今回から弁証法的行動療法の研究を見ていきます。



メタ分析によると境界性パーソナリティ障害に対する弁証法的行動療法(DBT)の効果量は中程度…!

2010年のブラウンシュヴァイク工科大学の研究によると、境界性パーソナリティ障害に対する弁証法的行動療法(DBT)の効果についてメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、該当する先行研究をPubMed、PsycINFO、PsychSpider、Medlineで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究の中で被っている物を除外、その後、適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最終的に選ばれた研究は16件でして、そのうちの8件はRCTだったんだとか。
それでは結果を見てみましょう。

  • 介入前後のドロップアウト率は27.3%だった。つまり4人に1人は脱落していた。
  • 自殺行動と自傷行為に対する弁証法的行動療法(DBT)の効果量は中程度だった…!

ドロップアウト率はまぁまぁ高いものの、中程度の効果がある…!ってのは、なかなかよろしいのではないでしょうか。なんせ境界性パーソナリティ障害は難しいんで。



自傷行為とうつ病に効果アリ…!但しある程度続けないと効果は得られないかも…。

2021年の南京医科大学の研究によると、境界性パーソナリティ障害における自傷行為・ネガティブ感情の軽減に対する弁証法的行動療法(DBT)の効果についてメタ分析を行ってみたそうです。
まず研究者たちは、該当するRCTをPubMed、Embaseで検索してみたそうな。次に検索にヒットした研究の中で被っている物を除外、その後、適格基準と除外基準に照らし合わせて精査していったらしい。
最後にピックアップしたデータをメタ分析にかけてみた結果、弁証法的行動療法で、

  • 自傷行為が減少していた…!
  • うつ病が軽減していた…!
  • 但し、希死念慮と怒りへの効果は非常に小さかった…。

とのこと。
境界性パーソナリティ障害の症状全てに効く訳ではないものの、自傷行為やうつ病に効果があったのは大きいですね。
因みにサブグループ解析によれば、4ヶ月~14ヶ月でうつ病が有意に減少したけど、4ヶ月の時点では効果が見られなかったらしいんですよね。なんである程度の継続はやっぱり必要みたいです。