アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその79です。
今週の土日は大気汚染と妊娠・妊婦・胎児の関係を調べたアンブレラレビューを見ていきます。



大気汚染と妊娠による健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみた…!

2023年の鄭州大学の研究によると、大気汚染と妊娠による健康リスクについてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそもWHOによれば、世界の92%の人がPM2.5にさらされたことがあるらしく、また、この暴露が妊娠へ悪影響を及ぼしている可能性があるんだとか。
具体的には、全身性の炎症、酸化ストレス、代謝障害、内皮機能不全が起きる可能性があるそうで、これにより妊婦さんは、妊娠中毒症、妊娠高血圧、妊娠糖尿病なんかのリスクが高まるみたい。
また、PM2.5は血液循環によって胎盤バリアを突破し、子宮内の恒常性の乱れや胎児の発育異常も引き起こすそうな。これにより、低出生体重、早産、死産、在胎不当過小、先天異常などのリスクも高まるらしい。
こんな感じで、健康に被害が出そうなんで、先行研究でも系統的レビューやメタ分析は行われてきました。
しかし、これらの研究は単一の妊娠結果に焦点を当てたものだったみたいで、またアンブレラレビューも行われていたものの、出産結果が関連付けられ、出生異常についてはあんま深くチェックしていなかったそうです。
そこで今回、その辺も含めガッツリ掘り下げてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2022年3月16日までに発表された該当する系統的レビューとメタ分析をPubMed、Web of Science、Embase、コクランという4つのデータベースで検索してみたそうな。すると合計6,322件の研究がヒットしたとのこと。続いてこの中で被っている研究を除き、その後、質なんかをチェック、精査していったみたい。
最終的にピックアップできた研究は41件でして、そのうち系統的レビューとメタ分析が34件、系統的レビューのみメタ分析なしが7件って感じだったそうです。
それでは気になる結果をチェックしておきましょう。
周産期におけるPM2.5の曝露によって、

  • 低出生体重リスクが有意に高かった…。
  • 早産リスクが有意に高かった…。
  • 死産リスクが有意に高かった…。
  • 在胎不当過小(在胎週数に対して小さい胎児)リスクが有意に高かった…。
  • 先天異常リスクが有意に高かった…。

とのこと。
胎児への影響が結構えげつないですね。
次に妊婦さんにおけるPM2.5の曝露によるリスクなんですが、

  • 妊娠中毒症リスクが有意に高かった…。
  • 妊娠高血圧リスクが有意に高かった…。
  • 妊娠糖尿病リスクが有意に高かった…。
  • 妊娠高血圧腎症(にんしんこうけつあつじんしょう。旧、子癇前症(しかんぜんしょう))リスクが有意に高かった…。

とのこと。
う~ん。妊婦さんへのダメージも結構ですね…。
因みにサブグループ解析によれば、妊娠期によってPM2.5が及ぼす影響が違ったらしい。



個人的考察

まとめると、大気中のPM2.5は妊婦、出産、胎児への悪影響が結構すごいって感じです。
大気汚染は本当に侮れませんな…。



参考文献