【加筆内容】胎児期における大気汚染への曝露と先天性心疾患の関係についてアンブレラレビューを行ってみた!
胎児期における大気汚染への曝露と先天性心疾患の関係についてアンブレラレビューを行ってみた…!
2023年のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、胎児期における大気汚染への曝露と先天性心疾患の関係についてアンブレラレビューを行ってみたそうです。
そもそも先天性心疾患は出生児の約1%に発生するものなんだとか。そして、出生前の大気汚染による曝露が先天性心疾患と関係しているかは矛盾した結果が出ていたらしい。そこで今回、先行研究の結果をまとめて大きな結論を出して見ることにしたそうです。
まず研究者たちは、2020年12月9日までに発表された該当研究をPubMed、Epistemonikos、Embaseで検索してみたそうな。すると全部で12,238件の研究がヒットしたとのこと。更に今回、2023年5月31日までに発表された研究がないか追加で検索してみたらしい。すると新たに103件の研究がヒットしたんだとか。
次に見つかった研究で被っている物を除きつつ、更に質をチェックしていったそうな。
結果、10件の系統的レビューをピックアップで出来たそうです。
更に追加でGoogle検索、Google Scholarで検索した結果、1件の研究を見つけることが出来たんだとか。
そのため、最終的には11件の系統的レビューが選ばれたそうです。因みに11件中8件はメタ分析を含んでいたとのこと。
それではこれらをまとめた結果を見てみましょう。
- 出生前に二酸化窒素(NO2)の曝露が多いと、大動脈縮窄症(CoA)リスクが高かった(中程度のエビデンス)
- 出生前にオゾン(O3)の曝露が多いと、心房中隔欠損症(ASD)リスクが高かった(低いエビデンス)
- 出生前にPM2.5と二酸化窒素(NO2)の曝露が多いと、ファロー四徴症(TOF)リスクが高かった(低いエビデンス)
- 出生前にPM10の曝露が多いと、心房中隔欠損症(ASD)リスクが高かった(非常に低いエビデンス)
- 出生前にPM10と二酸化窒素(NO2)の曝露が多いと、動脈管開存症(PDA)リスクが高かった(非常に低いエビデンス)
- 出生前に一酸化炭素(CO)の曝露が多いと、心房中隔欠損症(ASD)リスクが低かった(非常に低いエビデンス)
そもそも質の高いエビデンス要因自体ほとんどなかったみたいですね。
因みに、異質性が高い(=個々の結果のバラバラさが激しい)、出版バイアスの可能性(=効果アリって結果の方が効果なしって結果よりも世に出回ることが多い)、レビュー結果間の矛盾、データ不足があったらしく、まだまだ可能性の域を出ないっぽいです。
個人的考察
但し研究者曰く、
- それでもなお、本研究結果は、出生前の大気汚染物質への曝露が、少なくとも一部の先天性心疾患リスクを高める可能性があることを示している
としています。
まぁ、気を付けるに越したことはないですな。