【まとめ】ネガティブに強くなる!レジリエンス(逆境力)を鍛える方法
レジリエンス(逆境力)ってなに…?
まずはレジリエンス(逆境力)が何なのか見ていきます。
2000年のコロンビア大学の研究では、レジリエンスの研究についてレビューしておりまして、これによると、
- レジリエンスとは、重大な逆境を経験したにもかかわらず、個人が前向きな考えや行動を維持することを意味する
そうです。
つまりネガティブやストレスな出来事があっても、ポジティブに考え、前に進んでいく力のことを言うわけですな。このスキルはあると良さそう…。
大なり小なりネガティブな出来事ってのは誰にでも必ず訪れますんで、それを避けることは不可能です。それならレジリエンスを鍛えておき、立ち直りが早ければいいのではないでしょうか…?
但し人間はネガティブなものに目を向けやすい傾向がある…!
レジリエンスが大事なのは分かるものの、人間にはネガティブバイアスがありますんで、なかなか難しいところがございます。
また2019年のメタ分析や2018年のオーストラリアカトリック大学の研究によると、レジリエンスが低い人はネガティブなものに目を向けやすい傾向が高かったそうです。まぁ、それもそのはずで、ネガティブになり、いつまでも考えてしまうから立ち直れない、失敗を恐れる訳であって、そんなの当たり前じゃん…!って感じですよね~。但し、研究では更に深掘りしてありまして、「完璧主義とか駄目だよ…!なんでって、誠実性が減りネガティブになってしまうから…!」ってことだったみたいです。完璧主義は自己批判や先延ばし、PTG、読書の仕方で登場した避けたいものの一つであります。
というのも、
- 完璧にしないと…!
- (ほぼできても)完璧じゃなかった…ダメだ…。
- あれもこれもダメだった…。なんてダメなんだ(自己批判)
- 失敗が怖い…。次も失敗する…。もっと完璧にしないと…。
って感じになるんですよね。
誠実性が減るのは意外ですが、上記ループから抜け出すためにズルしたり、完璧を求めすぎるあまり、計画通りにいかないなど発生しやすくなるんでしょうね。ちなみに今の自分の誠実性を知りたい場合はビッグファイブを行ってみてください。
レジリエンスはどうやって鍛えるべきか…?
じゃあレジリエンスはどうやって鍛えると良いの…?ってなるんですが、これについては2013年のマウントサイナイ医科大学の研究が参考になります。
いくつか鍛え方が載っていましたんで順番に見ていきますねー。
ポジティブに捉える…!
2000年のカリフォルニア大学の研究によると、数多くの研究により、ポジティブな感情はストレスに直面した際に保護的な役割を果たすそうな。つまり、悲観主義ではなく、楽観主義でいることが大事ということです。但し何でもかんでもポジティブ…!ってなるとポジティブシンキングの罠にハマっちゃいますんで、ネガティブにフォーカスをし過ぎないようになるってのがポイント。また、防衛的悲観主義と戦略的楽観主義という戦略を踏まえていきたいところ。
なんで、現実的楽観主義(現実的楽観主義者)を目指すのがよろしいかと思います。現実的楽観主義とは防衛的悲観主義と戦略的楽観主義の良いとこ取りをしたような考え方で、問題が起きた際に、
といったように考えるスタイルのことを言います。
- 解決可能か不可能かを考える
- 解決可能なら徹底的に目を向ける(ネガティブの良さである分析力の高さを活かす)
- 解決不可能なら目をそらす(ポジティブの良さである気にしない力を活かす)
といったように考えるスタイルのことを言います。
この考え方により、ネガティブの良さを活かして完璧主義にならないようにしつつ、ポジティブにも考え、失敗を恐れず進んでいけるようになるのではないかと思います。
リアプレイジング(リアプレイザル)・リフレーミングを行う…!
2011年のデンバー大学の研究によると、レジリエンスの高さと強く関係しているものとしてネガティブな考え方を再評価し、ポジティブな考え方に捉え直す能力、つまりリアプレイジング(リアプレイザル)を行うことも有効とのこと。また、心理的柔軟性やリフレーミングは、物事の出来事や状況の見方を変えることができ、ついついネガティブに目が行きがちになるのを防いでくれるそうな。
因みに2010年のデンバー大学の研究によると、リアプレイジングやリフレーミングが上手くでき、心理的柔軟性が高い女性はそうでない女性に比べて、抑うつ症状が少なかったそうです。
更に2012年のティルブルフ大学の研究では、632人の男女を対象に愛着スタイルとレジリエンスとの関係を調べておりまして、結果、安定型の人はリアプレイジング、リフレーミング、心理的柔軟性も高く、結果レジリエンスも高かったそうな。安定型の愛着スタイルを持つ人は、状況を感情的でないものとして捉え直す傾向が高かったらしく、感情表現を抑制する傾向も低かったとのこと。その結果、幸福度も高かったそうです。
認知行動療法を行う…!
