【加筆内容】知的障がいと平均寿命の関係を見てみる!その6「スウェーデン編」
スウェーデンにおける知的障がいの方の寿命について調べてみた…!
2021年のカロリンスカ研究所の前向きコホート研究によると、スウェーデンにおける知的障がいの方の寿命について調べてみたそうです。
この研究は、スウェーデンの全国民が持つマイナンバーの登録データベースを使ったもので主に2つのコホートを作ってみたと言うもの。
んでまずその2つのコホートってのは以下な感じ。
- コホート1:1980~1991年生まれの軽度知的障がいの若者で構成した。
- コホート2:1932~2013年生まれの軽度、中度、重度の知的障がいの方で構成した。
因みにデータの分析は2020年6月1日から2021年3月31日までの間に行ったそうです。
ではコホート1の結果から見てみましょう。
- 軽度知的障がいの方は13,541人いた(参照コホートは135,410人)
- うち男性は7,826人(57.8%)、女性は5,715人(42.2%)だった。
- 平均死亡年齢は24.53歳だった。
- 追跡調査中に軽度知的障がいの方で亡くなった方は120人(0.9%)だった。
- 追跡調査中に参照コホートの方で亡くなった方は424人(0.3%)だった。
- つまり、軽度知的障がいの方はない方に比べて、死亡リスクが2.86倍(OR2.86)高かった。
- 女性の方(OR6.23)は男性の方(OR1.99)に比べて死亡リスクが高かった。但し、絶対的死亡リスクは変わらなかった(女性0.9%(5715人中53人死亡)、男性0.9%(7826人中67人死亡))
- 原因別の死亡率を見てみると、新生物(OR3.58)、循環系疾患(OR9.24)、神経系疾患(OR40.00)が高かった。
- 神経系疾患は、てんかんについて調整後、リスクがかなり減少した(OR15.61)
スウェーデンの研究では、軽度知的障がいの方は一般人口に比べ死亡リスクが高かったみたいですね。それと男女の違いはない感じみたい。
続いてコホート2の結果を見てみます。
- 軽度知的障がいの方は24,059人、中度から重度の知的障がいの方は26,602人いた(参照コホートは240,590人、266,020人)
- 軽度知的障がいの方のうち男性は13,649人(56.7%)、女性は10,410人(43.3%)だった。
- 軽度知的障がいの方の平均死亡年齢は52.01歳だった。
- 中度から重度知的障がいの方のうち男性は15,338人(57.7%)、女性は11,263人(42.3%)だった。
- 中度から重度知的障がいの方の平均死亡年齢は42.16歳だった。
- 軽度知的障がいの方はない方に比べて、死亡リスクが6.21倍(OR6.21)高かった。
- 中度から重度知的障がいの方はない方に比べて、死亡リスクが13.15倍(OR13.15)高かった。
- つまり、中度から重度知的障がいの方は軽度知的障がいの方に比べて、より死亡リスクが高かった。
- 軽度知的障がいの方について、女性の方(OR7.06)は男性の方(OR5.65)に比べて死亡リスクが高かった。但し、絶対的死亡リスクは変わらなかった(女性7.53%、男性7.47%)
- 中度から重度知的障がいの方について、女性の方(OR16.29)は男性の方(OR11.35)に比べて死亡リスクが高かった。但し、絶対的死亡リスクは変わらなかった(女性19.34%、男性18.93%)
- 軽度、中度から重度の知的障がいの方は、分析した全てのカテゴリーのリスクが大幅に高く、全体的には、中度から重度の知的障がいの方はよりリスクが高かった。
- 但し、てんかんについて調整後、全死亡リスクが軽度知的障がいの方(OR5.43)、中度から重度知的障がいの方(OR8.94)ともに減少した。
以前に紹介した研究同様、やはり知的障がいの重症度が高くなるほど、寿命は短くなってしまうみたいですね。