年末年始の食べ過ぎ分を取り返そう!」シリーズの続きです。
それでは「NEAT編4」を見ていきましょう…!



定期的な運動を始める・継続するとNEATは変化するのか…?

続いて運動とNEATの関係の研究を見ていきます。
定期的な運動を始める・継続するとNEATが変化するのかを調べた研究は結構盛んに行われておりまして、まずはそれらをバーッと見ていきましょう。

  • 1992年のバーモント大学の研究:標準体型又は太りすぎの56~78歳の高齢男性11人を対象に週3日、8週間、VO2max(最大酸素摂取量:心肺機能の指標になる)の85%で300kcal消費する運動を行ってもらった。結果、NEATが62%も減少していた(1日571±386kcalから340±342kcalに減少していた)
  • 1999年のマーストリヒト大学の研究:標準体型又は太りすぎの平均年齢58歳の高齢男女22人を対象に週2日、12週間、筋トレ60分と有酸素運動90分を行ってもらった。結果、トレーニングを行った日はトレーニングを行っていない日に比べ、NEATが大幅に減少していた。
  • 2003年のカンザス大学の研究:太りすぎ又は肥満の17~35歳の男女74人を対象に週5日、16ヶ月、HRR(心拍予備能・心拍数予備能・心拍予備量・予備心拍数などと呼ばれる。心肺機能の指標になる)の75%で45分間運動を行ってもらった。結果、予想の約50%しか体重が減少しておらず、運動で痩せづらい人がいた可能性を示している運動でのダイエットには個人差があり、痩せやすい人(しっかり痩せた人)と痩せづらい人(ちょっとしか痩せなかった人)がいる
  • 2010年のグラスゴー大学の研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢31歳の男女34人を対象に週2日又は週5日で8週間、乳酸性閾値(LT:心肺機能の指標になる)の90~95%で週150分間運動を行ってもらった。結果、予測された脂肪量の減少は0.8±0.2kgだったのに対し、実際の脂肪量の減少は0.0±0.2kgだった。参加者の半数が運動で痩せづらい人だった。
  • 2012年のキエーティ・ペスカーラ大学の研究:標準体型や太りすぎ、肥満など様々な体型の平均年齢56歳の閉経後の女性34人を対象に週4日、13週間、中程度のウォーキングを40分行ってもらった。結果、参加者の半数が運動で痩せづらい人で、平均して1日の総カロリー消費量に変化はなかった。
  • 2009年のデューク大学医療センターの研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢53.2歳の男女50人を対象に週3~5回、8ヶ月、カロリー消費量の低いグループ(peak VO2(心肺機能の指標になる)の40~55%又は65~80%で運動してもらい1週間で5035Kj(≒1203kcal)消費した)とカロリー消費量の高いグループ(peak VO2の65~80%で運動してもらい1週間で8372KJ(≒2000kcal)消費した)を比べてみた。結果、両グループとも1日の総カロリー消費量が大幅に増加したが、NEATは変化がなかった。
  • 1998年のCRNHの研究:標準体型又は太りすぎの63±2歳の男女13人を対象に週3日、14週間、中程度のトレーニング20分、インターバルトレーニング20分の合計40分運動を行ってもらった。結果、1日の総カロリー消費量は変化がなく、歩行時間は減少し、NEATが7.7%も大幅に減少していた。
  • 2011年のクイーンズランド工科大学の研究:太りすぎ又は肥満の平均年齢26.5歳の男性16人を対象に週1日、4日間、ウォーキングを60分行ってもらった。結果、運動でのダイエットに個人差はなく、1日の総カロリー消費量が増加していた。
  • 2006年のストラスクライド大学の研究:標準体型の20~25歳の男女16人を対象に週4日、8日間、2092kJ(=500kcal)消費できるよう、女性はVO2maxの59%、男性はVO2maxの48%で運動を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差、1日の総カロリー消費量、NEATの増加に関する証拠はなかった。
  • 2004年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の男性8人を対象に週7日、7日間、1日3回VO2maxの65%でエクササイズセッションを40分間行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差が見られた(1日0.32MJ(≒76.5kcal)又は週2.2MJ(≒525.8kcal))
  • 2002年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の女性6人を対象に週6日、7日間、中程度の運動(1日2回、1回40分間のエクササイズセッション)又は高程度の運動(1日3回、1回40分間のエクササイズセッション)を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差、1日の総カロリー消費量、NEATの増加に関する証拠はなかった。
  • 2002年のローウェット研究所の研究:標準体型の18~40歳の男性6人を対象に週6日、7日間、中程度の運動(1日2回、1回40分間のエクササイズセッション)又は高程度の運動(1日3回、1回40分間のエクササイズセッション)を行ってもらった。結果、運動でのダイエットの個人差が適度に見られた(1日0.3~0.6Mj(≒71.7~143.4kcal))
  • 1992年のマーストリヒト大学の研究:標準体型の28~41歳の男女32人を対象に週4日、10ヶ月、ハーフマラソントレーニング、激しい強度、1日90分まで段階的に増加の条件で運動を行ってもらった。結果、運動でのダイエットに個人差はなく、1日の総カロリー消費量が増加していた。

また上記の研究から他に分かったこととして、

  • 中強度の運動(1日1.6MJ≒382kcal消費)か高強度の運動(1日3.2~4.0MJ≒764~956kcal消費)をした時、1日の総カロリー消費量は時間の経過とともに減少する傾向があり、NEATが減少した可能性を示していた…。
  • 但し、食事による脂質の摂取量の増加が原因の可能性もあった…!
  • NEATは最初の2日間変化はないが、その後、中強度の運動だと16%(但し有意ではない)、高強度の運動だと25%増加していた…!
  • 一方で、中強度の運動を1日おきに8日間行った標準体型の男女はNEATが変化しなかった…。
  • これらはいずれも短期の研究だった。
  • 長期の研究でも、曖昧な結果が出ていた。NEATの減少が見られた研究もあれば、NEATに変化がなかった研究もあった。

って感じ。
このように矛盾した結果が出ているんですが、調整は難しいとのこと。
但し、食い違いが起こった可能性として、

  • 運動の強度
  • 運動の方法
  • 使用された測定ツール
  • 参加者の年齢
  • 参加者の性別

などの違いが原因かもしれないみたい。
いずれにしても変数が多すぎてよく分からないですね。



個人的考察

今回はここまで。



参考文献

最後にまとめて掲載します。
気になる方は各リンクからどうぞ。