アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその70です。
今回は、食事と膵臓がんリスクに焦点を当てた質の高い研究を見てみましょう。



食事と膵臓がんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!

2022年のミラノ大学の研究によると、食事と膵臓がんリスクの関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも膵臓がんは、死亡率が高く、早期発見の難しさから沈黙の臓器などと呼ばれておりまして、

  • 遺伝要因(膵臓がんの21%は遺伝性)
  • 糖尿病(新たに糖尿病と診断された人は膵臓がん発症リスクが8倍高い)
  • 慢性膵炎(慢性膵炎の診断から2年以内の膵臓がん発症リスクは最大16倍高い)

で発症リスクが高まるものの、ライフスタイルも関係しているっぽいんですよね。
例えば、

  • 喫煙(膵臓がんの25%は喫煙が原因)
  • 肥満(肥満体型は標準体型に比べて発症リスクが20~50%高い)

で高まることが分かっております。
更に赤身肉や加工肉、飲酒、ソフトドリンクなどでも膵臓がん発症リスクが高まる可能性があるそうな。ただ、よく分かっていない部分もあったんで、今回成人における膵臓がんの食事リスクの関係について、メタ分析のアンブレラレビューを初めて行うことにしたんだとか。
まず研究者たちは、2022年7月20日までに発表された該当研究をPubMed/MEDLINE、Scopus、Web of Science、EMBASE、コクランで検索してみたそうな。すると、887件の研究がヒットしたとのこと(PubMed/MEDLINEが152件、Scopusが395件、Web of Scienceが184件、EMBASEが140件、コクランが16件)。次にこの中で重複している物を除きつつ、基準に従い質をチェックしていったそうな。
最終的に選ばれた研究は23件でして、これらは全て観察研究のメタ分析だったそうです。
では結果を見てみましょう。

【説得力のあるエビデンス】
  • なし。

【非常に可能性のあるエビデンス】
  • 健康的食事で膵臓がん発症リスクが低下していた…!
  • 野菜中心の食事で膵臓がん発症リスクが低下していた…!
  • 果物の摂取量が多いと膵臓がん発症リスクが低下していた…!

【可能性のあるエビデンス】
  • 野菜の摂取量が多いと膵臓がん発症リスクが低下していた…!
  • 赤身肉の摂取量が多いと膵臓がん発症リスクが増加していた…!

その他は低いエビデンスやエビデンスなしだったとのこと。



個人的考察

野菜や果物をメインに食べつつ、赤身肉を避けていくと膵臓がんリスクを減らせる…!って感じですね。いや~非常に基本な結論にたどり着きましたね(笑)



参考文献