今回はその続きみたいな話をしていこうかと。



相手に深く考えてほしいかどうかで会話スピードを変えると良いぞ…!

2024年のカーディフ大学の研究によると、話すスピードの効果について調べてみたそうです。
この研究は前半に過去の話すスピードの研究をレビューし、後半にいくつかの実験を行ったと言うもの。んで、まず前半のレビューのポイントをざっくり言うと、話すスピードが速い方が良い派と悪い派がいるよね~ってこと。
もうちょい詳しく言うと、

  • 話すスピードが速い方が良い派:速く話す人は、信頼、自信、知性、客観性、知識といった能力が高そうに見え、その結果として説得力がアップする…!
  • 話すスピードが遅い方が良い派:速く話す人は、より見下した態度、礼儀正しくない、親切ではない、信頼できない、と見られたり、聴き手の情報処理が難しくなり、その結果として説得力がダウンする…!

って感じ。確かにどちらも有り得る話ですよね。
またこういった実験を行う際、速く又はゆっくり話すよう参加者に指示するんですが、そこ以外の要因にも影響を及ぼす可能性があるとのこと。例えば早く話そうとして声の音量が変わっちゃったり、声の高さ・低さが変わっちゃうみたいなパターンですな。確かにこれも有り得そうですね。他にも先行研究は、1個か2個の会話スピードレベルを用意してその関連性をチェックしていることが多いとか、スピードは議論の強さによって変わるかもしれないなんてのもあるっぽい。
こんな感じで矛盾したり、よく分からない部分があったそうです。そこで後半では2つの実験と4つの実験の計6つの実験を行い、この辺が実際どうなのか調べたんだとか。
サンプル数は2,869人~3,958人って感じでして、結果のポイントは以下のグラフになります。


各グラフの補足説明は以下な感じ。

  • aのグラフ:横軸が話すスピードで縦軸が処理能力。ポイントはゆっくりから普通ぐらいの話すスピードがピークであること。
  • bのグラフ:横軸が話すスピードで縦軸がモチベーション。ポイントは早口がピークであること。
  • cのグラフ:横軸が話すスピードで縦軸が信頼度。ポイントは早口がピークであること。

但し、ここには更なるポイントがありまして、

  • 早口は会話スピードが非常に遅い場合に比べて、処理能力、モチベーション、信頼度がアップしていたが、この効果は後に減少、又は逆転することもあった…!
  • 処理能力は、説得力への影響力が一番高かった…!

とのこと。
なんで早口は短期的な効果はあるものの長期的にはちょっと微妙な感じで、説得力には処理能力が一番大事、つまりゆっくりから普通ぐらいの話すスピードが良いみたい。一番良い話すスピードは何なのか…?って答えは、あっさりじゃなくて結構複雑な感じだったんですな。
この結果を踏まえて研究者たちは、プロのスピーチコーチやスピーチ練習プログラムでは、ポイントはゆっくり話す、重要度の低いところは速く話すを採用していることが多いけど、立場や議論の強さで話すスピードを変えると良いんじゃないか…?と提案しておりました。
その上でベストな戦略は、

  • 自分の立場を支持する強い議論では、普通の会話スピードが良い…!つまり通常の処理能力(普通に考えて理解してもらう)ぐらいのスピードにする…!
  • 反対の議論では、早口が良い…!つまり処理能力を阻害する(深く考える時間を与えないようにする)スピードにする…!
  • 自身の立場と反対の立場の両方を支持する弱い議論では、ゆっくりな会話スピードが良い…!つまり処理能力を上げる(深く考える時間を与えるようにする)スピードにする…!

ってのが説得力の効果を最大化できる可能性があるそう。
相手に深く考えてほしいかどうかで会話スピードを変えると良いぞ…!ってことですな。すごく納得できるな~。



個人的考察

これらを見ると会話スピードは面談に於いても使い分けが重要だと言えましょう。
相手が意見を変えそうにないときは早口で、どうしようかな~って迷っているときはゆっくり話すって感じですね。



参考文献