仕事に勉強、ダイエットに運動、遊び…。
全てに共通して大事なのがモチベーションというもの…。
しかし、モチベーションは湧水と一緒。ないとこをいくら掘っても無駄…。
これは皆さんどこかで一度はご経験のことと思います。しかし、なかなかどうしてモチベーションのアップ・維持・低下防止は難しいもので、当ブログでもたびたびモチベーションを題材にした内容を書いております。なぜならモチベーションの維持は年齢に関係なく成功する為に必要なスキルだからです。
そこで今回は、最強のモチベーションアップ法である「前に進んでいる感覚・前進感・進捗の法則」をご紹介しつつ、その他のモチベーションアップ・維持・低下防止法を片っ端から挙げていきたいと思います。
モチベーションがイマイチ上がらなくて…。って時はこちらをご覧ください。



ハーバードビジネススクールのテレサ・アマビール教授から学ぶ「進捗の法則」

ハーバードビジネススクールのテレサ・アマビール教授の2010年の研究や名著「マネジャーの最も大切な仕事」には、人間のモチベーションアップに関することが深掘りされ、書かれております。そして、この内容はマネジャーの枠に留まらず、自他のモチベーションアップ法を知りたいのであれば誰でも押さえておきたい感じとなっております。
んで、アマビール教授の研究成果を一言でまとめますと、

  • 人間は前に進んでいる感覚(前進感)がある時、一番モチベーションがアップする…!

というものです。
アマビール教授はこれを「進捗の法則」と呼んでおります。


「進捗の法則」を調べてみた…!

アマビール教授はこの進捗の法則を調べる(確かめる)ために実験をしております。まず7社の企業から238名の従業員に協力をお願いし、毎日メールでモチベーションについての記録を送ってもらったそうです。モチベーションメールには以下のようなものがあったそうです。

  • あるシステムエンジニアは、1日の終わりに、うまく動作しない原因がやっとわかった…!と喜びのメール送ってきていた。そして、これは私にとって小さな一歩なので安心と喜びを感じられた、とも書いていた。更に、ソフトウェアの特定のバージョンを強化するための取り組みが90%完了した…!とも付け加えられていた。

こんな感じのメール記録を約12,000件も集め、アマビール教授は日々のモチベーションや感情の変化を詳細に分析していったそうです。つまりかなりの労作ですな。
結果分かったことは、

  • 仕事の進捗がたとえわずかな進捗だったとしても、ポジティブな感情やモチベーションアップに繋がったいた…!
  • この効果は他のどの仕事中の出来事よりも高かった…!

とのこと。
なんでも、勤務日で最高の一日だったと感じた時の理由の76%(他に比べて一番高かった)は仕事の進捗だったそうで、また、最悪の勤務日だった時の理由の25%(他に比べて2番目に高かった)も仕事の進捗だったそうな。更に最高と最悪の落差(51%)も他の要素に比べ一番高かったとのこと。
つまり、

  • 前に進んでいる感覚(前進感)がある→モチベーションアップ…!
  • 前に進んでいない感覚(停滞感・後退感)がある→モチベーションダウン…。

ということです。
この結果にアマビール教授は、モチベーションアップのカギは、ほぼ自分自身でコントロールできることがわかったので朗報だ…!とおっしゃっておりました。


「進捗の法則」を上手く扱うためには「小さな進捗」が重要…!

ではどうやって上手く自分自身でコントロールしていくかですが、アマビール教授はこの「前に進んでいる感覚」を感じるためには「小さな進捗」を感じられるようにするのが良いとおっしゃっております。「小さな進捗」とは言葉の通り、少しでも良いので前に進んでいる感覚のことで、これが味わえるように工夫すると良いということです。
例えば、


などですね。
兎に角、大股に一歩ではなく小股でちょこちょこ進んでいきそれが確認できる感じにするといったところです。


マネジャー(上司)が他人のモチベーションを下げずに上げるにはどうすべきか…?

次にマネジャー(上司)が他人のモチベーションについて、どう対策をしたらいいのでしょうか…?
これについてもアマビール教授は答えておりまして、以下をしないことが重要とのこと。

  • マネジャーが勝手に目標を変更しない…!
  • マネジャーが優柔不断になって決断せず放置しない…!
  • やらなければいけない事をそのままにしない…!
  • 進捗を邪魔しない…!

