先週の続きです
今回もトレッドミルデスクの研究を見ていきます。



トレッドミルデスクで記憶力・注意力がアップした…!

2015年のHECモントリオールの研究によると、トレッドミルデスクの使用による脳機能への影響について調べてみたそうです。
具体的にはトレッドミルデスクの使用後における、仕事のパフォーマンスに重要な記憶力と注意力についてチェックしたとのこと。
因みにトレッドミルデスクってのは以下のようなウォーキングマシン+スタンディングデスクの事を言います。


この研究は大学生18名を対象にしたもので、以下の2グループに分かれて電子メールを受信しながら読書課題に取り組んでもらったそうな。

  1. 座って課題に取り組む(9名)
  2. トレッドミルデスクで歩きながら課題に取り組む(9名)

課題終了後、参加者全員に座って記憶力と注意力のテストを行ってもらったみたい。
最後にデータを統計処理したそうで、結果、

  • トレッドミルデスクの人たちは座っていた人たちよりも記憶力が34.9%も高かった…!
  • 課題中の注意力に対する自己認識も有意に高かった…!

とのこと。
どうやらトレッドミルデスクは記憶力・注意力ともにプラスの影響があるみたいですね。



一方でトレッドミルデスクで記憶力・注意力がアップしなかった…って話もある…!

2015年のブリガムヤング大学の研究によると、トレッドミルデスクによる認知機能とタイピングへの影響について調べてみたそうです。
そもそもトレッドミルデスクを使うと、

  • 身体活動が大幅にアップ…!
  • カロリー消費量がアップ…!
  • 座り時間がダウン…!

って感じで、健康に良さそうなんですな。
また、スタンディングデスクやバランスボールといった他の物よりもカロリー消費量が多いみたい。
そんなトレッドミルデスクですが、認知機能とタイピングへの影響はよく分からない感じです。そもそも研究数が限られているという弱点がある上に、数学や読書のパフォーマンス、タイピングタスクが低下したって先行研究があるんですよ。一方で認知機能やタイピングに影響なし…!って先行研究もあって矛盾しているわけですな。ということで今回、トレッドミルデスクでの注意力、学習、記憶力、タイピング速度をチェックしてみることにしたらしい。
この研究は76人の健康な方が参加したもので、以下の2グループにランダムに振り分けたと言うもの。因みにパソコンの故障で1人がドロップアウトしております(かわいそう)

  1. 座りグループ:38人(うち女性17人)
  2. トレッドミルデスクグループ:37人(うち女性23人)

トレッドミルデスクのスピードは時速2.4km(時速1.5マイル)でして、両グループ共に認知機能テストとタイピングテストを行ってもらったそうな。因みにかかった時間は約45分だったそうです。
さて気になる結果を見てみましょうか。
トレッドミルデスクグループは座りグループに比べて、

  • 学習テストの成績が有意に悪かった…。
  • 但し短期及び長期の記憶力は差がなかった。
  • 処理スピード、注意力、ワーキングメモリのテストの成績も有意に悪かった…。
  • タイピングテストの成績も有意に悪かった…。

とのこと。
う~ん。こっちの研究では勉強や仕事のパフォーマンスに関してデメリットしか見当たらなかったみたいですね。残念。
但し研究者曰く、

  • トレッドミルデスクは座っている場合と比べて、一部の認知機能や微細運動のパフォーマンスをわずかに低下する可能性を示していた。しかし、パフォーマンスダウンは一般的な平均範囲内にとどまっている

とのこと。
許容範囲内なら過度に気にする必要はないですね(まぁパフォーマンスアップも期待できなそうですが)



個人的考察

勉強や仕事などのパフォーマンスアップ、生産性アップに使えるのかは謎ですが、とりあえず健康効果はあるのは間違いなさそうなんで、座りがちな人は使っても良いかもと思いました。



参考文献