ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみた!
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみた…!
2020年のウィーン医科大学の研究によると、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそもHIVの感染は過去20年間にわたって少しずつ減ってきているものの、毎年世界中で180万人の方が新たに感染しているらしい。そんなHIV感染者の主な死亡原因は結核なんだとか。但し先進国では稀とのこと。では主な健康リスクは何なのか…?ってことで今回アンブレラレビューでチェックしてみることにしたみたい。
まず研究者たちは、2018年8月25日までに発表された該当研究をMEDLINE/PubMed、PsycINFO、Embaseで検索してみたそうな。すると4,434件の研究がヒットしたそうです。続いてこの中で重複している物を除き、その後、適格基準と除外基準に従って精査したんだとか。
最終的に基準を満たしたメタ分析は20件でして、合計55個の関連性が見つかったとのこと。因みにこれらのメタ分析の特徴は、
- 研究数の中央値:8件(範囲:2件~42件)
- サンプル数の中央値:18,743人(範囲:403人~225,000,000人)
- 症例数の中央値:847件(範囲:7件~627,199件)
って感じ。
では結果を見てみましょう。
- 55個の関連性のうち、名目上有意な結果が出ていた関連性は45個(81.8%)だった。
- 非常に可能性のあるエビデンスレベルの健康リスクは、慢性的な咳の多さ、HIV感染者における妊娠関連の死亡リスクの高さ、虚血性心疾患リスクの高さの3個だった…!
- 可能性のあるエビデンスレベルの健康リスクは、息切れの頻度の高さ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスクの高さ、母体敗血症リスクの高さ、貧血リスクの高さ、HIV感染者における骨折リスクの高さの5個だった…!
- 後の関連性はエビデンスレベルが低い、非常に低かった。
現時点でのHIVの健康リスクはこんな感じなんですね。
個人的考察
55個の関連性のうち、信頼できそうなエビデンスレベルが8個ということで、こういったものを見ると、本当に有り得そうな物が意外と少ないんだな~と感じますよね。