今回は、ポケモンGOのメリットデメリットを改めて調べるために1年間ディスカッションしてもらったよーって研究を見ていきます。



ポケモンGOって結局、健康に良いのか悪いのか1年かけてディスカッションをしてもらった…!

2023年の香港都会大学の研究によると、ポケモンGOって結局、健康に良いのか悪いのか調べてみたそうです。
そもそもポケモンGOのような位置情報ゲームには、健康に良い…!って話と悪い…!って話がありまして、

【健康に良い考え方】
  • 身体運動が増える、座り時間が減る、結果、2型糖尿病や肥満リスクを軽減できる
  • うつ病、社会不安、その他の精神障害、痛みに対してプラスの影響がある

【健康に悪い考え方】
  • 熱意が依存症に変わる可能性がある、結果、ゲーム依存症リスクが高くなる
  • ゲーム依存症により過度な時間を費やすことで、身体的健康や精神的健康に悪影響を及ぼす可能性がある

って感じなんですよね。
そこで今回研究者たちは、ポケモンGOが公衆衛生に与える影響について調査してみることにしたんだとか。
具体的には、

  1. 成人の若者がポケモンGOを続ける主な原動力は何なのか…?
  2. 成人の若者がポケモンGOを継続することによる、社会的健康、心理的健康、身体的健康などはどうなのか…?

についてチェックしたみたい。
この研究はポケモンGOを行っている男女60人が参加したというもの。年齢は18歳から25歳、平均年齢20.9歳の方々でして、75%が男性だったそうな。
んで、まず参加者全員の基本情報(年齢や性別、ポケモンGOのプレイ情報など)を収集したそうです。
次に2017年7月から2018年7月の1年間にかけて参加者全員に合計10回のディスカッションをしてもらったらしい。1回のディスカッションは約45~60分間行ったそうで、1グループ5~7人だったとのこと。因みにディスカッションのガイド作成の為、研究チームは事前にオンラインゲームと位置情報ゲームの研究を見直ししていたんだとか。
最後に集まったデータを分析してみたそうです。
ではまずポケモンGOのプレイ情報について見ておきましょう。

  • トレーナーレベル:16~20が2人、21~25が4人、26~30が9人、31~35が9人、36~40が25人、41以上が11人だった。つまりほとんどの人がやり込んでいた。
  • 課金:無課金が9人、1〜12ドルが3人、13〜64ドルが9人、65〜130ドルが27人、130ドル以上が12人だった。つまり課金している人が大半で、今までに1万円以上課金している人が3分の2ぐらいだった。
  • 1日の平均プレイ時間:4.9時間
  • 平均プレイ期間:5.3か月

平均プレイ期間は半年を切っているんで、そんなに長期間続けている感じは受けないですねー。まぁ、香港のポケモンGOリリースは2016年7月25日で、調査は2017年7月からなんで、最高でも1年なんですが。それに比べて注目したいのが1日のプレイ時間が5時間近くとまぁまぁ長く、また課金が多いってのが特徴ですな。
では続いてディスカッションの各テーマの結果を見てみましょう。

【テーマ1:ながらスマホ・自制心】
  • ゲーム依存症や路上での事故、社会的混乱が起きそうだと皆が思っていた。
  • 多くの参加者は、ポケモンGOに集中していたときに起きた事故の記憶があった。
  • 公共の場でポケモンGOに熱中して他人に迷惑をかける可能性があると思っていた。
  • ポケモンGOによる自制心の欠如に関しては、両方の意見があった。例えば、身体活動や社交性が向上したと意見があった一方で、たくさん課金をしてしまったという話があった。
  • 参加者は、睡眠などを犠牲にし、過度に時​​間を費やす、課金をしまくるのが、依存症の始まりだという認識を持っていた。
  • 参加者の中には、仕事のパフォーマンスに悪影響が出ている人もいた。

【テーマ2:ポケモンGOを始めたきっかけ】
  • ポケモンのテレビアニメや映画を子ども時代観た。ポケモンGOはスマホで現実世界を歩いてゲットしに行く。懐かしさも相まって、楽しく、魅力的で刺激的だった。参加者の半数は、この理由でポケモンGOをプレイし始めた。
  • AR機能により、ポケモンが現実世界に実際にいるように感じていた。
  • またそれらを捕まえることにより、より現実感が増していた。
  • 上記により、二次的要素として、ポケモンGOに時間と労力を費やすきっかけとなっていた。

【テーマ3:ポケモンGOのシステム】
  • ポケモンGOをプレイすると現実世界と仮想世界がつながっているように感じていた。
  • 近所でポケモンは出るが、伝説ポケモンや地域限定ポケモンもいたりする。結果、行ったことのない場所や他の国に行くことも必要になる。
  • また、健康キャンペーンや健康活動にも注目し、健康問題に対する意識が高まった。
  • ポケモンGOは地域の地理や文化を深く理解する上で役立つと話していた。

【テーマ4:運動効果】
  • 参加者全員から、ポケモンGOにより、歩く習慣を変え、運動量が増えたと話があった。
  • 参加者の大多数は、引きこもりの人々が、ポケモンGOで殻から抜け出す可能性があると考えていた。
  • 参加者の一人からは、母親と自閉症の子どもがポケモンGOをしていて、その子どもが新しいポケモンをゲットして喜んでいるところを目撃したと話していた。
  • 参加者の中には、特定の場所まで歩いたり、1つ前の駅で降りて歩くなどしている人もいた。
  • 参加者の親など、普段あまり運動していない年齢層にも運動が促進されていた。

【テーマ5:他者との交流・社会的交流】
  • 世代間のつながり、家族や友達との交流の増加、共通の人々の集まり、社会的交流の増加があると話していた。
  • 同じゲームをしている人が近くにたくさんいると、レアポケモンを探さないで済むことがあると話していた。
  • 参加者のほとんどがポケモンGOにより、他人と話したり、会ったりするきっかけになっていると話していた。また、ポケモンGOによって社交スキルが向上し、コミュニケーション能力がアップしたと感じていた。
  • ポケモンGOは、老若男女に関係なくプレイされており、共通の目標が、異なる世代間のコミュニケーションと交流を生み出していた。

これまで見てきたポケモンGOのメリットデメリットがディスカッションでも出てきた感じですねー。
ということでまとめますと、

  • ポケモンGOのような位置情報ゲームにはメリットとデメリットの両方がある…!
  • プレイヤーは他のプレイヤーや家族等とポジティブな関係を築けるようになる…!
  • 多く歩くようにもなる…!
  • 一方で、自制心の欠如や依存症、ながらスマホによるケガや事故に遭う可能性もある…!

って感じ。
いずれにしても、メリットデメリットを踏まえて楽しくゲームはしたいですな。



個人的考察

この研究の中で、廃課金者の一言が印象に残ったので下記に記しておきます。

  • 他のゲームに比べて、ポケモンGOは課金額が多かった。当時は、バケツから水を注ぐように、あっという間に3,000ドル(当時だと36万円ぐらい)が消えていった。一回で大量の水が出てしまったのだ。また、外で過ごす時間も長かったので、他のことに費やすエネルギーが残っていなかった。疲れ果てて、家に帰るとすぐに寝てしまった(23歳男性参加者より)

ここまで行くと、ゲーム依存症なのか買物依存症なのか分かりませんが、何がしかの依存症を疑っても良いのかもしれないですね。やっぱり優先順位がおかしくなってしまったり、学業や仕事など現実に影響が出たら注意した方が良いと思いました(ポケモンGOに限らず)



参考文献