行動療法的な認知行動療法と認知療法的な認知行動療法の両方を上手く使い、積極的にストレスの軽減やコントロールをしていくと良いとのこと。またこれらを使った対策や対処はレジリエンスと関係しているそう。確かに、これらを用いることでストレス要因からの回避行動を減らしていきますんでレジリエンスがアップできそうですよね。
例えば、1987年の研究や1993年の書籍によると、ストレスに対して回避行動を行った人は、心理的苦痛とそれに続くネガティブな反応のリスクがあったのに対して、積極的に対処した人は、レジリエンスが一貫して発揮されていたらしい。他にも慢性疼痛の患者さんを対象にした研究やイスラエル退役軍人と元捕虜を対象にした研究でもこの傾向がみられたそうな。
因みに2005年のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によれば、性格(ビッグファイブ)とレジリエンスの高さは関係あるそうで、レジリエンスの高さと神経症的傾向は逆相関していた、外向性や誠実性は正の相関関係があったとのこと。性格はある程度努力によって変えることが出来そうなんで、ここもレジリエンスアップの手助けになるかもしれませんな。
ソーシャルサポートを受ける…!
2008年のマウントサイナイ医科大学の研究によると、ソーシャルサポートを受けたり求めたりする行動は、人生の大きな逆境に直面した際の安心感に強く関係しているそうな。逆もまた然りで2012年のVAニューイングランド精神疾患研究・教育・臨床センターの研究によると、ソーシャルサポートの不足とPTSDを含む精神疾患には関係があったらしい。
ということでレジリエンスアップには援助希求能力も大事そうです。
ユーモアを持つ…!
一見関係なさそうなユーモアもレジリエンスアップには重要とのこと。1992年のハーバード大学の研究によれば、ユーモアを持つことは不安や緊張を和らげるだけでなく、ソーシャルサポートを受けやすくさせる力があるんだとか。またユーモアはストレス対策にもなる事が分かっているそうで、ストレス状況でも生き抜くには必要不可欠な能力とのこと。確かにこれは分かるな~。
運動を行う…!
運動のメリットは挙げたらきりがないので、詳しくは「有酸素運動・無酸素運動(筋トレ)の効果を片っ端から挙げてみる!」を見て頂きたいのですが、実はレジリエンスアップにも有効とのこと。
運動とレジリエンスの研究も豊富にございまして、1999年の研究や2014年のシカゴ大学の研究、2015年の香港大学の研究、2018年のジュイス・デ・フォーラ連邦大学の研究と挙げていくときりがない感じ。そのため、運動でのレジリエンスアップはかなり期待して良さそうです。
因みに2022年のロンドンサウスバンク大学の研究では、コロナのパンデミックという実際に起きた重大な逆境状況で、運動とレジリエンスの関係を調べております。結果は皆さんの想像通りでして、運動レベルが高い人ほどレジリエンスレベルも高かったそうな。これを見ても運動でレジリエンスアップは十分あり得ると言えそうですね。
親切な行動を行う…!
例えば、2010年のヨアニナ大学の研究によると、ギリシャに住む232人の小学生を対象に調べてみたところ、親切な行動が多いクラスの子ども達は、共感力とレジリエンスが高かったとのこと。
マインドフルネス・瞑想を行う…!
2011年のアメリカカトリック大学の研究によると、マインドフルネス・瞑想により、レジリエンスがアップしたそうな。この研究によれば、マインドフルネストレーニングとして瞑想(主に呼吸瞑想やボディスキャン瞑想など身体感覚に意識を集中する瞑想法=サマタ瞑想)を行うことにより反芻思考を防ぎ、それによって起きるうつ病やPTSDなどの症状を抑えるのに役立つ可能性があるんだとか。また、2011年のニューメキシコ大学の研究でもマインドフルネスがストレスに対する回避行動を減らし、レジリエンスをアップさせる可能性があると出ているとのこと。
感情の粒度を鍛えるのもレジリエンスアップには使えそう…!
2004年のヴァッサー大学の研究によると、感情の粒度を鍛えるのもレジリエンスアップに使える…!とのこと。
感情の粒度ってのは、自分の感情を細かく説明できるか…?ってことでして、うつ病などの方などは、ネガティブな出来事をネガティブな出来事というざっくりしたくくりや「最悪」みたいな極端な表現で表すことが多いんですよね。そのため、感情の粒度を上げて、具体的に細かく自分のネガティブが説明できることによって、そのネガティブを受け入れ対処するのが上手くなるんですな。
因みに感情の粒度を上げるには語彙力(ボキャブラリー)トレーニング法がオススメです。
個人的考察
以上レジリエンスでした。
是非、自分に合った方法を見つけてレジリエンスを鍛えていきましょう…!
参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21058843/
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0191886912003029
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