アンブレラレビューを見てみよう!」シリーズその107です。
今回は、2024年にカリフォルニア大学などが発表した、ベジタリアン・ビーガンは心血管疾患リスク・心血管リスク要因に効果的なのかのアンブレラレビューを見てみます。



ベジタリアン・ビーガンは心血管疾患リスク・心血管リスク要因に効果的なのかアンブレラレビューを行ってみた…!

2024年のカリフォルニア大学などの研究によると、ベジタリアン・ビーガンは心血管疾患リスク・心血管リスク要因に効果的なのかアンブレラレビューを行ってみたそうです。
軽くおさらいしておきますと、ベジタリアンな食事スタイルってのは、程々な動物性食品を制限しつつ、野菜や果物、豆類、全粒穀物、ナッツ類、種子類をメインに食していく感じです。そのためベジタリアンは、通常、飽和脂肪やコレステロールが低く、食物繊維、抗酸化物質、植物に多く含まれるビタミン・ミネラルなんかが豊富に摂取できるんですな。一方で、肉に多く含まれる、ビタミンB12や鉄分、カルシウムなんかが足りなくなったりすることがあるんで注意が必要です。
そんなベジタリアンな食事は、心血管疾患の予防に良いぞ…!という系統的レビューが数多く発表されております。んがしかし、よく見ると系統的レビューの質にばらつきがあったり、限定的な結果に焦点を当てていることもあるんですよ。
なんで、結局のところどうなんだ…?って疑問が残っていたんですな。そこで一般集団の健康な成人(18歳以上)におけるベジタリアン、ビーガンと心血管疾患リスク・心血管リスク要因の関係をガッツリ深掘りしてみることにしたんだとか。
まず研究者たちは、2018年~2024年3月6日までに発表された該当研究をMEDLINE、CINAHL、コクラン、Food Science Source、SportsDiscusで検索してみたそうな。すると合計1,244件の研究がヒットしたとのこと。続いてこの中で重複している研究や質の低い研究なんかを除いていったらしい。
最終的に基準を満たした系統的レビューは21件でして、

  • うち7件の系統的レビューでは、ベジタリアン+ビーガンでチェックした
  • うち6件の系統的レビューでは、ビーガンのみでチェックした
  • うち8件の系統的レビューでは、ベジタリアンのみ、ビーガンのみでチェックした

そうです。
それでは結果をバーッと見てみますかねー。

  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、心血管疾患発症リスクが15%(RR0.85)低かった…!
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、冠状動脈性心疾患発症リスクが21%(RR0.79)低かった…!
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、心血管疾患発症リスクに有意な影響を与えなかった(RR0.92)
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、冠状動脈性心疾患発症リスクに有意な影響を与えなかった(RR0.82)
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、脳卒中発症リスクに有意な影響を与えなかった(RR0.90)
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、脳卒中発症リスクに有意な影響を与えなかった(RR1.17)
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、出血性脳卒中や虚血性脳卒中に有意な影響を与えなかった。
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、心筋梗塞発症リスクに有意な影響を与えなかった(HR0.77)
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、心血管疾患による死亡リスクが8%(HR0.92)低かった…!一方で違う研究でも8%(RR0.92)低かったが有意ではなかった。
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、冠状動脈性心疾患による死亡リスクが24%(HR0.76)低かった…!
  • ラクト・オボ・ベジタリアン(乳製品ありベジタリアン)とビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、冠状動脈性心疾患による死亡リスクに有意な影響を与えなかった。
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、冠状動脈性心疾患による死亡リスクに有意な影響を与えなかった。
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、脳卒中による死亡リスクに有意な影響を与えなかった(RR0.92)
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、脳血管疾患による死亡リスクに有意な影響を与えなかった。
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、収縮期血圧が-2.56mmHg低かった…!
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、拡張期血圧に有意な影響を与えなかった(-1.33mmHg)
  • ビーガンと血圧の関係は主に東アジア以外の国の参加者によって引き起こされていた。
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、LDLコレステロールに有意な影響を与えなかった(-0.13mmol/l)
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、中性脂肪に有意な影響を与えなかった(-0.05mmol/l)
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、LDLコレステロールが-0.49mmol/l低かった…!但し、異質性が高かった。
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、中性脂肪が-0.05mmol/l低かった…!但し、異質性が高かった。
  • ベジタリアン(ビーガンを含む)は、非ベジタリアン食と比較して、C反応性タンパク(炎症マーカー)が-0.55mg/l低かった…!但し、異質性が非常に高かった。
  • ビーガンは、非ベジタリアン食と比較して、BMIが-1.72kg/m2低かった…!

全部とまではいきませんでしたが、心血管疾患リスクやいくつかの心血管リスク要因に効果があったみたいですね。ただ、よく見るとまだまだはっきり言える部分って少ない感じですな。



個人的考察

とはいえ、やはり、野菜は積極的に食べていきたいのはほぼ間違いない感じ。



参考文献