認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる! その15
「認知行動療法(CBT)の効果を調べた研究を片っ端から見てみる!」シリーズの続きです。
無快感症(アンヘドニア)における行動活性化療法vsマインドフルネス認知療法、効果的なのはどっちだ…?
2024年のノースカロライナ大学チャペルヒル校のRCTによると、無快感症(アンヘドニア)における行動活性化療法とマインドフルネス認知療法はどちらが効果的なのか調べてみたそうです。
無快感症(アンヘドニア)ってのは、楽しい活動から得られる意欲や喜びが低下してしまう症状のことでして、大うつ病の重要な診断基準となっております。
例えば、
- 以前は楽しかった、興味があったことに何も感じなくなった…。
- 何もやる気が起きない…。
ってのがあったり、見かけたりしたら、医師に相談しよう…!みたいなことを高齢者の方でも良く言いますよね。んで実は無快感症はうつ病だけでなく、不安障害やPTSD、その他の精神障害なんかにも広く見られるんですな。
そんな無快感症は日常生活機能の障害や生活の質の低下につながります。また、モチベや幸福感の低下は、希死念慮や自殺行動の危険因子でもあるんですな。
そして無快楽症の治療には、心理療法も良いぞ…!って話もあるんですよ。
じゃあ、どんな心理療法が良いんだ…?ってことで、今回、行動活性化療法(BA)とマインドフルネス認知療法(MBCT)を比較してみることにしたんだとか。
この研究は無快感症に悩む116人の方を対象にしたもので、平均年齢29.18歳、女性79人(68%)、男性37人(32%)が参加したと言うもの。まずは参加者全員を以下の2グループにランダムに振り分けたそうな。
- 行動活性化療法グループ:61人
- マインドフルネス認知療法グループ:55人
それぞれの治療は1回45~60分だったらしく、週1回、全8~15回行ったとのこと。
併せて、無快感症の変化については、ほぼ毎週、毎回の診察で評価しつつ、更にサブ的な項目については約3週間の間隔をあけて最大5回評価したらしい。最後に集まったデータから効果を比較してみたそうです。
それでは結果を見てみましょう。
- 行動活性化療法グループのドロップアウト率は24.6%だった。
- マインドフルネス認知療法グループのドロップアウト率は36.4%だった。
- つまり、マインドフルネス認知療法は行動活性化療法よりもドロップアウト率が1.75倍高かった。
- 但し変数を調整してみると、マインドフルネス認知療法は行動活性化療法よりもドロップアウト率が2.04倍と依然として高かったが統計的な有意差はなかった。
- 無快感症の重症度が高い参加者ほどドロップアウトの可能性が高かった。
- 追跡調査からドロップアウトしなかった参加者の満足度はかなり高かった。
- 行動活性化療法又はマインドフルネス認知療法を受けた人たちのほとんどが非常に改善・かなり改善・わずかに改善したと報告していた。
- 行動活性化療法とマインドフルネス認知療法のどちらも治療の経過とともに無快感症の症状が改善していた。
- 行動活性化療法とマインドフルネス認知療法の治療効果に統計的な有意差はなかった。
つまりまとめると、
- 無快感症に、行動活性化療法とマインドフルネス認知療法は同じぐらい効果的…!
ってことですね。いや~ドローだったか~。
