【まとめ】免疫力アップに役立つローマ式入浴法のやり方や効果
ローマ式入浴法ってなに…?
2016年のアムステルダムのアカデミックメディカルセンター(AMC)のRCTによると、ローマ式入浴法の効果について調べてみたそうです。この研究では、2015年1月から3月の間に、重度の併存疾患がなく、普段から冷水シャワーを浴びる習慣がない18歳から65歳の男女3,018人を対象にしたそうで、全員をランダムに4グループに分けたそうです。- 熱い風呂に入った後に、30秒の冷水シャワーを浴びる
- 熱い風呂に入った後に、60秒の冷水シャワーを浴びる
- 熱い風呂に入った後に、90秒の冷水シャワーを浴びる
- 熱い風呂のみ
上記1,2,3のような入浴法をローマ式入浴法と言います。つまり、熱い風呂に入った後に、冷水シャワーを浴びる方法ってことですね。この効果が本当にあるのか、どれぐらい冷水を浴びればいいのかを調べたのが今回の研究のポイントになります。
因みに熱い風呂には好きな時間だけ入ってもらったそうです。また、冷たいシャワーの温度は10度から12度にしたとのこと。
この入浴法を30日間続けてもらい、更に90日のフォローアップを行ったそうで、気になる結果は、
- 熱い風呂のみに比べて、ローマ式入浴法を実践した人(冷水シャワーを浴びた人)は、会社を病欠で休むことが29%も減った…!
とのこと。1.3倍の効果はすごい…!
因みに他にも分かったことがあったそうで、
- 女性よりも男性の方が冷水シャワーによる病気予防の効果が大きかった…!
- 冷水を浴びる時間の長さは、ほぼ関係なかった…!(つまり30秒以上浴びても効果に違いは出なかった)
- 主観的に日々の活力がアップした…!と思う人が多かった…!
だったそうです。
つまり、これを普段の生活に活かすなら、
- お風呂でしっかり温まった後に、冷水シャワーを30秒浴びる…!
たったこれだけです。お手軽で良いですね~。
それとこの研究では、更にローマ式入浴法の効果を高める方法が載っていまして、それが運動と一緒に行うと良いそうです。
つまり普段から運動をして、更にローマ式入浴法を実践するのが良いってことですね。研究では普通にお風呂に入っている人よりも運動+ローマ式入浴法を実践している人の方が
54%も病気になる確率が減ったそうなんで、これはぜひとも実生活に取り入れたいところ…。1.5倍の効果ってのは、すさまじいですからねー。
原因は褐色脂肪細胞…!
なぜローマ式入浴法(冷水を浴びる・体を冷やす)と良いのでしょうか…?気になる理由ですが褐色脂肪細胞が活性化したからということです。
脂肪には白色脂肪細胞(普通の脂肪)と褐色脂肪細胞があります。褐色脂肪細胞は代謝を高める機能がありまして、増えれば増えるほどカロリー消費量もアップするという痩せる脂肪となっております。そして、その脂肪量は遺伝によりほぼ決まっており、後天的に増やすのが難しい脂肪でもあります。それと余談ですが、褐色脂肪細胞は人間でもマウスでもほとんど同じ働きをするみたいです。
んで、2013年のマーストリヒト大学医療センターの研究によると、褐色脂肪細胞が冷水で刺激されるのは間違いないそうなんで、今回もこの効果がでたようです。温かいところから一気に冷水で冷やすことにより、脳に死ぬかも…!って錯覚させて褐色脂肪細胞を活性化させているわけですね。まさにホルミーシスによって免疫力が高まったと言えるでしょう。
因みに肩(肩甲骨)らへんに一番褐色脂肪細胞があるんでここをメインにシャワーをかけていくとよろしいかと思います。
褐色脂肪細胞を刺激し、免疫力をアップするにはとにかく体を冷やせ…!
1999年の研究によると、冬に泳ぐことのある水泳選手と冬に泳ぐことのない健康な人を対象に血液サンプルを採取したんだそうな。それを使って、抗酸化防御システムについて調べてみたとのこと。結果、冬に泳ぐ人は体内の抗酸化機能が上がっていたそうです。
また2007年のバージニア・コモンウェルス大学の研究によると、何ヶ月にもわたって毎日冷水を浴びて体にストレスを与え続けると免疫力が強化され、リンパ系の癌の生存率を改善する可能性があるという仮説を立てたそうな。んで、実際にマウスを使って調べてみると、確かに寒い環境にいると免疫力がアップしていたそうです。
やっぱ体を冷やすってのは良さそうですね~。
うつ症状も改善できるかも…!
実は免疫力アップだけでなく、うつ症状改善にも冷水は役立つ可能性があるみたいなんですよ。その辺を調べてくれたのが2008年のバージニア州立大学の研究になります。この研究では、1日1~2回冷水シャワー(20℃)を2〜3分間浴びてもらいつつ、その後、5分間ずつ段階的に冷たさを変えていくって方法を行ってみたそうです。
この方法を数週間から数ヶ月実践してみると、交感神経が活性になり、ベータエンドルフィンとノルアドレナリンの血中濃度が上昇、脳内のノルアドレナリンのシナプス放出も増加したそうです。つまり、冷水シャワーでうつ症状が改善したってことですね。注意点としては、研究はまだ初期段階で今後さらに調べる必要があるということなんですが、副作用や依存症もないそうなんで、試してみても損はなさそうな感じですね~。
ダイエットにも使えるかも…!
