ということで今回も2005年のコロラド州立大学レビュー論文の続きを見てみます。



5. 酸塩基平衡(体内での酸(酸性)と塩基(アルカリ性)のバランス)

そもそもほぼ全ての食品は、消化や吸収、代謝の後に、酸か塩基(アルカリ性)のいずれかになります。
んで、

  • 魚、赤身肉、鶏肉、卵、貝類、チーズ、牛乳、穀類は酸性の生成量が多い
  • 生の果物、野菜、根菜類、ナッツ類はアルカリ性の生成量が多い

とのこと。
因みに豆類は中立に近いんだとか。そして一般的な西洋スタイルの食事は、酸性の生成量が1日50mEqと推定されるらしい。その結果、一般的なアメリカの食事を摂取する健康な成人は、慢性的な低レベルの代謝性アシドーシスに陥り、腎機能の低下と加齢によって悪化するみたい。
一方で農耕以前の食事は、穀物やカロリー密度の高い、栄養価の低い食品が存在しなかったので、アルカリ性の生成量が多かったそうです。つまりアルカリ性の生成量の多い食事は人類の進化のほとんどの期間を通じていつもの食事だったと言えます。それらが新石器時代や産業革命時代の食品と変わってしまったため、様々な文明病をもたらしていると言えそうなんだとか。
因みにアルカリ性の生成量の多い食事のメリットは、

  • 骨粗しょう症の予防と治療
  • 加齢に伴う筋肉の減少の予防と治療
  • 尿路結石の予防と治療
  • 高血圧の予防と治療
  • 運動誘発喘息の予防と治療
  • 加齢や疾患に伴う慢性腎不全の進行の低下

などがあるそうです。


6. ナトリウム・カリウム比

一般的なアメリカの食事におけるナトリウムの含有量は1日平均3,271mg、カリウムの含有量は1日平均2,620mgなんだとか。つまりナトリウム(塩分)の方が大幅に高いってことですね。
このように食事中のナトリウムとカリウム比が1.0を超える主な要因は以下の3つの食事要因とのこと。

  1. 加工された塩の摂取が多い:西洋スタイルの食事に含まれるナトリウムの90%は加工された塩、一方で天然の塩の摂取量は非常に低い。
  2. カリウムを含まない食事の摂取量が多い:植物油と精製糖はカリウムをほぼ含まない。にもかかわらず、1日のカロリー摂取量の36%を占めている。つまり植物油と精製糖を食べる代わりにカリウム濃度の高い他の食品が食べられなくなっている(置き換わっている)
  3. 野菜や果物の摂取量が少ない:野菜や果物はカリウムが多く含まれている。例えば野菜に含まれるカリウム濃度は、牛乳の4倍、全粒穀物の12倍である。また果物に含まれるカリウム濃度は、牛乳の2倍、全粒穀物の5倍である。

これらが合わさった結果、カリウムの摂取量は400%減少、と同時に、ナトリウムの摂取量は400%増加したんだとか。この現象は人類の食生活では前例がなく、現在では多くの文明病の誘発や発症に不可欠な役割を果たしているとのこと。
因みにカリウムが少なくナトリウムが多い食生活は、高血圧、脳卒中、腎結石、骨粗鬆症、消化管がん、喘息、運動誘発喘息、不眠症、飛行機酔い(乗り物酔い)、高山病、メニエール病(耳鳴り)などの直接・間接の原因の可能性があるそうです。



個人的考察

ということで今回はここまで。
次回は、「7. 食物繊維含有量」を見ていきます。



参考文献

後でご紹介します。