人間はネガティブバイアスがあるので、ネガティブなことに対してより影響を受けやすくなっております。そのため、ネガティブな事、進捗の法則から考えた場合、停滞感・後退感は一番やる気をなくさせるので、上記を意識し、細心の注意を払っていくことが重要だそうです。

逆に言えば、前に進んでいる感覚(前進感)を他人が認識し、現実に進んでいるという状況を作り出せることが出来ればモチベーションを大きくアップさせることができます
マネジャーは、

  • 全体的な目標を明確化する
  • 努力している人をサポートする
  • 時間のプレッシャーを与えないようにする(時間をいちいち気にするとまだこれだけしか進んでいないと焦って停滞感が高まる)
  • 親切し合うギバーが活躍できる)職場環境にする
  • 実際仕事が進むよう直接手伝う
  • 毎日進捗状況をチェックし進んだことを褒める

を行うと良いそうな。
因みにこれらはモチベーションアップだけでなく、皆が生き生きと働き続けたり、早く仕事が終わって定時にあがる事が出来るなどのメリットもあるそうです。


これらを見ると、ログ(記録・日記)を取り続けるってのはやっぱモチベーションアップにとって重要だな~と感じました。
最後に私が自分自身のモチベーション維持・向上のためにやっている事としては、


って感じですかね。
他にも会議名や研修名にほぼ必ず「第○○回」ってのを入れたりしております。
因みに他者に対しては、


って感じでなるべく自分自身で前に進んでいる感覚を味わえるようにしつつ、適宜、進捗確認もするといった感じでしょうか。
いずれにしても自分はもちろん、マネジャーや管理者、サービス管理責任者(サビ管)、上司、支援員は部下や利用者さんの支援に対して使っていくことを激しくおすすめしますねー。



最強のモチベーションアップ法「前に進んでいる感覚・前進感・進捗の法則」を更に上手く使うためのテクニック

前に進んでいる感覚(前進感・進捗の法則)があることが一番のモチベーションアップに繋がると分かったところで、更に上手く使うためのテクニックをご紹介しておきます。

  1. 0個スタートで10個貯めると1杯無料になるスタンプカード
  2. 2個初回サービスで押してあり、12個貯めると1杯無料になるスタンプカード

の2つを用意しました。
つまり、集める数は同じですが、2個初回サービスで押してあるスタンプカードの方が、前に進んでいる感覚を味わえるようになっているってことですね。
これを参加者に配って、実際スタンプを集めるのか見てみたら、

  • 2個初回サービスで押してあるスタンプカードの方が0個スタートのスタンプカードよりも集める人が多かった…!

そうです。
つまり、前に進んでいる感覚が仮に嘘だったとしても人間のモチベーションはアップするんですよ。面白いですよね~。それほど人間のモチベーションアップにとって前に進んでいる感覚ってのは大事ってことみたいです。


また他にも、前に進んでいる感覚が大事だ…!って話はたくさんございまして、例えば、


などがございます。
これらを見ると、やはりモチベーションアップはどのような事にも重要であり、その重要なモチベーションを維持・向上するのに前に進んでいる感覚(前進感・進捗の法則)は使えそうですね。ぜひ意識していきたいところです。
では具体的に、前に進んでいる感覚を実感するにはどうすれば良いかと言いますと、


という方法。
ぜひお使いください。



あえて「何もしない」日時を用意する

モチベーションが一度下がってから上げるのは難しいのは皆さんご存知の通り。一度完全に飽きてしまうと様々なテクニックを駆使しないと復活できなくなってしまいます。そこで、モチベーションが低下する前にあらかじめ「何もしない」日時を用意するのがオススメ。これはモチベーションアップよりも維持と低下防止に役立ちますんで、モチベーションアップ法と一緒に使用するとより効果的です。ぜひ、お試しください。



ポモドーロ・テクニックを使う

ポモドーロ・テクニックもモチベーションの維持・低下防止に役立つ方法です。そもそもモチベーションが低下する前に休憩しちゃえ…!ってやり方で上記と被る部分はあるんですが、こちらは25分作業→5分休憩をワンサイクルとして繰り返すという具体的な時間が提示されていますんで自分で時間調整が可能な状況であれば試す価値ありではないかと思います。