最後は皆大好きダイエットにもこの冷水シャワーは使えるかもしれません。
2013年の北海道大学の研究によると、褐色脂肪細胞は、体が寒さにさらされると脂肪を燃焼させて熱を発生させ、代謝を起こすけど、これってどれぐらいの効果があるの…?ってのをいくつかの実験で調べたそうです。
この中の実験の一つをご紹介すると、健康な若い男性参加者22人を対象に2グループにランダムに分けたそうです。
- 冷たいグループ(12人):毎日17°Cの寒さに2時間さらされた
- 比較グループ(10人):普通に生活してもらった
結果、毎日17℃の部屋に2時間いたグループは、6週間で5%も体脂肪が減っていたそうです。5%はデカい…!
理由は体温維持の為に、褐色脂肪細胞を燃やしていたみたいということで、ダイエットにも使える可能性がありそうですね~。
個人差がかなりあるらしい…。
ローマ式入浴法や冷水シャワーで体を冷やすと褐色脂肪細胞の量が増えて脂肪を燃焼し、代謝が上がるのは間違いなさそうなんですが、問題点が一つございまして、この効果はかなり個人差があるらしいんですよね。そのため、人によっては痩せる可能性もありますが、一方で痩せない人もいる可能性がございます。これは自分で試してみて調べるしかないんですよね…。但し、免疫力アップに関しては個人差を気にしないで効果を期待して良さそうなんで誤解のなきようよろしくお願いします。それと余談ですが、体を急激に冷たくしても免疫力がアップしますが逆に体を温めても免疫力がアップします。例えば、体を温める回数が多い程、風邪になりにくいとかは皆さんもご存知の通りかと…。
毎日続ける必要がある…!
それと共通している残念ポイントもありまして、どちらも効果は短期間しか続かないってことはご留意ください。実際、ローマ式入浴法を実践してもその効果の持続時間は2日間(48時間)ぐらいみたいで、その後はすっかり褐色脂肪細胞の量は元通りになってしまうみたいなんですよね。
つまり、基本的には毎日か2日に1回は継続しないとメリットを受け続けることはできないんですよ。やっぱ何事も習慣化は大事。
褐色脂肪細胞を効率よく起動させるにはどうすれば良いのか…?
寒いところにいると痩せる…!みたいな話を聞いたことがございませんか…?その理由は寒さにより体を温めようとして脂肪が燃えるからって感じです。人間の体の奥底の温度(深部体温)は常に一定に保たれるようにできておりまして、ここの温度が危うい状況になると、脳(視床下部)は体を温めようと必死になるんですよね。エアコンとかの自動温度調節機能みたいな感じですな。
んで、深部体温に危機が迫った時、体はどんな事をして体温を上げようとするかと言いますと、
- 体をブルブルさせる
- 血管を収縮させ血圧を上げる
- 褐色脂肪細胞を活性化させる
って感じです。
これらを行い体温を上げて、深部体温が一定になるようにして内臓の働きが鈍るのを抑えます。つまり、寒さでダイエットを考える場合、褐色脂肪細胞を起動させる必要があり、そのためには、脳に寒くてヤバい…!と錯覚させる必要があるんですよね。
そしてこの錯覚ってのがポイントでして、本当に深部体温を下げるまでの寒さは必要ないんですよ。つまり体の表面が寒ければOKってことです。例えば冷水シャワーを浴びる場合は、時間にもよりますが、20~10℃の間、おそらく12〜17℃ぐらいが良さそうで、体が勝手にブルブルするレベルまでは必要ありません。
でもシャワーとかの温度って分からないものもありますよね。そんな時は感覚で判断するのも良かったりします。具体的には、シャワーを浴びた瞬間に、冷たっ…!ってなる、ちょっと嫌な感じがするレベルぐらいが良い感じ。瞬間的に、冷たっ…!(嫌だ)と思ったということは、脳が錯覚した証拠なんで褐色脂肪細胞が起動するきっかけとして十分ってことですな。
それとシャワーをどこに当てるかですが、基本的には肩や肩甲骨が良い感じ。この辺に褐色脂肪細胞ってのは多くいるんですよ。但し、ここばっか当てれば良いって訳でもないんで、好きに浴びていいのではないかと。兎に角、脳が錯覚さえおこせりゃ良いんで。
因みに私は、つま先→すね→太もも→お尻→腕→肩(肩甲骨)→顔にしております。要は下から上にかけて順番にかけていくって感じですな。
褐色脂肪細胞の起動のカギとなるのはアドレナリン…!
ついでに褐色脂肪細胞の起動のカギとなるのはアドレナリンだよ~って話もしておきましょう。
1993年のフランス国立衛生医学研究所のレビュー論文では、アドレナリン受容体と白色脂肪細胞(普通の脂肪)・褐色脂肪細胞(痩せる脂肪)の起動の関係について詳しく書かれております。
なんでも研究によれば、アドレナリン受容体の5つのサブタイプが、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の起動に関わっているそうで、
- 白色脂肪細胞:α2アドレナリン受容体とβアドレナリン受容体が拮抗していると存在する
- 褐色脂肪細胞:α1アドレナリン受容体とβアドレナリン受容体が積極的に協力していると存在する
みたいなんですよね。
つまり、ヒトの脂肪分解はアドレナリン受容体のバランスによって制御しているみたいなんですな。なんで正常なカテコールアミンの分泌なんかもダイエットに重要となっております。
個人的考察
ということで色々見てきましたが、手軽にできてメリットも大きそうなんで、是非実践してみてはいかがでしょうか…?
因みに湯船に浸からなくても、
- 適温のシャワーを浴びる
- 1分間隔で少しずつ冷水に近づけていく
- 冷水シャワーを30秒以上浴びる(温度は最高でも20度、できれば10度~12度ぐらいがベスト)
- 上記を毎日続ける
という4ステップで良いと思います。
また、上記に書いた通り、褐色脂肪細胞は肩や肩甲骨に多くあるそうなんで、そこに冷水シャワーを当てるのもお忘れなきよう、宜しくお願い致します。