アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその74です。
今回は、変形性関節症(OA)の中で最も一般的である、膝関節症の健康リスクについて調べた初のアンブレラレビューを見てみましょう。



膝関節症による健康リスクについて初のアンブレラレビューを行ってみた…!

2023年のパレルモ大学の研究によると、膝関節症による健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも変形性関節症(OA)とは、関節の痛みや朝のみに起こるこわばりなどのことを言いまして、最もよく発症する部位が膝、つまり膝関節症なんですな。んで2012年の研究によると、2010年の世界の疾病負荷研究(GBD:世界の疾病負担研究)のデータをチェックした結果、世界で2億5000万人以上の方が罹患している可能性があるらしい。
そんな膝関節症ですが、先行研究はあるものの、アンブレラレビューは行われていなかったそうな。そこで今回チェックしてみることにしたそうです。
まず研究者たちは、2022年4月22日までに発表された該当研究をMedline(Ovid経由)、Embase、Scopus、CINAHLで検索してみたんだとか。
すると、

  • Medline(Ovid経由):2,090件
  • Embase:2,632件
  • Scopus:3,367件
  • CINAHL:1,166件

がヒットしたとのこと。
次に被っている研究を除きつつ、質をチェックしていったそうな。
最終的に選ばれた観察研究のメタ分析は5件でして、特徴は以下のようになっておりました。

  • メタ分析に使われた研究数の中央値:4件(範囲3~7件)
  • サンプル数の中央値:11,071名
  • 追跡期間の中央値:8年(範囲7~12年)
  • 平均年齢の中央値:65.1歳
  • 女性の割合の中央値:67.2%

では結果を見てみましょう。

【説得力のあるエビデンス】
  • なし。

【非常に可能性のあるエビデンス】
  • なし。

【可能性のあるエビデンス】
  • なし。

【低いエビデンス】
  • 心血管疾患(CVD)による死亡リスク:17%アップ(OR1.17)
  • 転倒リスク:34%アップ(RR1.34)
  • 潜在性動脈硬化症(まだ症状が出ていない動脈硬化症)リスク:43%アップ(OR1.43)

上記リスクは有意差があったそうです。
但し、低いエビデンスレベルであること、バイアスリスクが結構高そうなことを踏まえると、もしかしたら可能性があるかも…?ぐらいに考えておくと良さげかと。



個人的考察

因みに地中海式ダイエットで、変形性関節症の発症リスクの低下や生活の質の改善、痛みの低下があったぞ…!って出ているんで、気になる方は取り入れてもよろしいかもしれません。



参考文献