【加筆内容】知的障がいと平均寿命の関係を見てみる!その8「中国編」
前回はアジアの研究はどうなのか…?ってことで、韓国の研究を見てみました。
中国における障がいを持つ方の寿命について調べてみた…!
2023年の浙江大学の研究によると、中国における障がい者の寿命について調べてみたそうです。
中国国家統計局の調べでは、2006年4月1日時点での中国の障がい者数は8,296万人だったそうで、総人口の6.34%を占めていたそうな。また、障がい者がいる世帯は総人口の19.98%を占めていたらしい。2020年の中国の国勢調査によれば中国の人口は14億1,178万人だったそうなんで、これらのデータから推定すると、2020年時点で障がい者数は8,951万人を超えたっぽいとのこと。
中国国家統計局の調べでは、2006年4月1日時点での中国の障がい者数は8,296万人だったそうで、総人口の6.34%を占めていたそうな。また、障がい者がいる世帯は総人口の19.98%を占めていたらしい。2020年の中国の国勢調査によれば中国の人口は14億1,178万人だったそうなんで、これらのデータから推定すると、2020年時点で障がい者数は8,951万人を超えたっぽいとのこと。
一方で中国における障がい者の平均寿命研究はあんまり進んでいなかったんだとか。
例えば2011年の北京大学の研究では、2007年から2010年までの中国の障がい者調査データを使い身体障がい者の平均寿命を調べたものがあり、同研究者が行った2012年の同じデータを使った障がい者の平均寿命を調べた研究によると、56.9歳と推定できたらしい。但し、この研究はサンプル数がわずか23,837人とのことで、中国の人口からみると全容が分からない感じだったそうな。
そこで今回研究者たちは、2015年から2017年までのK省の登録障がい者1,359,812人の国勢調査データを使って障がい者の平均寿命を大規模に調べてみることにしたそうです。
2015年から2017年のサンプル数は、
- 2015年:1,360,233人(登録された障がい者総数の91.85%)
- 2016年:1,500,400人(登録された障がい者総数の96.42%)
- 2017年:1,546,784人(登録された障がい者総数の104.13%)
って感じでして、但し、2015年の調査で性別不明だった障がい者が421人いたそうなんで、2015年の最終的なサンプル数は1,359,812人だったとのこと。
これらのデータを統計処理した結果、以下のことが分かったみたいです。
- 障がい者の平均寿命は全人口よりもはるかに低かった。
- 2015年のK省における障がい者の20歳の時点での平均寿命は、男性が45.2歳(44.7~45.8)、女性が48.1歳(47.6~48.6)だった。
- 上記は全人口の平均寿命よりも男性で15.0歳、女性で16.5歳短いことを意味している。
- 但し、年齢が上がるにつれ、全人口と障がい者の平均寿命の差は小さくなっていた。
- 60歳の時点での平均寿命は、男性が18.1歳(18.0~18.3)、女性が19.3歳(19.1~19.5)であり、全人口よりも男性が4.4歳、女性が6.5歳短かった。
- 20歳の時点で、知的障がい者と身体障がい者は性別に関係なく平均寿命が最も短くなっていた。
- 知的障がい者の平均寿命は男性が44.2歳(43.3~45.2)、女性が46.2歳(45.3~47.2)だった。
- 身体障がい者の平均寿命は男性が44.1歳(43.2–44.9)、女性が47.0歳(46.0–47.9)だった。
- 20歳の時点で、視覚障がい者と言語障がい者は障がい者の中で最も高い平均寿命だった。
- 視覚障がい者の平均寿命は男性が50.6歳(48.9〜52.3)、女性が51.4歳(48.8〜54.0)だった。
- 言語障がい者の平均寿命は男性が51.8歳(48.4〜55.2)、女性が54.2歳(48.9〜59.5)だった。
- 重複障がい者の平均寿命は男性が50.2歳(48.0~52.4)、女性が55.2歳(52.8~57.6)と何故か高かった。
- 知的障がい者の60歳時点での平均寿命は男性が15.7歳(15.2~16.2)、女性が15.5歳(14.9~16.1)と非常に低く、高齢知的障がい者の死亡リスクが高いことを示している。
- 障がいの重症度で平均寿命に大きな差があった。
- 20歳時点での重度障がい者と軽度障がい者の差は男性で19.5歳、女性で19.2歳だった。
- 60歳時点での重度障がい者と軽度障がい者の差は男性で3.8歳、女性で5.0歳だった。
- 20歳時点での重度障がい者の平均寿命は男性で33.7歳(32.2〜35.1)、女性で37.1歳(35.4〜38.8)だった。これは全人口の平均寿命よりも男性で26.6歳、女性で27.5歳も短いことを示している。
- 重度障がい者は若年での死亡率が非常に高く、40歳までに死亡する人の割合は男性で約35.4%、女性で約30.9%、60歳までに死亡する人の割合は男性で約59.7%、女性で約53.4%だった。全人口の死亡率は、40歳までに男性0.09%、女性0.04%、60歳までに男性7.2%、女性3.4%だったのでかなり高いことを示している。
- 但し、軽度障がい者は健常者の結果に近かった。
ちょっと他の障がいの内容も載っていたんで簡単にですが載せておきました。
今回の結果は、先行研究とおおよそ同じ感じですね。また「知的障がいを持っていると「老化・認知症になるのが早い」は本当か?どれぐらい早いのか?」の内容とも合致する部分が多いかと思います。
因みに知的障がい者の平均寿命が全人口よりも短くなってしまう原因について、研究者はいくつかの可能性を上げておりました。
軽くまとめておきますと、
- 知的障がいの方は、痛みや症状、ニーズを伝えるのが難しい場合が多い
- そのため、問題に気付かなかったり、遅れたりすることがある
- ケアや社会的サポートが不十分な場合もある
- うつ病や不安症などのメンタルに問題を抱えている場合もある
って感じでした。
これら要因が平均寿命を下げている可能性があるそうです。