アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその110です。
今回は、オメガ3脂肪酸の研究を見てみます。
オメガ3脂肪酸ってのは、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の一つに属しておりまして、1991年の研究なんかを見てみると、

  • エイコサペンタエン酸(EPA)
  • ドコサヘキサエン酸(DHA)
  • α-リノレン酸(ALA)

といった種類がございます。
そしてフィッシュオイルは、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)が唯一濃縮されて含まれている食べ物で主な供給源ともなっております。一方、植物に含まれる主要なオメガ3脂肪酸がα-リノレン酸(ALA)となっております。
んで2012年のバレアレス諸島大学の研究によれば、α-リノレン酸(ALA)は、体内で合成できず、食品やサプリなどから摂取する必要があるそうです。そのため必須脂肪酸となっております。対して、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、体内でα-リノレン酸(ALA)から生成することが可能なんだとか。そのため食事からの摂取は必須と考えられていないみたい。
そんなエイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA)、α-リノレン酸(ALA)は以下の物に含まれているそうな。

  • エイコサペンタエン酸(EPA)・ドコサヘキサエン酸(DHA):2008年のモンクトン大学の研究によると、EPAとDHAは、ビンナガマグロ、サーモン、サバ、イワシ、ニシンなどの脂肪の多い魚から摂取できる。つまりイメージは青魚。余談だがなんかにも含まれていたりする。
  • α-リノレン酸(ALA):2003年のアメリカ心臓協会(AHA)の勧告によると、ALAは、クルミ、亜麻仁、キャノーラなどのナッツ・植物油から摂取できる。

まぁ、メインはやっぱ魚でしょうね。ナッツや植物油はオメガ6脂肪酸も同時に結構とることになるので。
ということでオメガ3脂肪酸の復習が終わったところで、本題に入っていきますかー。



魚・オメガ3脂肪酸とガンリスクについて観察研究のメタ分析のアンブレラレビューを行ってみた…!

2020年の延世大学校などの研究によると、魚・オメガ3脂肪酸とガンリスクについて観察研究のメタ分析のアンブレラレビューを行ってみたそうです。
魚・オメガ3脂肪酸には抗炎症作用がありまして、それによりがんリスクが低下する可能性があったりします。しかし、矛盾する結果も出ていて良く分かっていない部分もあったんだとか。そこで今回、初のアンブレラレビューを行ってみることにしたらしい。
まず研究者たちは、2018年12月1日までに発表された該当する系統的レビューとメタ分析をPubMed、Embase、コクランで検索してみたそうな。その後、検索にヒットした研究の中で重複している研究を除いていったみたい。
すると合計598件の研究が見つかったんだとか。次にこの中の研究の質をチェック、良い感じの物をピックアップしていったそうです。
最終的に基準を満たした研究は15件でして、これらを基に、魚・オメガ3脂肪酸とガンリスクの関係を見てみたとのこと。
結果、

  • 説得力のあるエビデンス→なし…。
  • 非常に可能性のあるエビデンス→なし…。
  • 可能性のあるエビデンス→なし…。
  • 低いエビデンス→あり…!

って感じ。
低いエビデンスレベルのものしかなかったのは残念ですね~。
では、それらが何か見てみましょう。

  • オメガ3脂肪酸の摂取で肝臓がんリスクが統計的に有意に低下していた…!
  • オメガ3脂肪酸の摂取で乳がんリスクが統計的に有意に低下していた…!
  • オメガ3脂肪酸の摂取で前立腺がんリスクが統計的に有意に低下していた…!
  • オメガ3脂肪酸の摂取で脳腫瘍リスクが統計的に有意に低下していた…!

いくつかのがんリスク低下に魚やオメガ3脂肪酸が良いかも…?って感じですね。
それと、オメガ3脂肪酸の摂取で子宮内膜がん(子宮体がん)リスクと皮膚がんリスクが統計的に有意に低下していたんですが、個別の研究は1件のみでエビデンスレベルは評価できなかったとのこと。



個人的考察

ということでオメガ3脂肪酸の研究はたくさんあるけど、がんリスクについては質の低い研究ばっかで良く分からない感じ。今後の研究に期待って感じですね。



参考文献