アメとムチを使う

以前に紹介したアメとムチを使う方法も効果的。良い習慣を増やす場合にはアメを与え、悪習慣を減らす場合にはムチを与えるといいよ~ってことです。因みに悪習慣を減らす場合はアメよりムチの方が3倍効果があったみたいで、ムチは腕に輪ゴムをしておいてパッチンする程度で十分効果があるんだとか。



成長マインドセットを意識する

成長マインドセットを意識するのも効果的です。否定形をやめ、「まだ」や「まだ○○ではない」と考えるようにすることで、モチベーションのアップ・維持・低下を防止します。ハルバーソン博士も成長マインドセットを意識すると余裕ができてモチベーションを保てるし困難な目標でも常にモチベーションを高めていけるとおっしゃってますしね。



ジョブ・クラフティングをする

ジョブ・クラフティングとは、自分流に再定義することを言いまして、仕事でモチベーションが上がらないときに特に有効な手段です。事例を挙げておくと、JR東日本テクノハートTESSEIは車両の清掃職員に対して、車両内を劇場、清掃職員は清掃する名脇役と考えてもらい清掃してもらいました。すると「この清掃という仕事はただの作業ではなく、誰かに見られ、役に立つという意味のある仕事なんだ…!」と清掃員が思い仕事に対するモチベーションがアップしました。つまり、考え方、見方ひとつ変えるだけでモチベーションアップにつながるということです。



太陽光を浴びる

太陽光の記事のところでご紹介しましたが、陽の光に当たると、セロトニンドーパミンの量が増え、気分が上昇、集中力やモチベーションがアップするんですよね。
太陽光を浴びるだけというのはお手軽で使いやすいのでおすすめです。なんかモチベーションが…。って時はぜひ外に出て日光に当たってみてください。



不安や緊張、嫉妬のネガティブ感情を利用する

不安や緊張自信がない嫉妬というネガティブ感情も使いようによっては長所となり得ます。上記で挙げた感情はモチベーションアップに役立ちますので、ぜひリフレーミングを行い、モチベーションアップにお使いください。



目標より計画(プロセス)を大事にする

目標はざっくり、計画(プロセス)はしっかり作るのはモチベーションのアップ・維持・低下防止にも必須の項目。プロセスを明確化することにより、やらなくていい作業をせずに早く作業が終わるためモチベーションがアップします。更に楽にできる方法などにも気付けるので更にモチベーションと作業終了までのスピードがアップするんで良い事尽くし。プロセスが明確でないとあれやこれや迷ったり悩んでいる時間が長くなって無駄ですからね~。更に計画は年単位ではなく1日単位にしたり、プランBや偶然性プランニングを導入するのもオススメ。また、セーブポイントを小まめに用意(小さいゴールを設定)したり、とりあえず15分だけやってみるってのもモチベーションが上がってきやすいんで意識しておくと良い感じ。



if-thenプランニング・習慣化する

そもそもモチベーションは最初からあって行動するのではなく、行動していたらモチベーションが上がってくるみたいなんで、それならモチベーションに頼らない方法が良いのかもしれません。ということで機械的に動けるようにするなら、if-thenプランニングでしょう。「もし○○が起きたら△△をやる」と決めてしまうことで行動に移せます。その後モチベーションが上がってくるまで淡々とこなすって感じです。同様に習慣化してしまうのも有効です。脳は変化が嫌いですぐに拒否反応を起こすんで、ミニハビットからじっくり攻めていくのも効果的。更に20秒ルールやハビットチェーンなんかのテクニックも合わせて使えばかなり習慣化しやすくなるかと。ここらへんを更に詳しく知りたい方はレスポンデント条件付けオペラント学習をご覧ください(ABC分析とか)



承認する・褒める

これは自分でなく他者のモチベーションのアップ・維持・低下防止法なんですが、承認したり、褒めるのも有効です。承認や褒められるということは他人から必要とされているという自己欲求を満たす行為であるため、自ずとモチベーションがアップします。これは皆さんご経験があるかと。



個人的考察

モチベーションアップ・維持・低下防止のテクニックはいかがでしたか…?
全ての物事にモチベーションは関わってきますんで、覚えておいて損はないかと思います。特に前に進んでいる感覚を意識できるようログを取る、無意識に動けるようif-thenプランニングと習慣化を行うことは非常に使えますんで面倒でも少しずつ行っていくことをオススメします。



参考文献