物質使用障害(SUD)の寛解率についての初めての系統的レビューとメタ分析
物質使用障害(SUD)の寛解率についての初めての系統的レビューとメタ分析
そもそもWHOによれば、疾病負担全体の約5%が物質使用障害と関係しているらしく、そのうちアルコール依存症が4%、違法薬物の使用が0.8%を占めているそうな。
また世界において、死亡者の3.6%はアルコールが原因で亡くなっており、0.4%は違法薬物が原因で亡くなっているとのこと。
更に物質使用障害は、心血管疾患(CVD)、がん、感染症、精神疾患といった健康問題から、家庭内暴力、刑事事件、交通事故、自殺などの社会問題とも関連があるそうです。
そのため、死亡リスクや健康リスク、社会問題を防ぐためにも物質使用障害の寛解は非常に重要なポイントなんだとか。
そこで今回は、過去15年間における物質使用障害の寛解率の研究結果をまとめて、全体像を把握してみることにしたんだとか。因みに研究者曰く、物質使用障害の寛解率についての初めての系統的レビューとメタ分析とのこと。これはぜひとも見ておきたいですね…!
ということでまず研究者たちは、2000年から2015年の間に発表され、且つ、追跡期間が3年以上、又は生涯にわたる寛解率が報告されている研究を、Medline、PubMed、EMBASE、PsycINFOで検索してみたそうな。
すると合計8,855件の研究がヒットしたとのこと。次にこの中で被っている研究と質の低い研究を除外していったらしい。
最終的に残った研究は21件でして、これらを基に系統的レビューとメタ分析を行ってみたそうです。
んで、結果の前にこの研究における寛解の定義について確認しておきます。
- 寛解とは、追跡調査の最終時点で、乱用又は依存の診断基準を6ヶ月以上満たしていないことと定義した。
それでは寛解の定義も踏まえて結果を見てみましょう。
- 物質使用障害における平均17年間の追跡期間での寛解率は35.0%~54.4%だった…!
- つまり物質使用障害の患者さんの最大50%が17年後に寛解を達成していた…!
- 全体的な物質使用障害の寛解率は、どの年でも10~15%だった。
- 物質使用障害の寛解率が高いほど、追跡期間が長く、サンプル保持率が低かった。
ということで、物質使用障害は急性ってよりも慢性や長期にわたる可能性が高いみたいですね。但し、17年後には半数の方が寛解しているんで、上手く長く付き合っていけば状態はかなり落ち着きそうな様子です。
個人的考察
因みに2021年のパドヴァ大学などのメタ分析によると、精神障害及び物質使用障害は、平均して思春期(14.5歳)に発症するみたいなんで、17年後となると、31,2歳で安定することになりますね。
長い道のりですがしっかり向き合って対策していきたいですな。