焦点を当てていたり、結果のバラバラさが激しかったり、バイアスがあったりとなっているらしい。
そこで今回、初のアンブレラレビューを行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2024年2月29日までに発表された該当する観察研究のメタ分析・系統的レビューをPubMed、Embase、Web of Scienceで検索してみたそうな。すると3つのデータベースから合計435件の研究が見つかったとのこと。次にこれらで重複している研究を除外し、その後、各研究の質をチェックしていったらしい。
最終的に選ばれた研究は29件でして、この中には合計157件のメタ分析があったそうです。
それでは結果を見てみますかー。
【高いエビデンスレベル】
- PFASは出生体重と逆相関していた(低出生体重の発生が増える)
- PFASは破傷風ワクチンへの反応と逆相関していた(破傷風ワクチンの効きが悪くなる)
- PFASは中性脂肪値と逆相関していた
【中程度のエビデンスレベル】
- PFASは乳児のBMIと逆相関していた(乳児が低体重になる)
- PFASは精子の運動機能と逆相関していた(男性不妊症になる)
- PFASは早産・妊娠中毒症リスクと逆相関していた
残りの関連性は低いエビデンスレベル又は非常に低いエビデンスレベルだったみたいです。
これらを見ると、乳児への影響がちょっと心配になる感じですねー。