今回は千葉大学が行った2024年の研究を見てみます。



ゲーミフィケーションを用いた歩数アップ効果は1日1,200歩以上…!

2024年の千葉大学コホート研究によると、ゲーミフィケーションを取り入れることによって歩数がアップするのか調べてみたそうです。
この研究は、全国展開しているイオンモール株式会社のスマホアプリ「イオンモールアプリ」の「モールでウォーキング」を使ったと言うものでして、アプリは以下のものとなっております。


アプリにはイオンモールの入店時に1日1回ウォーキングプログラムへ参加することが出来まして、モール外の歩数も含めて1日の歩数をカウントしてくれるんですな。
んで1日1000歩以上歩くと抽選でクーポンが当たる仕組みとなっております。またクーポンを利用すると0~500ポイント(1ポイント1円相当)が当たるチャンスにも応募できる感じ。そこで研究者はこのデータを利用して歩数がアップするのか見てみることにしたんだとか。
因みに、2021年の東京大学の研究2021年の京都大学の研究により、コロナで1日の歩数は少なくなっておりまして、特に日本では2020年4月の緊急事態宣言の前後で、女性や若者の歩数が減少したみたいです。
なんで、コロナ禍で減少した歩数を取り戻す、むしろ増やせるかが今回の研究のキーとなります。
次に実験のざっくりした流れなんですが以下のようになっておりました。

  1. まずアプリについて、イオンモール内とオンラインで宣伝した。
  2. アプリ登録時、生年月日や性別、身長や体重、住んでいる都道府県などを登録してもらった。
  3. 2021年1月1日~12月31日までに登録した方の毎日の歩数データやプロフィールを使った。
  4. 277,061人の登録データがあった。ここから、データが不足しているもの、データの少ない物を除外していった。
  5. 併せて、イオンモールがある都道府県の人口データや都市部か郊外か田舎か、イオンモールが小規模か大規模かなどのデータも収集した。
  6. 最後にデータを統計処理してアプリの使用と歩数の関係を比べてみた。

最終的なサンプル数は以下のようになっております。

  • 合計サンプル数:217,344人
  • 男性サンプル数:62,728人(28.9%)
  • 女性サンプル数:154,616人(71.1%)
  • 65歳以上のサンプル数:18,014人(8.3%)
  • 65歳未満のサンプル数:199,330人(91.7%)
  • 65歳以上の平均年齢:69.9歳
  • 65歳未満の平均年齢:44.0歳

では気になる結果を見てみましょう。

  • ウォーキングプログラムに参加した日の1日の平均歩数は7,415歩だった…!
  • ウォーキングプログラムに参加しなかった日の1日の平均歩数は5,281歩だった…!
  • 性別と年齢を調整すると、ウォーキングプログラムに参加した日は参加しなかった日に比べて、1日の平均歩数が1,219歩も増えていた…!
  • イオンモールの場所別にみてみると、ウォーキングプログラムに参加した日は参加しなかった日に比べて、田舎だと1,130歩、郊外だと1,403歩、都市部だと1,433歩も増えていた…!
  • イオンモールの大きさ別にみてみると、ウォーキングプログラムに参加した日は参加しなかった日に比べて、大規模イオンモールだと1,422歩、小規模イオンモールだと1,059歩も増えていた…!
  • 男女別にみてみると、ウォーキングプログラムに参加した日は参加しなかった日に比べて、女性は男性よりも728歩多く歩いていた…!
  • 年齢別にみてみると、ウォーキングプログラムに参加した日は参加しなかった日に比べて、65歳以上の参加者は65歳未満の参加者よりも228歩多く歩いていた…!

イオンアプリによるゲーミフィケーションを用いた歩数アップ効果で1日1,219歩多く歩くようになるみたいですね。また、都市部、イオンモールが大きい、女性、65歳以上の人の方が効果が出やすいみたい。
因みに2020年のダーラムVAメディカルセンターの系統的レビューによれば、1日1,000歩増えると、全死亡リスクが6%~36%、心血管疾患リスクが5%~21%減るそうなんで、これはなかなか良い感じと言えるのではないでしょうか…?



個人的考察

これらを見ると、やはりゲーミフィケーションは健康面の向上に役立ちそうですね。



参考文献