【加筆内容】ベジタリアン食・ビーガン食における心血管疾患リスクとがんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた!
…ってことで今回は、2023年にパドヴァ大学が発表したアンブレラレビューを見てみます。これがどういったものかと言いますと、ベジタリアン・ビーガンの健康効果を調べているんですよね。
実はベジタリアン・ビーガンの健康効果を調べたアンブレラレビューはちょこちょこ出ておりまして、
- 2020年のロレーヌ大学のアンブレラレビュー:ベジタリアン食は一般的な食事と比較して、総コレステロール、悪玉コレステロール、善玉コレステロールが有意に低かった…!また、糖尿病、虚血性心疾患、がんリスクなどの健康リスクも低下していた…!
- 2023年のパドヴァ大学のアンブレラレビュー:ベジタリアン・ビーガンは、脳血管疾患リスクが41.2%、心血管疾患発症リスクが29%、心血管疾患による死亡リスクが13.8%、虚血性心疾患発症リスクが24.1%減少していた(但し高い異質性アリ)。虚血性心疾患による死亡リスクが32.1%、虚血性脳卒中リスクが32.9%、脳卒中発症リスクが39.1%、脳卒中による死亡リスクが11.6%(有意ではない)減少していた(異質性は中程度)…!
って感じなんですな。
これらを見るとやっぱり野菜をガンガン食べると健康に良いのは間違いないと言えましょう。但し、昔から言われているデメリットはどうなのか…?とか、動物性食品を一切取らないのはどうなのか…?って疑問は、まだまだよく分かっていなかったりします。
ベジタリアン食・ビーガン食における心血管疾患リスクとがんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2024年のボローニャ大学の研究によると、ベジタリアン食・ビーガン食における心血管疾患リスクとがんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも心血管疾患(CVD)とがんは、世界中の死亡と障害の2大主要原因となっております。
一方で動脈硬化症や2型糖尿病、高血圧、肥満などの様々な慢性代謝疾患の予防と改善にベジタリアン食とビーガン食はオススメだとされているんですな。
但し、野菜中心や野菜のみの食事は昔から慢性的なビタミン不足とミネラル不足を引き起こすと言われております。代表的な物はビタミンB群ですね。また妊娠や幼児期は特に注意が必要だって話もあるとのこと。
そこで今回、動物性食品・動物性製品を含まない食事が、成人と子ども、妊婦の健康に与える影響をチェックしてみたんだとか。
まず研究者たちは、2000年1月1日~2023年6月31日までに発表された該当研究をPubMed、Scopusで検索してみたそうな。するとPubMedで1,924件、Scopusで578件がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究を除外しつつ、質をチェック、精査していったらしい。
最終的に選ばれた研究は49件でして、これらのデータを基にアンブレラレビューを行ってみたそうです。
では結果を見てみましょう。
ベジタリアン食とビーガン食は、一般的な食事と比較して、
- 総コレステロールが低下…!
- 悪玉コレステロールが低下…!
- 空腹時血糖値が低下…!
- HbA1cが低下…!
- 体重・BMIが低下…!
- 炎症レベル(CRP)が低下…!
- 善玉コレステロールが低下するかも…?
- 中性脂肪が低下するかも…?
- 収縮期血圧が低下するかも…?
- 拡張期血圧が低下するかも…?
って感じでした。
ただ、気になる事もありまして、ベジタリアン・ビーガンの人は健康意識が高く、他の事も色々している傾向があるんですよね。
この辺について研究者曰く、
とのこと。
確かにこれだけ健康に良い事をしていると、色々な変数があり過ぎて、はっきりベジタリアン・ビーガンの効果なのかイマイチ分かりづらいっすな。また因果関係もよく分からなくなっちゃうし…。
因みにビーガン食のデメリットとしてよく言われるビタミンB12の欠乏症やそれに伴う健康リスクについて、2016年にアメリカ栄養士会がサプリをおすすめしているそう。まぁ、今回の研究によれば、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症リスク増加は報告されていなかったみたいなんですがね…。
最後に、がん発症リスクについてなんですが、3件のメタ分析全てでベジタリアンは一般的な食事と比較してがん発症リスクが低かったみたい。種類によって違うのかはよく分からなかったみたいですが、こちらもポイントになるかと思います。
個人的考察
まとめると、ベジタリアン食・ビーガン食といった野菜中心の食事は、心血管代謝リスク要因、心血管疾患、がん、それらの死亡率の低下に効果がありそうな感じです。