年末年始の食べ過ぎ分を取り返そう!」シリーズの続きです。
それでは「NEAT編3」を見ていきましょう…!



NEATは体重管理に役立つのか…?

NEATが体重の調節に役割を果たしているという最も強力な証拠は、2012年のミネアポリスVAヘルスケアシステムの動物実験から得られるそうです。この研究によれば、肥満耐性を持つラットは生涯を通してSPA(≒NEAT)レベルが高かったそうな。
じゃあヒトではどうなのか気になりますが、残念ながら詳細な縦断研究を行うことは実現不可能とのこと。そのため、人間の研究から得られたエビデンスはそれほど高い物ではないらしい。
その中でもヒトにおける最良のエビデンスは1992年のアメリカ国立衛生研究所の研究になるそうです。この研究は、ピマインディアン(肥満・糖尿病の人が非常に多い民族)を対象にした前向きコホート研究でして、NEATレベルと体脂肪の関係を調べてみたと言うもの。
早速結果を見てみると、

  • 男性の場合、NEATレベルと体脂肪は逆相関していた…!
  • 女性の場合、NEATレベルと体脂肪は関係なかった…。

とのこと。
またこの研究では、家族構成がNEATレベルの変化の57%も説明できる…!としており、NEATが遺伝にプログラムされている可能性もあったみたい。
更にNEATが体重キープに関係ある証拠は2件の長期研究によっても裏付けられているんだとか。
一つ目は1990年のラヴァル大学の研究で、これによれば太りやすさのうち50%は遺伝的要因だったとのこと。またこの研究では、身体活動レベルを厳密に管理していたそうで、となると残りの可能性はNEATの違いとなり得るそうな。
二つ目は1999年のメイヨークリニックの研究で、これによればNEATの変化は体脂肪増加を予測できる、カロリー消費量の唯一の要素だったとのこと。またこの研究は、過剰摂取による身体活動の増加を調べた唯一のヒト研究とのことでした。但し、こちらは2010年のマーストリヒト大学の研究により、サンプル数16人の小規模実験であることが指摘されているそうな。
更にNEATと過食・体重変化を調べた物はあるのですが、ラボ内と実生活の研究では矛盾した結果が出ているらしい。
例えば2008年のロヨラ大学の研究によると、女性321人を対象に普段の生活をしてもらいつつ、二重標識水法(DLW法)を使用して運動によるカロリー消費量を3年間追跡調査してみたそうです。結果、運動によるカロリー消費量は体重変化の予測因子ではなかったとのこと。なんでも適度なレベルの運動によるカロリー消費量(1日4MJ未満)で比べても、痩せた女性、変わらない女性、太った女性と様々だったみたい。
また2011年のクイーンズ大学の横断研究2011年のクイーンズ大学の横断研究では、男女約120人を対象に加速度計を使用して調べていますが、偶発的身体活動と心肺機能は正の相関関係にあったものの、ウエストの脂肪量とは関係なかったらしい。
まとめると、NEATが体重管理に役立つのかは、明確な証拠がなくまだ研究が不足しているそうです。



個人的考察

今回はここまで。



参考文献

最後にまとめて掲載します。
気になる方は各リンクからどうぞ。