アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその101です。
今回は、血液型で健康リスクは変わるのか…?ってのを調べた、2024年の中国医科大学のアンブレラレビューを見てみます。



血液型で健康リスクは変わるのか…?ってのを調べた初のアンブレラレビューのお話

2024年の中国医科大学の研究によると、血液型(ABO式・Rh式血液型)と健康リスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
まず軽くおさらいしておきますと、一般的に良く使われる血液型ってのはABO式とRh式でして、

  • ABO式血液型:抗原Aを持つとA型…!、抗原Bを持つとB型…!、抗原AもBも持たないとO型…!、抗原AとBの両方を持つとAB型…!、因みにO型(オー型)は元々抗原を持たないので0型(ゼロ型)と呼ばれ記載されていたが、それをオーと間違ったのが由来
  • Rh式血液型:1940年の研究で人の赤血球にアカゲザル(Rhesus monkey)と共通の血液型抗原があることを発見したところから由来する。因みにアカゲザルから見つかったからRhと呼ばれる。Rh抗原は、一般にはC・c・D・E・eなんかの抗原がある。ポイントなのがD抗原で、これが最も強力な抗原性をもち、ここからD抗原がある場合をRh陽性(+)、ない場合をRh陰性(-)と呼ぶようになった。因みに日本人だとRh陰性(-)は超貴重な存在(特にAB型のRh陰性(-)はレアキャラ)

って感じ。
そんな血液型は抗原がベースなんで、当然健康リスクと関係がありそうって先行研究で出ているんですよ。但し、数多くのメタ分析・系統的レビューが出ているものの、未だにアンブレラレビューは発表されていなかったらしい。
そこで今回、初のアンブレラレビューを行ってみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2024年2月16日までに発表された該当する観察研究のメタ分析・系統的レビューをPubMed、Web of Science、Embase、Scopus、コクラン、複数の地域データベースで検索してみたそうな。すると全部で6,474件の研究がヒットしたとのこと。
次にこの中で重複している研究を除外、その後、適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最終的に選ばれたメタ分析・系統的レビューは51件でしてこの中には合計270個の関連性があったんだとか。
それでは結果をバーッと見てみますかー。

  • B型の人はB型以外の人よりも食道がんリスクが高かった(OR1.20、可能性のあるエビデンス)

胃がん
  • A型の人はA型以外の人よりも胃がんリスクが高かった(OR1.11、非常に可能性のあるエビデンス)
  • A型の人はO型の人よりも胃がんリスクが高かった(OR1.19、非常に可能性のあるエビデンス)
  • O型の人はO型以外の人よりも胃がんリスクが低かった(OR0.91、非常に可能性のあるエビデンス)

  • A型の人はO型の人よりも膵臓がんリスクが高かった(OR1.33、非常に可能性のあるエビデンス)
  • B型の人はO型の人よりも膵臓がんリスクが高かった(OR1.20、可能性のあるエビデンス)
  • AB型の人はO型の人よりも一部の膵臓がんリスクが高かった(OR1.54、可能性のあるエビデンス)
  • O型以外の人は膵臓がんリスクが高かった(OR1.31、非常に可能性のあるエビデンス)
  • O型の人はO型以外の人よりも膵臓がんリスクが高かった(OR1.32、非常に可能性のあるエビデンス)

新型コロナウイルス感染症
  • A型の人はO型の人よりもコロナ感染リスクが高かった(OR1.25、可能性のあるエビデンス)
  • B型の人はO型の人よりもコロナ感染リスクが高かった(OR1.15、可能性のあるエビデンス)
  • O型の人はO型の人よりもコロナ感染リスクが低かった(OR0.88、非常に可能性のあるエビデンス)
  • A型の人はA型の人よりもHIV感染リスクが高かった(RR24.25、非常に可能性のあるエビデンス)
  • B型の人はB型の人よりもHIV感染リスクが高かった(RR21.29、非常に可能性のあるエビデンス)
  • AB型の人はAB型の人よりもHIV感染リスクが高かった(RR5.44、非常に可能性のあるエビデンス)
  • O型の人はO型の人よりもHIV感染リスクが高かった(RR47.85、非常に可能性のあるエビデンス)

【マラリア感染】
  • A型の人はO型の人よりもマラリア感染リスクが高かった(OR1.68、可能性のあるエビデンス)
  • B型の人はO型の人よりもマラリア感染リスクが高かった(OR1.97、可能性のあるエビデンス)
  • O型以外の人はマラリア感染リスクが高かった(OR1.86、可能性のあるエビデンス)

【心筋梗塞(MI)】
  • A型の人はO型の人よりも心筋梗塞リスクが高かった(OR1.29、可能性のあるエビデンス)
  • O型以外の人はO型の人よりも心筋梗塞リスクが高かった(OR1.25、可能性のあるエビデンス)
  • O型の人はO型以外の人よりも心筋梗塞リスクが高かった(OR1.28、可能性のあるエビデンス)

【末梢血管疾患(PVD)】
  • A型の人はO型の人よりも末梢血管疾患リスクが高かった(OR1.44、可能性のあるエビデンス)
  • O型以外の人はO型の人よりも末梢血管疾患リスクが高かった(OR1.45、非常に可能性のあるエビデンス)

【静脈血栓塞栓症(VTE)】
  • A型の人はO型の人よりも静脈血栓塞栓症リスクが高かった(OR1.63、非常に可能性のあるエビデンス)
  • O型以外の人はO型の人よりも静脈血栓塞栓症リスクが高かった(OR2.10、非常に可能性のあるエビデンス)

【2型糖尿病(T2DM)】
  • B型の人はB型以外の人よりも2型糖尿病リスクが高かった(OR1.28、説得力のあるエビデンス)

【出血性合併症】
  • O型の人はO型以外の人よりも出血性合併症リスクが高かった(OR1.33、非常に可能性のあるエビデンス)

上記を見ると、はっきり言えるのは、B型の人は2型糖尿病になりやすい…!ってことでしょう。ここは注意が必要そうですねー。
まぁ、自分の血液型に関係ある項目を見ていくとよろしいかと思います。



個人的考察

ということで血液型占いは科学的根拠がなく、日本独自の楽しみ方ですが、こちらはデータに基づいているんで気にした方が良さげ。
是非、健康診断の結果と照らし合わせてくださいませ。



参考文献