【加筆内容】不眠症と虚血性脳卒中・関連疾患の関係についての系統的レビューを見てみよう!
不眠症と虚血性脳卒中・関連疾患の関係について系統的レビューを行ってみた…!
2024年のベイラ・インテリオール大学の研究によると、不眠症と虚血性脳卒中・関連疾患の関係について系統的レビューを行ってみたそうです。
そもそも不眠症ってのは、寝つきが悪い、寝続けるのが難しいといった症状を特徴としておりまして、日中における認知機能低下や運動機能低下を及ぼすことで有名です。またWHOによれば世界で最も一般的な睡眠障害であり、2番目に多い精神疾患とのこと。
そして虚血性脳卒中との関係があるとも言われているんですな。因みに虚血性脳卒中ってのは、脳内の血管が詰まっちゃうことでして、脳梗塞とも呼ばれたり致します。
そんな睡眠と虚血性脳卒中との関係は、先行研究で調べられているものの、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA:いわゆる睡眠時無呼吸症候群)との関係性ばっかなんだとか。ただ他の要因も考えられるんですよね。
そこで今回、この辺の関係をちゃんと知るため、ガッツリチェックしてみることにしたとのこと。
まず研究者たちは、2023年1月27日までに発表された該当研究をMEDLINE、Scientific Electronic Library Online(SciELO)、Scopus、Science Directで検索してみたそうな。すると全部で984件の研究がヒットしたとのこと。続いて重複研究を除外、その後各研究の質をチェックし、良い物を選んでいったそうな。
最終的にピックアップされた研究は5件でして、特徴は、
- 5件中2件は横断研究だった
- 5件中3件は縦断研究だった
- 総サンプル数は620,072人だった
- 脳卒中患者の総サンプル数は48,206人だった
- サンプル範囲は2,846人~487,200人の間だった
って感じ。
それでは不眠症と虚血性脳卒中の結果から見てみましょう。
- 睡眠の開始・維持が困難、早朝覚醒、日中のパフォーマンス低下を経験している人は、虚血性脳卒中の発症リスクがわずかに高かった…!
- 睡眠時間が極端に短い人や極端に長い人は、通常の睡眠時間の人に比べて、全死亡率(心血管疾患による死亡率を含む)が高かった…!
- 長時間の睡眠は、頻繁ないびきや日中の眠気と関係する虚血性脳卒中リスクの上昇とは別ものと思われる…!
- 睡眠の質が悪い人は虚血性脳卒中リスクが高かった…!
- 睡眠時間が長くなる(例:二度寝など)+昼寝、睡眠時間が長くなる+睡眠の質の悪さは、脳卒中の全体的なリスクに顕著な影響があった…!
どうやら、睡眠の質の悪さ、極端な睡眠時間は虚血性脳卒中(脳梗塞)リスクを上げちゃうみたいですね~。
次にBMIとの関係です。
- 睡眠時間が短い(6.5時間未満)人のBMIは31±7kg/m2、通常の睡眠時間(6.5時間以上7.5時間未満)の人のBMIは30±6kg/m2、睡眠時間が長い(7時間以上)人のBMI29±6kg/m2であった…!
- 睡眠の開始・維持が困難、早朝覚醒、日中のパフォーマンス低下を経験している人のBMIは32.3kg/m2だった…!
- 低体重(BMIが15.0~18.5kg/m2未満)の割合は、睡眠時間が5時間以下の人は9.3%、6時間以下の人は26.4%、7時間以下の人は37.5%、8時間以下の人は21.8%、9時間以下の人は4.5%、10時間以上の人は0.5%だった…!
- 標準体重(BMIが18.5~25.0kg/m2未満)の割合は、睡眠時間が5時間以下の人は6.6%、6時間以下の人は25.6%、7時間以下の人は40.3%、8時間以下の人は23.3%、9時間以下の人は3.8%、10時間以上の人は0.4%だった…!
- 過体重・肥満(BMIが25.0以上)の割合は、睡眠時間が5時間以下の人は5.5%、6時間以下の人は16.3%、7時間以下の人は20.8%、8時間以下の人は13.1%、9時間以下の人は2.4%、10時間以上の人は0.4%だった…!
- 夜の睡眠時間が6時間未満の人のBMIは24.4kg/m2、6~7時間未満の人のBMIは24.6kg/m2、7~8時間未満の人のBMIは24.3kg/m2、8~9時間未満の人のBMIは24.2kg/m2、9時間以下の人のBMIは24.0kg/m2だった…!
どうやら、不眠症などによる睡眠障害や極端に長い・短い睡眠時間の人は肥満の傾向が高くなるみたいですねー。逆に睡眠時間が7時間ぐらいの人はスリム体型が多いみたい。
お次は高血圧の結果です。
- 高血圧の有病率は研究によって大きく異なり10.3%~87%の範囲だった…!
- 睡眠時間が短い人(6.5時間未満)の高血圧発症リスクが87%と最も高く、通常の睡眠時間の人(6.5時間以上7.5時間未満)が84%、長い睡眠時間の人(7.5時間以上)が85%だった…!
- 睡眠障害を経験している人の約33%が高血圧だった…!
不眠症などにより睡眠に問題があると高血圧リスクも高まっちゃうみたいですね。
続いて糖尿病との関係です。
- 糖尿病の有病率は研究によって大きく異なり5.7%~40%の範囲だった…!
- 睡眠時間が短い人(6.5時間未満)の糖尿病発症リスクが40%と最も高く、通常の睡眠時間の人(6.5時間以上7.5時間未満)が35%、長い睡眠時間の人(7.5時間以上)が37%だった…!
- 睡眠障害を経験している人の約6~7%が糖尿病だった…!
不眠症などで糖尿病リスクも上がるんですな。怖い…。
今度は脂質異常症(高脂血症)との関連です。
- 脂質異常症(高脂血症)の有病率は研究によって大きく異なり9.7%~78%の範囲だった…!
- 睡眠時間が短い人(6.5時間未満)の脂質異常症発症リスクが75%、通常の睡眠時間の人(6.5時間以上7.5時間未満)が72%、長い睡眠時間の人(7.5時間以上)が78%と最も高かった…!
- 睡眠時間によっての脂質異常症発症リスクは38.9%~44.6%の範囲だった…!
睡眠問題で血中の脂質濃度も高まるようですねー。
最後は死亡率です。
- 全死亡率は、睡眠時間が短い人(6.5時間未満)が15%、通常の睡眠時間(6.5時間以上7.5時間未満)が11%、睡眠時間が長い人(7.5時間以上)が17%だった…!
- 全死亡者のうち2%が脳卒中だった。睡眠時間が短い人(6.5時間未満)が2%、通常の睡眠時間(6.5時間以上7.5時間未満)が2%、睡眠時間が長い人(7.5時間以上)が3%だった…!
こちらはデータが1件のみだったものの、どうやら睡眠問題で極端に長い・短い睡眠時間になると、全死亡リスクや脳卒中リスクが高まるみたいですね。
個人的考察
ということでざっくりまとめてみると不眠症により、
- 虚血性脳卒中(脳梗塞)リスク
- 肥満リスク
- 高血圧リスク
- 糖尿病リスク
- 脂質異常症(高脂血症)リスク
- 死亡率リスク
が上がることに…。
特にメインである虚血性脳卒中に関しては、睡眠の質の悪さ、極端な睡眠時間(特に極端に長い睡眠時間)がヤバそうなんで、是非、意識して対策していきたいですねー。
因みに対策としては、
の記事に書いたことが特におすすめですかね。
