旧石器時代(狩猟採集民)の食事をマネる「パレオダイエット」の効果を見てみよう! その13
まとめ
西洋スタイルの食事は、食生活における様々な慢性疾患の発症や死亡の最大の原因となっています。これらの疾患は成人人口の50~65%を悩ませていますが、一方で、狩猟採集民や西洋化が進んでいない地域の人々ではほとんど、あるいは全く存在しておりません。また一般的に食生活における慢性疾患の原因は単一の食生活に絞って考えることが多くあります。例えば飽和脂肪酸の多い肉は心血管疾患リスクを上げる、塩分は高血圧を引き起こすなどですね。
しかし、過去30年間で得られたこれらの研究を見てみると、いわゆる文明病のほぼ全ては環境要因や遺伝要因に加えて、様々な食生活要因がその根底にあると言えます。
例えば、冠状動脈性心疾患は単に食事中の飽和脂肪酸の過剰摂取から生じるのではなく、新石器時代・産業革命時代に登場した新しい食品(乳製品、穀物、精製穀物、精製糖、精製植物油、脂肪の多い肉、塩、これらの食品の組み合わせ)の過剰摂取による相互作用から生じる可能性があります。
特に、新石器時代・産業革命時代に導入された主食と加工食品は、それまでの食生活における以下の7つの重要な栄養特性を根本的に変えてしまいました。
- グリセミック負荷(GL値)
- 脂肪酸組成
- 主要栄養素の割合
- 微量栄養素の密度
- 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)
- ナトリウム・カリウム比
- 食物繊維含有量
これらの食品や栄養特性の変化が現代の慢性疾患の原因の根底にあり、悪影響を及ぼしているようです。
個人的考察
約1万年前の農業と畜産(農耕)が始まって以来、その環境(例えば、食生活やその他の生活様式)は劇的に変化しました。それは進化の時間的スケールで見てみると昨日のことみたいな感じと言えます。
そのため進化が追い付かず、結果、現代の西洋スタイルの食事や栄養、文化、活動パターンとのすれ違い(不一致・ミスマッチ)が起きており、これが、いわゆる文明病の多くの出現の原因だと言えます。
そしてパレオダイエットとはこのすれ違い(不一致・ミスマッチ)を防ぐ食事法です。つまり、農耕が始まる前、旧石器時代(約250万年前から1万年前)に食べられていた可能性のある食品を積極的に食べていきます。
具体的には、赤身肉や魚、果物や野菜、ナッツや種子類など、太古の昔、狩猟や採集で入手できた食品をメインに食べるってことですね。一方でパレオダイエットでは乳製品や豆類、穀物など、約1万年前の農耕が始まったとき以降に登場した食品をなるべく食べないようにしていきます。
