【加筆内容】年末年始の食べ過ぎ分を取り返そう! その11「NEAT編6」
「年末年始の食べ過ぎ分を取り返そう!」シリーズの続きです。
NEATの変化とカロリーの変化で相殺が起こるのか…?
実はNEATの変化とカロリーの変化で体重減少効果がプラマイゼロになってしまうって話があったりします。
まず最初にチェックしておきたいのが、運動なしのカロリー制限ダイエットはNEATの変化を引き起こし、体重減少を相殺する可能性があるということです。この可能性は2010年のピッツバーグ大学の動物実験により判明しまして、なんでもサルを対象に調べた結果、
- 1ヶ月間、カロリー摂取量を30%減らしてみると、SPA=NEATの減少がかなり大きく、結果、体重の大幅な減少は起こらなかった…。
- 1ヶ月間、カロリー摂取量を60%減らしてみると、SPA=NEATの減少が更にかなり大きくなった。但し体重の大幅な減少(-6.4±1.7%)も起こった…!
とのこと。
つまり極端なカロリー制限ダイエットをしないとNEATが減少しプラマイゼロになっちゃうってことですね。
似たような結果はヒトを対象とした研究でも見られておりまして、2011年のルイジアナ州立大学ペニントン生物医学研究センターの研究によると、カロリー制限をした成人の参加者グループでNEATが減少していたんだとか。因みに加速度計をチェックしてみると身体活動量に変化はなかったらしい。
次に運動ありでカロリー制限なしの場合、NEATの変化が起こるのかですが、こちらのエビデンスはそれほどはっきりしていないそうな。というのもこれらを調べた研究は、カロリー摂取量が制限されていたか、測定されたカロリー摂取量が変化しなかった研究から推測するしかないみたいなんですよね。
例えば2003年のカンザス大学の研究では、第1回中西部運動試験(MET1:Midwest Exercise Trial)っていうものを行っておりまして、男性は体重が-5.2±4.7kg減少したんですが、女性は特に変化がなかったとのこと。因みに男女ともにカロリー摂取量に違いはなかったそうな。
そして16ヶ月の実験後におけるカロリー消費量は、
- 運動で、男性が1日668±116kcal、女性が1日438.9±88kcal消費していた…!
- 1日の総カロリー消費量は、男性が1日371±646kcal、女性が1日209±555kcal増加していた…!
とのこと。
つまり1日の総カロリー消費量が、男性では運動の約55%、女性では運動の48%も増加していたみたい。この結果からカロリー制限に関係なく運動するとNEATがアップするかもしれないと考えられるんですな。
また同研究チームは、第2回中西部運動試験(MET2:Midwest Exercise Trial)を2012年のカンザス大学の研究として発表しております。こちらでは第1回中西部運動試験にあったような運動による男女差がなくなりました。つまり男女で効果が同じく、1日の総カロリー消費量の変化に差もなかったみたいです。
一方で1997年のラヴァル大学の研究によると、一卵性双生児の男性を対象に12週間、運動をしてもらいつつ、カロリー摂取量を一定に保ってもらったそうな。すると実験の後半における体内のカロリー貯蔵量の変化はカロリー不足のわずか65%だったそうです。これだけ聞くと運動でNEATが下がったように感じちゃうんですが、研究者によれば、1日の総カロリー消費量が測定されていない、安静時代謝率の低下が観察されたということで、NEATの低下が発生したと結論は出せないとのこと。
それに対して、2002年のクイーンズ大学の研究や2004年のクイーンズ大学の研究によると、実際の運動によるカロリーの変化は予想された運動によるカロリーの変化と有意差はなかったんだとか。つまりNEATが維持されている可能性があったってことですね。但しこちらにも不安要素はありまして、例えば、カロリー消費量とカロリー摂取量の変化がどの程度結果に影響したのかよく分からない、体組成の誤差が組み込まれておりこれがNEATの変化が分からなかった原因の可能性があるそうです。まぁでも体組成の誤差ぐらいしかNEATの変化がないなら気にしなくても良い気もしますがね…。
また上記以外にも運動がNEATに与える影響は謎な部分はありまして、
- 有酸素運動と無酸素運動(筋トレ)でNEATへの影響は変わるのか…?
- 運動種目がランニングやサイクリング、水泳で調べるケースが多いけど、NEATへの影響は変わるのか…?
- 運動強度(運動の負荷)でNEATへの影響は変わるのか…?
- 年齢でNEATへの影響は変わるのか…?
- 性別でNEATへの影響は変わるのか…?
- 体型(BMI)でNEATへの影響は変わるのか…?
などなどがございます。
つまり誰にでも当てはまるのか、ある特定のカテゴリーの方に当てはまるのかってことですね。この辺は今後の研究に期待というところでしょうか…。
個人的考察
これらをみるとNEATについて分かっていないことが多いのが実情です。
しかし一方で、カロリー消費にNEATの影響がめちゃくちゃ大きいのも事実なんですな。
そして「運動や筋トレはダイエットに使えるのか?」の内容を踏まえると、減量のみを理由とした運動はやめた方が良さげなのも事実です。
以上を踏まえると、ダイエットやスリム体型、体型維持にNEATが大事なのは間違いないかと思います。
そして個人的な優先順位は、
- まずはNEATを意識して上げる…!
- その後、余裕があるなら運動を行う…!
- 運動でNEATが下がるようなら、NEAT優先で運動頻度を減らす…!
って感じです。
もちろん理想は、NEATと運動を両立して行う…!ですが、スタートでそれは難易度が高いんでこの順番がよろしいかと。因みにダイエット以外、特に健康のメリットを受けたいなら運動は絶対なんでやっぱり最終的にやった方が良いと思います。
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2336074/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9880251/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20384845/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19056567/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21502894/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21959343/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9880251/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20384845/
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