精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか? その8
「精神障がいや発達障がいを発症した方がいた場合、その家族のリスクはどうなのか?」シリーズの続きです。
統合失調症患者の家族における統合失調症発症リスクについてメタ分析を行ってみた…!
2020年のニューサウスウェールズ大学の研究によると、統合失調症患者の家族における統合失調症発症リスクについてメタ分析を行ってみたそうです。
そもそも統合失調症の発症リスクを高める要因ってのは数多く存在しておりまして、その中でも、家族歴は最も重要なリスク要因の一つなんだとか。
というのも先行研究により、
- 双子研究のメタ分析では、統合失調症の遺伝率は81%と推定された
- 統合失調症の家族歴がある人はない人に比べて、一貫して発症リスクが高かった
- 統合失調症における生涯発症リスクは診断された家族の数に応じて増加し、より近い家族は遠い親族よりもリスクが高かった
- 片方の親が統合失調症と診断された場合、子供1人あたりのリスクは10~15%と推定された
- 両親が統合失調症と診断された場合、子供1人あたりのリスクは35~46%と推定された
ってことが分かっているからとのこと。
ただ、メタ分析がされていなかったらしく、そのため今回行ってみることにしたらしい。具体的には、統合失調症と診断された患者の一親等の家族(親、子供、兄弟姉妹、双子)における統合失調症の発症率をチェックしてみたんだとか。
まず研究者たちは、2018年5月までに発表された該当研究をEMBASE、MEDLINEで検索してみたそうな。すると5,755件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究を除外、その後、質の低い物も除外していったらしい。
最終的に基準を満たした研究は19件でして、ケース・コントロール研究とコホート研究だったそうです。また、統合失調症の患者さんの一親等の家族は合計4,875人だったそうな。
それでは結果を見てみますかー。
- 統合失調症患者1名における一親等の家族の統合失調症発症リスクは7.69倍だった…!
- 統合失調症患者2名における一親等の家族の統合失調症発症リスクは11.11倍だった…!
ということで、家族に統合失調症の方が1名いると統合失調症発症リスクが約8倍、2名だと約11倍も高くなるみたい。他の精神疾患同様、統合失調症も家族リスクが高まるみたいですね。