今回はランセットから発表された精神障がいの方の平均寿命研究を見ていきます。



デンマークに住む700万人以上を対象に観察研究を行ってみた

2019年のオーフス大学観察研究によると、精神疾患に関連する死亡リスクについて調べてみたそうです。
そもそも精神疾患を持つ人は早期死亡リスクが高いと先行研究で出ておりまして、そのリスクは大まかな推定値により基づいております。そのため実際のところはどうなのかイマイチはっきりしていなかったんですな。そこで今回調べてみることにしたみたい。
この研究は、1995年1月1日~2015年12月31日までのどこかの時点でデンマークに住んでいた95歳未満の全ての人を対象としておりまして、精神疾患の方と死亡日、死因のデータを見比べてみたと言うもの。
死因については、

  • 自然死:疾患や病気による死亡
  • 自然死以外:自殺、殺人、事故による死亡

に分類したんだとか。
これらのデータを統計処理して死亡リスクとの関係を見てみたらしい。
最終的なサンプル数は7,369,926名だったそうで、結果は以下のようになったとのこと。

  • 精神障害と診断された人の死亡リスクは一般人口よりも高かった(28.70人vs12.95人)
  • 精神障害の種類に関わらず死亡リスクの高さと関係しており、気分障害(1.92)から依存症(3.91)の範囲だった。
  • 精神障害の種類に関わらず平均寿命の短縮と関係していた。
  • 精神障害を持つ女性における失われた寿命は5.42年だった。
  • 精神障害を持つ男性における失われた寿命は14.84年だった。

残念ながら精神疾患は早期死亡リスクや平均寿命の短縮と関係があったみたいですね。
更に研究者曰く、この結果によりこれまで過小評価されていたのが明らかになった、としておりました。