精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか? その7
「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか?」シリーズの続きです。
以前「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか? その2」で強迫性障害の家族リスクを見ましたが、今回はそれを台湾で調べてみたと言うものです。それでは早速見ていきましょう。
台湾における強迫性障害の方の家族における精神疾患リスクについて調べてみた…!
2020年の台北栄民総医院の研究によると、強迫性障害の方の家族における精神疾患リスクについて調べてみたそうです。
具体的には、強迫性障害(OCD)の患者さんにおける一親等の家族の統合失調症リスクや双極性障害リスク、強迫性障害リスク、うつ病リスク、自閉スペクトラム症(ASD)リスク、注意欠陥多動性障害(ADHD)がどうなのかチェックしてみたとのこと。
この研究は「精神障がいの方の平均寿命は本当に短いのか?」で何度も登場した台湾の国民健康保険のデータベースを使ったもので、サンプル数は全人口23,258,175人となっております。このデータを使って、強迫性障害の患者さんを探し出し、その後、その方の両親や子供、兄弟姉妹(双子)なんかをピックアップしていったらしい。
すると一親等の家族が89,500人見つかったそうな。ここから上記で挙げた精神疾患リスクとの関係をチェックしたみたい。
気になる結果について、まず大枠は以下のようになっておりました。
- 強迫性障害(OCD)の患者さんにおける一親等の家族の精神疾患リスクは高かった。
残念ながら、身近な家族の精神疾患リスクは高まっちゃうみたいですね。
では具体的にどんな感じだったのか見てみると、
- 統合失調症リスク:約2倍(RR1.97)
- 双極性障害リスク:約2.9倍(RR2.85)
- 強迫性障害リスク:約8倍(RR8.11)
- うつ病リスク:約2.7倍(RR2.67)
- 自閉スペクトラム症(ASD)リスク:約2.4倍(RR2.38)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD):約2.2倍(RR2.19)
って感じ。
因みに一親等の家族の種類、つまり両親や子供、兄弟姉妹(双子)でも一貫してリスクが高かったそうな。
これを見た研究者は、強迫性障害の患者さん本人だけでなく、その家族のメンタル面の健康状態もちゃんと見ておいた方が良さそうだよねーとおっしゃっておりました。